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第七景番外編:続・大画面☆マニアは多画面マニア。ついに禁断の8画面世界へ!
西川善司


 この連載は2回目の登場となる西川善司です。Impress Watch系ではGAME WatchとAV Watchに連載を持っています。

 前回は、結構な反響を呼び、世間の目から奇異の目で見られ虐げられている多画面フリークに一握りの勇気を与えたようです。「多画面マニア」という用語を定着させるという野望に向かって、今後も邁進していきたいと思っています。

 さて、今回は表題の通り、8画面デスクトップのWindows Vista環境を構築、実用運用したことの報告をしたく再登場させてもらいました。





あの6画面環境をWindows Vistaに移行

 前回登場した2007年2月の時点では、Windows XPベースの6画面環境でした。実用上は何の不満もなかったのですが、時代はWindows Vistaへと進んでいます。こういう仕事をしている以上、テクノロジーに対して後ろ向きではいけないと思い、6月頃に6画面メインマシンへWindows Vistaをインストールする決意をしました。言い換えれば6画面環境のVista化です。


前回のデスクトップ百景で取り上げたWindows XPでの6画面環境は大きな反響

 せっかくOSを入れ替えるので、ハードウェア的なアップグレードも同時に試みることにしました。PCゲームなどを評価するためのハイスペックなマシンは別に構築しており、原稿書き作業やその他の雑務をこなせればよいため、それほどハイスペックにする必要はありません。

 そこでCPUは安価なCore 2 Duoの「E4300」(1.8GHz/FSB=800MGz/L2CACHE=2MB)」を、マザーボードはギガバイト製「GA-965P-S3」。チップセットはインテルの「P965 Express」を選択。メモリはWindows Vistaの32bit版の場合、アドレス空間がシステムI/Oやその他の用途に領域に割り当てられてしまい実質的に3GB前後までしか活用できないため、DDR2-800MHzの3GBとしました。

 ビデオカードは前回紹介したシステムではAGP接続の「NVIDIA GeForceFX5600/128MB」1枚とPCI接続の「NVIDIA GeForceFX5200/128MB」2枚の、合計3枚のビデオカードでしたが、マザーボードが新調されてビデオカード接続用バスがPCI-Express×16となってしまい、GeForceFX5600/AGPは使えなくなりました。そこでややオーバースペックかと思いましたが、仕事用に用意していたNVIDIA GeForce8800GTX/768MBを使うことにしました。

 それまで使っていたWindows XP Professional環境からWindows Vista Ultimateへのアップグレードは、結論から言えばうまく行かなかったのでファイルシステムを維持したままのクリーンインストールを行なっています。ここはかなり苦労した部分なのですが、この点については今回の主題から外れますのでばっさりと割愛させていただきます。

 GeForce8800GTXのWindows Vista用ドライバは最新版がほぼ毎月リリースされているので最新版をインストール。トラブルもなくインストールが成功しました。

 問題はGeForceFX5200。実はNVIDIAはGeForceFXシリーズに対する新バージョンドライバの更新を終了していて最新のものは2006年10月版のバージョン96.85しかありません。とはいえ、異なるメーカーのビデオカードを組み合わせて多画面環境構築経験もあるボクは多分うまく行くだろうと思い、何のためらいもなく2つのバージョンの異なるGeForceドライバのインストールを行なったところ、

 再起動後ブルーバックのリセットが掛かり起動不能に。

 しかし、BIOS画面の設定をいじったり、Windows Vistaをセーフモードで起動してNVIDIAドライバの削除を行ない、最初から3枚同時に挿さずに1枚ずつ挿してドライバを入れては再起動……をくりかえしたところ、なんとかGeForce8800GTX×1とGeForceFX5200×2の6画面環境をWindows Vistaで動かすことに成功したのでした。





トラブル発生で6画面環境に危機が!

 つい先日、NVIDIAは普及価格帯でハイエンドのパフォーマンスを実現する「GeForce8800GT」を発表しました。パフォーマンスの高さが取り沙汰されていますが、消費電力もGeForce8800GTXの2/3以下になっていて省電力性能も比較的優秀です。

 このGeForce8800GTを仕事用にさっそく2枚ゲット。原稿作成や雑務が主たるタスクのマシンにはGeForce8800GTXはややオーバースペックだったので、GeForce8800GTへ交換することを決意しました。

 さて、問題はドライバです。NVIDIAは10月31日付でバージョン169.02のドライバをリリースしていますが、相変わらずGeForceFX5200は1年前のバージョン96.85のままです。前回は奇跡的にGeForceFX5200がGeForce8800GTXのドライバで動作しましたが、今回のGeForce8800GTでは、どうなるか……。

 勇気を出してGeForce8800GTへと換装してドライバをインストール、再起動した数秒後に目にしたのは、秋の空よりも鮮やかな、南国の海よりも深い、果てしなく広がるブルーバックの画面……。最上段には「DRIVER IRQ NOT LESS OR EQUAL」という、Tシャツを作ったら結構売れるんじゃないかと思えるイカした英文が光っていました。

 このあと丸1日かけて、ドライバのインストール・アンインストールや、カードの抜き差し、挿す順番の変更などの縁起担ぎをやってみましたがうまくいかず。諦めてGeForce8800GTXに戻してもダメ。バージョン158番台の正常に動いていたドライバはもうありません。

 「下手こいた〜……」

 ちょっと流行に乗って言ってみました。





最新世代2画面か、旧世代4画面か究極の選択

 この件をNVIDIAにレポートしてみましたが、対応は難しいようです。 GeForceFXシリーズは「Windows Vistaには対応する」とあるものの、Windows Vista環境への継続的サポートは公式に終わったということが告げられています。


eForceFXはDirectX9/SM2.0世代のWindows Vista対応GPUだが、実質的に見捨てられた悲運のGPU。NVIDIA自らも自虐ネタに引用することがあるほど

 この“多画面”はゲームを動かすわけではなく、あくまでフレームバッファ、デスクトップエリアとしての活用しか求めていなかったのでGeForceFX5200で十分だったのですが、Vistaでのサポートが実質的に終わっていたということになると事態は深刻。GeForce8800GTXとGeForceFX5200×2が動作していた2007年の夏はまさに「真夏の夜の夢」か幻か……といった奇跡だったようです。

 ちなみに、GeForce8800GTあるいはGeForce8800GTXを取り外し、PCI接続の「GeForceFX5200」×2だけで動作させると4画面環境がVistaで正常動作しますが、Vistaの新GUIシステムであるAEROの操作が遅延して使いにくいです。また、AMDの「RADEON HD2900XT/512MB」×1と「GeForceFX5200」×2を組み合わせてみましたが、デバイスマネージャのGeForceFX5200×2上に「!」マークが出てしまいダメでした。もちろん、PCI-Express接続の「GeForce8800GT/GTX」や「RADEON HD2900XT」は単品では動作するのですが……。

 結局、GeForce8800GTに差し替えたことがきっかけで「善司のVista・奇跡の6画面環境」は、「究極の選択」として「PCI-Express接続の最新世代ビデオカード×1で2画面にするか」「GeForceFX5200×2で4画面にするか」という事態に追い込まれてしまったのですが、多画面マニアとして、この2つの選択肢は「どちらも却下」です。


GeForce8800GT×1とGeForceFX5200×2をWindows Vistaで動作させることができず! 6画面環境はもはやこれまでか?




6画面出力をサポートするチップセット「nForce680i SLI」を導入

 そして追い込まれた僕は、とんでもない秘策を決行することにしたのです。それは、NVIDIAの「nForce680i SLI」チップセットのマザーボードをPCゲーム評価用に事前に入手していたので「これをメインマシン用のマザーボードとして使用する」という案。


筆者がゲットしたnForce680i SLIチップセット搭載マザーボード。どちらかといえばハイエンドゲーマー向きのマザーボード


 しかし、長時間連続使用で安定性が求められるような原稿作成、グラフィックス作成、ビデオ編集を行なうメインマシンにNVIDIAチップセットを使用するのはどうなんだろうか……、と自問自答する自分がいました(ごめんなさいNVIDIAさん)。長年原稿書きマシンはインテル系でやってきた自分にとって、メインマシンをNVIDIAベースにするのはちょっと勇気がいることだったのです。

 NVIDIA製が悪いと言うことはないのですが、前述の「新OSでのGeForceFXシリーズの継続サポート打ち切り」からもわかるように、次世代OSへ移行した際にあっさりnForce680i SLIチップセットが見捨てられる可能性は高いのですが、その点インテルチップセットはかなり前世代まで遡ってサポートが継続されている実績があり、安心感があります。

 しかし、nForce680i SLIチップセットは多画面マニアにとっては“超”魅力的なチップセット。なにしろPCI-Express×16スロットが2本、×8スロット(スロット形状は×16)が1本あり、メーカーがPCI-Express接続のビデオカードの3枚挿しを公式サポートしているのですから!


PCI-Express×16スロットが3本あるnForce680i SLIチップセット(うち1本は実際には×8接続)

 ちょっと悩みましたが、6画面環境以外では仕事能力が著しく低くなってしまう僕は悩んでいる場合ではなく、インテル965PベースのマザーボードからnForce680i SLIマザーボードへと換装することに。

 GeForceFX5200×2枚はもう処分するとして、PCI-Express×16接続のビデオカードが3枚必要になります。ここまで読み進めてきてもう想像できている方もいるかと思いますが、手持ちのPCI-Express接続のビデオカードの「GeForce8800GTX」×1枚、「GeForce8800GT」×2枚を挿すことにしました。つまりDirectX10世代プログラマブルシェーダ4.0仕様(SM4.0)のハイエンド6画面環境の実現です。6画面のどの画面でもDirectX10ゲームの「CRYSIS」が動かせます。

 あれだけ苦労したVistaでの6画面環境は、同一世代のビデオカード3枚挿しではあっけないくらい簡単に動作してしまいました。





ついに8画面環境の誕生

 不死鳥のごとく復活した6画面環境ですが、よくよく考えれば、元の6画面環境に戻っただけ。それでは苦労に対する報酬効果を考えるとつまらないと考えていたところ、ふと、このマシンのマザーボードにもう一度目をやると、PCI-Express x1スロットが余っているではないですか!

 「PCI-Express x1接続のビデオカードを挿せば8画面もいけるかな?」

 そんなばかばかしくも素晴らしい考えが頭をよぎりました。

 そしてその考えを後押しするできごとが発生。それは仕事仲間からの「液晶へ買い替えるので21インチのブラウン管ディスプレイをあげますという打診。

 かくして7画面が揃ってしまったところに、EIZOのディスプレイ「FlexScan HD2451W」の広告企画レビューのお仕事の依頼が! 自分のものではないですが、評価機が送られてきたので8画面が揃ってしまいました。

 これはもう、接続するしかない! 「あなたと合体したい!」

 ちなみに、8画面の4枚ビデオカード挿しを可能にするチップセットとして、NVIDIAにはAMDのQuadFXプラットフォーム向けの「nForce680a SLI」があります。nForce680a SLIチップセットでは4本のPCI-Express×16スロットがあり(うち2枚は実際には×8接続)、今回の件にちょうどおあつらえ向きではありますが、いかんせんQuadFX対応のCPUが高価で手が出せないので、はじめからこのパターンは考えていませんでした。


4枚のPCI-Express×16ビデオカードが接続できるNVIDIA nForce680a SLIチップセット

GALAXY Technology社のPCI-Express×1接続GeForce7300GT搭載ビデオカード「P73GT-X1/128D3」
 そこで選択したのは、GALAXY Technology社のPCI-Express×1接続GeForce7300GT搭載ビデオカード「P73GT-X1/128D3」です。PCパーツショップで1万円前後で販売されているものを購入しました。現在、NVIDIAがバージョンアップを継続しているドライバはGeForce6000以上への対応なので、GeForce7300GTならば問題ないはずです。

 実際にこれを挿したらこれも簡単に動作してしまいました。ここまで来てわかるのが、GeForceFX5200がトラブルの原因だったということです。もっともGeForceFX5200カード自身には罪はなく、根源はドライバの競合にあるわけですが。

 かくしてついに8画面環境がここに誕生しました。


22インチブラウン管×1、22インチブラウン管×1、24インチ液晶、17インチブラウン管×5で8画面。これらが全部1台のPCにつながっています

背面はこんな感じ。ブラウン管が多い関係でDVI-Dsubアダプタの数が凄いことに





次の夢は10画面。飽くなき「多画面マニア」の道を邁進

 まとめると、8画面環境はこんな感じです。
  • CPU:CORE 2 DUO E4300/1.8GHz
  • メインメモリ:DDR2-800 3GB
  • チップセット:nForce680i SLI
  • ビデオカード1:GeForce 8800GTX/768MB
  • ビデオカード2:GeForce 8800GT/512MB
  • ビデオカード3:GeForce 8800GT/512MB
  • ビデオカード4:GeForce 7300GT/128MB
 ビデオメモリ総容量はなんと1,920MB! DirectX10世代SM4.0対応のデスクトップが6画面、DirectX9世代SM3.0対応が2画面で合計8画面デスクトップです。


上からGeForce 7300GT、GeForce 8800GTX、GeForce 8800GT、GeForce 8800GT

 解像度は1,600×1,200ドットが2面。新しく追加された21インチディスプレイが2,048×1,536ドットに対応していたのでこれが1面あり、1,280×1,024ドットは4面です。評価機の「FlexScan HD2451W」は1,920×1,200ドット解像度で、これが最後の1面。試してみたところでは、どの画面でもフルHDの動画が再生でき、PCI-Express x1バス接続のGeForce7300GTでもハイビジョン映像がコマ落ち無しで再生できました。

 GeForce8800GTから出ている画面にWindows Live メッセンジャーやWindows メールの画面しか出していないのはかなり贅沢ですが、実際快適です。8画面目の液晶は借り物なので返却すると7画面になってしまうのがちょっと寂しいですね。ちなみに動作は安定していますが、スチール製のPCケースがかなり熱くなっています。


全デスクトップをキャプチャしたところ。BMPファイルでキャプチャしたファイル容量はなんと55MB

画面のプロパティはこんな感じ。1、2、3、4……と整然と並んでいないのは接続ケーブルの長さやディスプレイの配置関係のため

 また、当初3GBあったOS起動後の総物理メモリ容量が、PCI-Express接続のビデオカードを挿し足していくにつれて少なくなり、4枚目のビデオカードを挿した時点で合計容量が2045MB(約2GB)になってしまいました。これは挿したPCI-Express接続のビデオカード群がさらにI/Oのために、アドレス空間を占有してしまったためのようです。

 この件をPC Watchなどで執筆している大原雄介氏に相談したところ「多画面マニアやるなら64ビット版Windows Vistaにしなさいって」と強く勧められてしまいました。というわけで、64ビット化はまたの機会に……。


3GB分メモリを搭載しているのにOS起動後の物理メモリ容量は約2GBになってしまった

 こうしてWindows Vistaにおける8画面環境構築は紆余曲折しながらも成功。皆さんもぜひ挑戦してみてください。仕事効率も8倍上がりますよ、きっと。まだPCI-Express x1スロットとPCIスロットは空いているので、10画面、12画面環境も行けるのかな、なんて考えたりもします。多画面マニアの飽くなき挑戦はまだまだ続きます。

 いやぁ、多画面てホントにいいもんですねぇ。それでは、また、画面が増えたときにお会いいたしましょう。

 そして「多画面マニア」という言葉、ぜひみなさんも使ってみて下さい。そして僕以上に多画面マニアの方、ご連絡お待ちしております。


2007/11/30 11:14

西川善司
プログラマを経てテクニカルライターへと転進。PC全般のハードウェア、ソフトウェアを専門分野としているが、近年は特に3Dグラフィックス関連への取材を精力的に行なっている。また、趣味が高じて映像機器の画質評価をもう1つの専門分野としている。3Dグラフィックス関連はGAME Watch「西川善司の3Dゲームファンのためのグラフィックス講座」にて、映像機器関連はAV Watch「西川善司の大画面☆マニア」にて連載中。自身のホームページは「突(善)変異」。
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