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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
Google検索担当副社長のMayer氏が来日。日本市場を含めた取り組みを説明

グーグルの辻野製品企画本部長
 グーグルは9日、Googleの検索サービスにおける現状と今後を説明する「Google Japan Search Day」を開催した。

 Google Japan Search Dayは、6月10日にパシフィコ横浜で開催する「Google Developer Day 2008 Japan」に先立って行なわれたもの。米GoogleでSearch Products & User Experience(検索製品および利便性向上)の担当副社長を務めるMarissa Mayer(マリッサ メイヤー)氏からGoogle検索の歴史や現状、今後の展望が説明された。

 続いて、日本法人のグーグルで検索担当プロダクトマネジャーを務める倉岡寛氏、ソフトウエアエンジニアの賀沢秀人氏、モバイル担当プロダクトマネージャーの岸本豪氏から、日本市場における現状と今後の課題が述べられた。

 また、説明会冒頭には製品企画本部長の辻野晃一郎が登壇。「検索はGoogleのすべてと言っても過言ではない重要なプロダクツ」と重要性を説明し、「東京のオフィスでもモバイルを含めた検索品質の向上について、優先度を上げて取り組んでいる」と語った。


日本のニーズを踏まえトップページを改編。今後も継続して強化

米GoogleのMarissa Mayer氏

Googleトップページは創業者であるSergey Brin氏が作成。シンプルなデザインについて「我々にはWebマスターがいるわけでもないし、HTMLをやっているわけではないから」と語ったという
 Marissa Mayer氏は、1999年にGoogle初の女性エンジニアとして入社した人物。同氏は冒頭、Googleのトップページが何故シンプルであるかの理由を紹介。サービス開始時に学生を対象に行なった調査で、学生たちがページ読み込みが終わっていないと思い、検索行動を起こさなかった点を受け、「ページの読み込みが完了したことを伝える“。(句点)”として、ページ下部にコピーライトを記述するようになった」と述べた。

 Mayer氏は続けて、ユーザーが検索を行なった際のデータセンターなどの動作を説明する中で、「Webサイトだけではなく、画像や本、動画、ニュース、関連検索など複数の情報を包括的に検索結果ページに表示する『ユニバーサルサーチ』を2007年に開始した」と発言。また、検索クエリの曖昧さを取り除く課題も提示し、ユーザーが求める有益な回答を示すために、「一層の投資やイノベーションを続ける必要がある」とした。

 モバイル分野に関しては、「エキサイティングなサーチである」とコメント。米国で提供を行なっている音声による地域情報検索サービス「GOOG-411」を将来的に国際展開したい考えを示したほか、iPhoneをはじめモバイル端末の能力が向上している点も言及し、「さまざまなサービスをモバイルに向けて提供していきたい」と抱負を語った。

 グローバル製品に関しては、iGoogleやアジア地域でのトップページ改良に関して説明。Mayer氏は「日本のユーザーはホームページ上から多くの情報を知りたいと考えており、Google日本版のトップページに各サービスへの誘導アイコンを設置した」と語り、こうした取り組みを今後数カ月にわたって強化していく考えを示した。

 最後にMayer氏は、ユーザーが母国語とする言語以外のWebページを検索し、母国語で表示する翻訳サービスを紹介。「現時点では検索対象とする言語を選択する必要があるが、将来的にはあらゆる言語を検索対象に、ユーザーにとって最良な回答を母国語で表示させたい」と述べた上で、「Web上にあるさまざまなコンテンツを言語にとらわれずに解放していく」とした。


ユニバーサルサーチの一例 Googleの日本トップページリニューアルについても紹介 中国や韓国でも同様のリニューアルを実施しているという

日本市場における検索サービスの取り組みも紹介

倉岡氏
 続けて、日本市場に向けた取り組みとしてグーグルの担当者から説明が行なわれた。検索担当プロダクトマネジャーを務める倉岡寛氏は、日本のインターネットユーザーが8,600万人、ブロードバンド普及率が86%、モバイルインターネットユーザーが7,086万人に上るとのデータを示し、「こうした環境の中で、日本でのGoogle ウェブ検索は、『情報を効率よく収集したい』『業務用途』『知的好奇心』『海外のページを見たい』といった用途で使用されていることがわかってきた」と説明した。

 その上で、「日本市場に適したホームページデザイン」に関してMayer氏が言及したトップページのリニューアルを挙げるとともに、日本オフィスで開発した「Google急上昇ワード」を紹介。倉岡氏は「検索クエリ数を見ていると、テレビのゴールデンタイム帯に急激に上昇しているケースがあり、これで何かできないかと思い急上昇ワードを開発した」という。

 倉岡氏は「Google急上昇ワードによって、面白い出会いがあるかもしれないし、世の中の人がどういったものに関心を持っているか知ることも可能になる」とコメント。ランキングは20分間隔更新で、一定のしきい値を超えたキーワードが表示され、同氏は「自分が意図して探すキーワード以外にも、新たなサーチの選択肢を与えるのではないか」とした。


日本におけるサーチ製品戦略 テレビのゴールデンタイム帯に検索トラフィックが急上昇するという 急上昇ワードはモバイル版からも確認できる

自然文を使った日本語検索の向上も今後の課題

賀沢氏
 ソフトウエアエンジニアの賀沢秀人氏は、「日本語の検索精度向上に関する取り組み」を説明。同氏は平仮名や片仮名、漢字、アルファベットを組み合わせて使う「日本語の特徴」、仮名漢字変換を使ってキーワードを入力する「日本語入力の特徴」、情報に対する期待が高い「日本ユーザーの特徴」を挙げ、「どれも素晴らしいことで、これらが日本語の検索に対するチャレンジになる」と指摘した。

 賀沢氏は日本語入力による「表記ゆれ」、IMEの誤変換やIMEオフ時の「打ち間違え」に対して、「正式名である『黒ごまたまご』を『黒ごま卵』と誤って検索した場合にも柔軟に候補を提示できるようしているほか、打ち間違えに関しても正しいと思われる表記を“もしかして”として積極的に提示するようにしている」と語った。

 また、日本ユーザーの特徴として「何か出来事が発生すると、すぐに検索を試みる傾向がある」と指摘。このため、「ニュース記事もフレッシュな情報を出す必要がある」と語るとともに、「検索結果ページのどの部分に配置すれば良いかも、ユーザーの期待に応えられるよう素早く行なっている」とした。

 一方、今後の課題点として自然文による検索を挙げた。今回の説明に当たって賀沢氏は「マック版のパワーポイントでインテンドの幅を変える方法」と検索を試みたが、「最適な回答がまったく出てこなかった」という。その後、キーワードを組み替えることでマイクロソフトのWebページに辿り着いたが、「キーワードを選ばないと答えが出てこないのでは、ユーザーががっかりしてしまう」と述べ、「まだまだ我々のやれることは多く、こうした見つからないものを無くしていきたい」と述べた。


モバイル検索のトラフィックや検索傾向はPCと異なる結果に

岸本氏

PCと携帯からの検索トラフィックパターン。上記のグラフは実数ではなく、スケール比較になる
 最後に登壇したモバイル担当プロダクトマネージャーの岸本豪氏は、日本におけるモバイル検索の動向を説明。岸本氏によれば、「モバイルユーザー自体は米国や中国の方が多いが、実際に検索する割合は日本がダントツに1番である」と紹介し、その背景としてモバイルブロードバンドの普及、モバイルコンテンツの充実度、モバイルに接する歴史の長さが日本にあると指摘した。

 岸本氏は、PCと携帯端末からによるGoogle検索のトラフィックパターンを紹介。PCからの検索トラフィックは昼休み前や終業前(17時から18時頃)にピークを迎えるのに対し、携帯端末のピークは「朝の通勤時に最初の伸びがあり、次いで昼休みに一気に伸びる」とコメント。そして、「夜のテレビ視聴時間帯や就寝時間の前にピークを迎える」と説明した。また、「PCはビジネス、サイエンスが比較的強く、携帯はエンタメ系の割合が多い」と検索内容における違いも紹介した。

 モバイル分野の今後の課題として岸本氏は、PCと同様に「検索精度の向上」を目指すとともに、「モバイル特有のクロールとランキング」、「日本特有のチャレンジ」を挙げた。モバイル特有のクロール手段として携帯電話事業者のIPアドレスしか受け付けないWebサイトへの対応を挙げたほか、「Cookieの対応状況や絵文字の存在も日本特有であり、検索サービスとしてはどのようなものであっても最良な回答を返さなければならない」とした。

 その上で、「ブラウザや端末の進化に合わせて、検索体験の向上を目指してユーザーの見つからないを無くしたい」と抱負を語った。また、「Web検索だけではなく、位置情報などモバイル特有のベストな検索結果を出す努力も継続して行なっていく」と述べた。


関連情報

URL
  Google
  http://www.google.co.jp/

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(村松健至)
2008/06/09 15:47


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