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第76回:これさえあれば外出中も安心! 携帯電話で自宅の様子を確認できる「EZ de DIONモニター」
[2003/10/28]
第75回:無線LAN運用のカギはチャネルに有り 干渉を避けるための設定方法を探る
[2003/10/21]
第74回:これからの情報発信の本命になるか? blogの魅力を探る
[2003/10/14]
第73回:デュアルバンド対応&機能強化で巻き返しを図るアイ・オー・データ機器「WN-AG/BBR」
[2003/10/07]
第72回:低価格路線で変わるプロバイダーのあり方
[2003/09/30]
第71回:インターネット経由でのWakeup On LANに挑戦
[2003/09/16]
第70回:Yahoo! BB 26M+無線LANパックは実用的か?
[2003/09/09]
第69回:アッカ・ネットワークスの26Mbps ADSL開通! 〜他のADSL事業者との違いが明確に〜
[2003/09/02]
第68回:イー・アクセスのADSLプラスIIでAnnexC/Iの違いを比較
[2003/08/19]
第67回:WPAで無線LANはどう変わるのか? 〜その2 実際にWPAの利用と問題点〜
[2003/08/12]
第66回:WPAで無線LANはどう変わるのか? 〜その1 WEPの弱点とWPAのしくみ〜
[2003/08/05]
第65回:Yahoo! BB 26Mを再検証 〜約2Mbpsの速度向上を確認〜
[2003/07/29]
第64回:Yahoo! BB 26M速攻レビュー
〜ダブルスペクトラムの効果はいかに?〜
[2003/07/22]
第63回:エレコム LD-WLS54AG/APが実現するデュアルバンド同時通信環境
[2003/07/15]
第62回:長い沈黙を破って登場した新Atermシリーズ 〜AtermWR7600Hでトリプルワイヤレスは本格化するか?〜
[2003/07/08]
第61回:ついにやってきた20Mbps超ADSL時代 〜24/26Mbps ADSLの全体像を考察する〜
[2003/07/01]
第60回:アクセスポイント間通信でネット家電の無線化に挑戦
[2003/06/24]
第59回:リビングのテレビでお手軽Webブラウジング パナソニック「Tナビ」の実用度はいかに?
[2003/06/17]
第58回:モデル追加されたメルコ LinkStation 静音化対策&機能追加でリベンジなるか?
[2003/06/10]
第57回:ノートPCの無線LAN環境を考える すでに802.11gに対応した機種も……
[2003/06/03]
第56回:MPEG2やDivXも家庭用テレビで再生可能 「Play@TV」で快適なテレビ生活ができるか?
[2003/05/27]
第55回:PHSと無線LANの一発切替ツールが登場 b-mobileはモバイル通信の救世主となるか?
[2003/05/20]
第54回:待望の802.11a/gデュアルバンド対応無線LAN アイ・オー「WN-G54/BBR-S」の完成度はいかに?
[2003/05/13]
第53回:HDD&DVDビデオレコーダーをネットワーク対応に パナソニック ブロードバンドレシーバーを試す
[2003/05/06]
第52回:デスクトップPCもワイヤレス化したい!エレコム LD-WL5411/PCIを試す
[2003/04/22]
第51回:IP電話は普及するのか? VoIPサービスの現状と今後を考える
[2003/04/15]
第50回:IEEE 802.11gに登場した新たな選択肢 corega WLAP-54GT Setを試す
[2003/04/08]
第49回:こんなにも多機能になったプリントサーバー 使いやすく進化した2製品を試す
[2003/03/25]
第48回:汚名返上を目指すドラフト版IEEE 802.11g 新ファームウェアでメルコWBR-G54とLINKSYS WRT54Gを試す
[2003/03/18]
第47回:実力を発揮するのはこれから? ソニー ブロードバンドAVルータに隠された謎を解けるか
[2003/03/11]
第46回:ハードディスクもネットワークで増設する時代に メルコ LinkStation HD-80LANを試す
[2003/03/04]
第45回:ブロードバンドはどこを目指すのか? 混迷するADSL
[2003/02/25]
第44回:5,000円でも機能は十分? 低価格ルータ3機種を比較
[2003/02/18]
第43回:祝・FTTH2回線開通〜BフレッツとUSEN BROAD-GATE 01を比較する
[2003/02/04]
第42回:リンクシスの意欲作〜802.11g対応無線LANルータ Wireless-Gを試す
[2003/01/21]
第41回:新環境でADSL 3回線を比較
[2003/01/14]
第40回:どうする? どうなる? 引越に伴うADSLの移設
[2003/01/07]
第39回:12Mbps ADSLの最新の動向を事業者に聞く 〜イー・アクセス編〜
[2002/12/24]
第38回:フレッツ・ADSL モア開通 〜NTT東西の12Mbpsの実力はいかに?〜
[2002/12/17]
第37回:12Mbps ADSLの最新の動向を事業者に聞く 〜アッカ・ネットワークス編〜
[2002/12/10]
第36回:大幅に進化したIEEE 802.11aチップセット アイコム SL-5000を試す
[2002/12/03]
第35回:待望の802.11a対応ワイヤレスLANコンバーター ソニー PCWA-DE50を試す
[2002/11/26]
第34回:常時接続環境でストリーム配信に挑戦 BROAD STREAM TSR-MS4をテスト
[2002/11/19]
第33回:アッカ・ネットワークスの12Mbps ADSL開通 オーバーラップの効果は如何に?
[2002/11/12]
第32回:低価格化が進むIEEE 802.11b対応無線LANルータ NECアクセステクニカ「WARPSTARΔ WB7000H」を試す
[2002/11/05]
第31回:インターネット経由でテレビが見たい! 「INFOCITY ドコデモTV」を試す
[2002/10/29]
第30回:第2世代チップで普及へ弾みを付けるIEEE 802.11a Atheros Communicationsインタビュー
[2002/10/22]
第29回:PPPoE 2セッション同時接続可能になったフレッツ・ADSLを検証
[2002/10/08]
第28回:ホットスポットをどこまで便利に使えるか? ソースネクストの「どこでも無線LAN」を試す
[2002/10/01]
第27回:フレッツ・ADSL モアで何が変わるのか? NTT東日本インタビュー
[2002/09/24]
第26回:単体製品へと回帰するIEEE 802.11b 小型アクセスポイント3機種を試す
[2002/09/17]
第25回:選択肢が増えてきた802.11a対応製品 NECのAterm WA7500Hを試す
[2002/09/10]
第24回:このままでいいのか? あまりに違うルータのパッケージ記載内容と実性能
[2002/09/03]
第23回:無線LANのセキュリティソフトは有効!? ソースネクストの「鉄壁 無線LAN」を試す
[2002/08/20]
第22回:Yahoo!BB 12M開通! 他のADSLへの影響はいかに
[2002/08/13]
第21回:FREESPOT始めました! メルコの導入キット「FS-01」を試す
[2002/08/06]
第20回:これからの無線LANはセキュリティ設定がカギ IEEE 802.11aに対応したアイコム「AP-120B」を試す
[2002/07/30]
第19回:NASの実力はいかに? アイ・オー・データの「HDA-i120G/LAN」を試す
[2002/07/23]
第18回:ADSL 12Mタイプの方式乱立で混迷の時代となるか?
[2002/07/16]
第17回:NETWORLD+INTEROP 2002 TOKYOレポート ようやく見えてきた次世代技術の使い道
[2002/07/09]
第16回:速度だけを強調したルーターはもう古い
[2002/06/25]
第15回:緊急警告!! 今すぐ無線LANのセキュリティを設定せよ
[2002/06/11]
第14回:2回線のADSLを同時接続しスピードアップに挑戦
[2002/05/28]
特別編:USENのHFC通信の詳細について聞く
[2002/05/23]
第13回:イー・アクセスの新ファームウェアを試す
[2002/05/14]
第12回:プレイステーション 2を無線LAN化
[2002/04/30]
特別編:アッカ・ネットワークスに聞く
[2002/04/24]
第11回:フレッツ・ADSLを8Mタイプに移行
[2002/04/16]
第10回:ルータとしての完成度はいまひとつ?!
[2002/04/02]
第9回:安定性向上に効果あり、FBM方式を試す
[2002/03/19]
特別編:アッカ・ネットワークス インタビュー
[2002/03/13]
第8回:アッカの8Mbps ADSLを導入
[2002/03/05]
第7回:UPnP対応ルータで半分だけ解決されるMessenger問題
[2002/02/19]
特別編補足版:近端漏話とカッド構造の密接な関係
[2002/02/15]
第6回:802.11a対応無線LANアクセスポイントを試す
[2002/02/05]
特別編:つながらない!? ADSL 8Mサービスの現状を探る
[2002/01/30]
第5回:ハッキリ言ってくだらないスループット論争
[2002/01/22]
第4回:エレコム LD-WBBR4のWindows Messenger対応ファームを試す
[2002/01/08]
第3回:Windows XPのブロードバンド度をチェック・3
[2001/12/18]
第2回:Windows XPのブロードバンド度をチェック・2
[2001/12/04]
第1回:Windows XPのブロードバンド度をチェック
[2001/11/15]

第48回:汚名返上を目指すドラフト版IEEE 802.11g
〜新ファームウェアでメルコWBR-G54とLINKSYS WRT54Gを試す〜


 IEEE 802.11gやインテルのCentrinoなど、無線LAN製品が何かと市場を賑わせている。今回は、その中からすでに市販されているドラフト版IEEE 802.11gに準拠した2製品を取り上げ、その性能を実際にテストしてみた。当初はあまり良い評価を受けることができなかったドラフト版IEEE 802.11g製品だが、最新のドラフト6.1対応ファームウェアで汚名返上なるかが期待されるところだ。


実力を過小評価されてしまったIEEE 802.11g

 本来、IEEE 802.11gは、無線LAN市場に革命をもたらす大きな期待を背負った規格だった。これまでのIEEE 802.11bと同じ2.4GHz帯を利用しながら、最大速度を54Mbpsに引き上げられる点はユーザーにとって既存の資産を活かしながら無線環境をアップグレードできるメリットがあり、メーカーにとっても低コストで機器を開発できるという大きなメリットをもたらすものであった。

 しかしながら、ここ数週間の動向を見る限りIEEE 802.11gへの風当たりは強い。すでに製品としてドラフト版のIEEE 802.11gに準拠した製品が登場しているが、電波が飛ばない、思ったほど通信速度が速くないなどとさまざまなメディアで評されてしまっている。また、先日はメルコのIEEE 802.11g対応無線LANカード「WLI-CB-G54」の初期ロットに不良品が混じるという問題が発生しており、製品の回収・交換の話題が大きく取り上げられてしまった。残念ながら、IEEE 802.11gの船出は思いのほか難航してしまった感じだ。ドラフト版製品が未発表のメーカーの動きも慎重で、規格自体が正式に策定されないかぎり製品を出さないというスタンスをとるところが多い。これでは市場があまり盛り上がらないのも納得できる。

 では、このままIEEE 802.11gは盛り上がりに欠けるままなのだろうか? どうやら、そんなことはなさそうだ。実際にドラフト版のIEEE 802.11g製品2機種をテストしてみたが、これまでの汚名を返上するだけの性能を実際に目の当たりにすることができた。


条件次第ではIEEE 802.11aを上回る性能も

 今回、テストに用いたのは、メルコの「WBR-G54」、そしてLINKSYSの「WRT54G」の2製品だ。LINKSYSの「WRT54G」については、本連載ですでにレポート済みだが、前回テストに用いたのが開発途中のテスト機であったのに対して、今回は国内で正式に発売されたモデルを購入してテストを実施した。

 なお、今回のテストは本来、早期に掲載する予定だったが、前述したとおりメルコの製品の一部不良などが報道されたこと、加えてIEEE 802.11gのドラフト6.1に対応したファームが両社から相次いでリリースされたため、これに合わせるタイミングで掲載を先延ばしにした経緯がある。このため、今回のテストでは、未対策のカードと対策済みカード、各ファームウェアのバージョンでテストした日時が異なる点をあらかじめお断りしておく。FTPの値に関してはLAN内での計測になるためあまり影響はないが、インターネットの接続速度は計測する日時によって速度にバラツキがあるため、参考程度に考えて欲しい。

 また、今回は、あえて筆者個人が所有するメルコ製の初期ロット製品(不良対策前の無線LANカード)の速度も併せて計測してあるが、これは初期ロットの一部にのみ発生している問題であり、現在出荷されている無線LANカードには問題がないことも付け加えておく。

 気になるテスト結果だが、以下の表のようになった。結論から言えば、LINKSYS、メルコの製品ともに良好な速度を計測することができた。特にドラフト6.1対応ファームによる効果は大きく、どちらの製品も速度の向上が見られた。通信速度面、電波の到達範囲の両面でかなりの改善が行なわれていることが顕著に現れた。

インターネット接続テスト
有線スループット 1F 2F 3F 備考
下り 上り 下り 上り 下り 上り 下り 上り
LINKSYS
WRT54G
20.01 8.85 17.05 9.11 9.42 6.40 8.56 5.74 電波が非常に安定しており、フォール・バックがほとんど見られない。
LINKSYS
WRT54G
6.1ファーム
- - 16.31 9.37 9.14 6.13 8.75 5.68 旧バージョンに比べるとフォールバックの発生頻度が高く、多少安定性が劣る印象。速度的にも多少劣る。
メルコ
WBR-G54 5.0
19.20 9.76 15.84 10.02 5.88 4.76 5.18 4.27 電波状況が悪くなるに従ってフォール・バックが頻繁に発生。特に3Fでは2〜24Mbpsの間で頻繁に速度が切り替わる。かなり不安定。
メルコ
WBR-G54 5.0
+無指向性アンテナ
- - 12.78 6.72 4.32 4.35 4.43 4.24 電波強度は多少向上しているが、フォールバックの発生頻度はさほど変わらず、速度もさほど変化なし。効果的にはあまり変わらない。
メルコ
WBR-G54 5.0
+指向性アンテナ
- - 12.76 9.56 5.36 4.75 6.80 5.76 電波強度、フォールバック状況なども安定傾向にあるが、速度は伸びず。
メルコ
WBR-G54 5.0
+対策済カード
- - 15.13 10.09 8.52 7.63 8.49 6.28 3Fでは電波強度が多少程度に落ちるが、36-54Mbpsの速度を常にキープ。非常に安定。
メルコ
WBR-G54 5.0
+対策済みカード
+指向性アンテナ
- - 13.46 8.62 8.68 6.77 8.29 6.06 アンテナをつけるとなぜか電波が安定せず。強度は明らかに上がっているが、フォールバックがはげしい。
メルコ
WBR-G54 6.1
+対策済みカード
- - 14.09 9.91 13.38 9.70 9.27 5.97 速度も電波強度も驚くほど向上。フォールバックもほとんどない。テスト時は54Mbps表示で張り付き
NEC
WL54AP
+WL54AC(802.11a)
- - 17.60 9.10 9.19 6.07 11.35 5.25 11g 5.0ほどではないが、電波状況によってフォール・バックが発生。3Fでは6〜18Mbpsで切り替わりが発生。
※RBB TODAYにて速度を計測。回線にはBフレッツニューファミリーを使用
※すべてのテストで64bitのWEP暗号化を設定
※クライアントにはCeleron 1.6GHz 512MBメモリ搭載のノートPCを使用
FTPテスト
  1F 2F 3F
有線LAN 52.37 - -
LINKSYS WRT54G 16.69 9.38 8.66
WRT54G 6.1ファーム 15.77 10.71 8.45
MELCO WBR-G54 5.0 14.78 4.73 4.27
WBR-G54 5.0+無指向性アンテナ 15.26 4.12 4.27
WBR-G54 5.0+指向性アンテナ 14.01 7.03 5.86
WBR-G54 5.0+対策済カード 13.88 7.97 7.21
WBR-G54 5.0+対策済みカード+指向性アンテナ 14.91 7.74 4.72
WBR-G54 6.1+対策済みカード 15.04 11.25 10.10
NEC WL54AP+WL54AC(802.11a) 17.98 9.89 9.51
※100MBのファイルを転送。コマンドプロンプトのFTPにて表示された速度をMbps換算
※サーバーにはPentiumIII 733MHz 512MBメモリ搭載機を使用し、IISのFTPサーバーを利用した
※クライアントにはCeleron 1.6GHz 512MBメモリ搭載のノートPCを使用

 特に注目したいのは2階や3階での計測結果だ。たとえばFTPによる計測結果を見てみると、LINKSYSのWRT54GではIEEE 802.11aに比べて若干劣る程度の値にとどまるが、WBR-G54 6.1+対策済みカードでは完全にIEEE 802.11aを凌ぐ10Mbps以上の測定結果がコンスタントに得られるという結果になった。通信距離が遠い場合や遮蔽物が多い環境に強い2.4GHz帯の特性がうまく表れた格好だ。

 この結果から分析するに、当初、各メディアでドラフト版IEEE 802.11g製品の性能に疑問符が付けられたのは、ひとえにメルコの未対策のカードでテストが行なわれたからにほかならないことがよくわかる。おそらく、各テスターが使用した機材にも未対策品が含まれていたのだろう。実際、今回のテストでも、当初は、あまりにもメルコ製品の結果が芳しくなかったため、わざわざ無指向製と指向性の両外部アンテナまで購入して、その速度までも計測したという経緯もある。

 しかしながら、今回、対策済みのカードに加え、新たにリリースされたドラフト6.1のファームを利用して計測したところ、これまでとは比べものにならないほど電波状況が安定し、速度もかなり向上する結果となった。はじめから、この製品が市場に出回っていれば、実力を過小評価されるということもなかったと思えて仕方がない。この点は非常に残念だ。


使いやすさではメルコが一枚上

 製品としての機能や使いやすさなどでは、今回、テストした2製品に限っては、やはりメルコの製品が一枚上手だ。設定画面やマニュアル、ユーティリティなどの完成度が高く、初心者でも安心して使える。特に、付属のCD-ROMに収録されている音声と映像で設定をガイドする「かんたん導入ムービー」は初心者の強い味方となる非常にいい工夫だ。LINKSYSの製品もシンプルでわかりやすい設定画面などが好印象だが、初心者向けという観点で考えるとメルコに分がある。

LINKSYSの設定画面。シンプルな構成で、どちらかと言えば中上級者向き。機能的には必要十分だが、PPPoEマルチセッションへの対応など日本国内の動向に合わせた改善を期待したいところだ

 機能面では、Universal Plug and Play(UPnP)への対応など、ルーターとしての基本機能が両製品ともにきちんと備えられており、無線LANのセキュリティ機能に関してもWEP、MACアドレスフィルタリング、ANY接続拒否やSSIDブロードキャスト禁止などが搭載されるなど完成度は高い。有線部分のスループットも両者とも20Mbps前後と互角の性能となっており、このあたりについては、どちらも文句のない出来と言えるだろう。なお、メルコのWBR-G54はPPPoEマルチセッションにも対応予定となっているが、現段階では対応版ファームウェアは登場していないので、この機能を利用したい場合はもうしばらく待つ必要がある。


メルコの動作モードの違いはレートセットの違い

 ちなみに、メルコの製品に関しては、機能面でもうひとつ触れておきたい点がある。無線LANの動作モードに関してだ。メルコのWBR-G54には、無線LANの動作モードとして「11g(54M)-Turbo」、「11g(54M)/11b(11M)-Turbo」、「「11g(54M)/11b(11M)-Auto」、「11b(11M)-WiFi」の4つのモードが用意されている(LINKSYSはIEEE 802.11g/MIX/IEEE 802.11bの3モード)。「11g(54M)-Turbo」と「11b(11M)-WiFi」は、それぞれIEEE 802.11gとIEEE 802.11bの専用モードだが、その中間にTurboモードとAutoモードの2つがある点を疑問に思っているユーザーも多いことだろう。

メルコ WBR-G54には4つの動作モードが用意されている。ほかにも違いはあるが、基本的な違いはレートセットにあると思って差し支えない。一般的にはTurboモードを利用すればいいだろう

 この2つのモードの違いは、主にレートセットの差と考えて良い。無線LANでは、電波状況などに応じて、速度を変更する機能が備えられており、IEEE 802.11gでは通常「54-48-36-24-18-12-11-9-6-5.5-2-1」といった具合に状況に応じて12のモードで通信速度を変化させる仕様になっている。要するに、電波状況が良いケースであれば54Mbpsで通信するが、電波状況が悪くなれば、エラーなどの発生を抑えるために次第に速度を落として(フォールバック)通信を安定させるわけだ。

 先のTurboモードとAutoモードの違いは、主にこの動作の違いだ。Turboモードでは12の速度をすべてレートセットとして利用するが、Autoモードでは12の速度から「24,12,9,6」の速度を除外した8つの速度のみを利用する仕様になっている(メルコの独自仕様)。なぜ、このようなことをしているのかというと、特定のベンダーの無線LANチップとの互換性を保つためだ。無線LANチップの中には、レートセットを8つまでしかサポートしないものが存在する。このような製品でも問題なく利用できるように、通常のTurboモードに加えて、Autoモードが用意されているわけだ。

 このため、Turboと名は付いているが、決して通信速度を高速化するような技術が存在するわけではない。もちろん、結果的には高速な通信が可能な場合もあるのだが、どちらかというとフォールバックを細かく制御できるようにして、速度を落ちにくくしているというイメージになる。このため、電波状況が悪いケースなどではTurboモードの方が高速に通信できる可能性があるが、電波状況が良いケースではTurboモードでもAutoモードでも速度的には大きな違いは現れない。

 通常はTurboモードで利用し、通信できない無線LANカードが存在した場合にAutoモードに変更するという使い方をすることになるだろうが、4つもモードが存在すると実際にどれを選んで良いのかを迷ってしまう。ユーザーの混乱を避けるためにも、もう少し情報を提供した方がいいのではないかと思われる。


問題はシングルバンドであること

 このように、両製品とも、今回テストした限りではドラフト6.1ファームによって本来の実力が発揮できるようになり、かなり完成度が高くなった印象を受けた。現状のIEEE 802.11bとIEEE 802.11a製品との価格差を考えると、かなりお買得な製品だと言うことができるだろう。特にLINKSYSの製品は現状、購入できる店舗が一部店舗とオンラインショップのみと限られるものの、メルコ製品に比べてセットで5,000円ほど安く、非常にコストパフォーマンスが高い製品だと言える。

 ただし、このような性能面、価格面にアドバンテージがあったとしても、現段階でこの2製品を購入するのは、それなりに覚悟がいる。現状、無線LAN業界の動向は、急速にシングルバンドからデュアルバンド(2.4GHzと5GHzの両対応。いわゆるコンボ)へと移行しつつある。実際、すでに米国ではLINKSYSからIEEE 802.11a/b/g対応の製品が出荷を開始米ネットギアも3月中旬からコンボ製品を出荷する予定となっている。また、国内でもTDKがIEEE 802.11a/b対応の無線LANカードを3月からOEM出荷開始することを発表した

 さらに言うならば、先日インテルからノートPC向けの新アーキテクチャ「Centrino」が発表されたが、現状はCentrinoがIEEE 802.11bのシングルバンドにしか対応していないため、同時に発表された一部のメーカーの製品では、上位機種でCentrinoブランドを捨ててでも802.11a/b対応デュアルバンドの無線LANモジュールを搭載する製品が開発されている。つまり、もはやシングルバンドではユーザーへの訴求が難しいとPCメーカー側も判断しつつあるわけだ。

 もちろん、家庭内で手軽にワイヤレス環境を構築したいのであれば、価格的にメリットがあるシングルバンド製品の活躍シーンはまだまだ多いと言える。しかしながら、これが言えるのは家庭内や企業内など、限られた空間でしか無線LANを使わない場合の話だ。たとえば、無線LANカード側がデュアルバンドに対応していなければ、依然としてモバイルなどの利用シーンで、利用場所に合わせてカードを差し替えなければならないという不便がユーザーにのしかかる。ドラフト版IEEE 802.11g製品に限らず、現段階で無線LAN製品を購入するのであれば、やはりこの点は十分に考慮しておかなければならない。

 無線LAN製品の動向は、これからIEEE 802.11gの正式策定が行なわれる6月前後まで、かなり変動が激しい時期だと言える。この状況を考えると、現段階では、シングルバンドの製品をユーザーに安易におすすめすることはできない。もちろん、今回取り上げた2製品は、製品自体の完成度はかなり高いと言える。このため、すぐに高速な無線LANを導入したいというのであれば、決して悪くはない選択だ。しかし、無線LANの全体的な動向を考えるとIEEE 802.11bからのアップグレードはかなり慎重になりたいところだろう。少なくとも6月のIEEE 802.11g正式策定を待ち、もう少し市場に製品が登場してから購入しても遅くはない。

(2003/03/18 清水理史)


□関連記事:リンクシス、IEEE 802.11g無線LAN製品「Wireless-Gシリーズ」
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/829.html
□関連記事:メルコ、IEEE 802.11gの無線LANカードを無償交換と発表
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/878.html

清水理史
 製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できる ADSL」ほか多数の著書がある。
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