■ADSLスループット値の向上はめんどー臭い
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ソースネクスト「驚速ADSL」標準価格4900円 |
ADSLを使い始めた直前~当初は、まぁ何て素晴らしい通信技術なのかしらっ!! と、ただただひたすら感激していた。それまでISDN(1B)の64kbpsだった通信速度が、下り最大1.5Mbpsになる。ええっこれまでの20倍以上の通信速度なのッ!? と加入前に大興奮。加入して使用開始直後、とりあえずウェブサイトを閲覧してみたらその超っ速さ加減にまたもや大興奮!! ほんとだ!! ほんとーに速いッ!! と。
56kbpsとかのアナログモデムを使っていた頃と比べると、信じられないほどインターネットを快適に利用できまくり尽くせるのであって、あぁあの頃はとたった数年前を思い出すと、今現在に生きていてほんとーに良かったなぁと通信テクノロジーっつーモンに心から感謝したくなるほどっていうか感謝しまくったほどである。
が、容量とか速度っつー事柄には、人間はすぐ慣れちゃうのである。最初の1カ月は「超激ウルトラ高速!!」と堪能できても、次の1カ月は「やっぱり速いなぁ」であり、その次の1カ月は「十分速い」であって、その後は大興奮だったこの速さも「ん~、もっと速ければいいなぁ」となる。なんたる欲深なわしら!! でもこの欲深さがテクノロジーの高度化に結びついたりするので、通信環境への欲深さは良いのであってオッケーであって問題ナシなのだ。
問題なのは、欲深になっても、すぐその欲望が満たされるとは限らないということだ。「もっと速いといいなぁ」と思ったとき、すぐFTTH(Fiber to the Home)すなわち光ファイバーによるインターネット接続なんかができたりすればいいが、実際にはFTTHサービスを受けられない地域に住んでいないとか、サービス料金がまだ高いとか、欲望昇華は阻まれがちだ。
そんなADSLユーザーの多くは、現在の通信速度を少しでも高めようと、アレコレと工夫をする。OSをチューンナップしたり、ノイズ対策をしたり、手を出せる範囲で工夫し、少しでも高いスループット値を実現させようと頑張るわけだ。
まあ、趣味としてのスループット値向上工夫はオモシロいのだが、その工夫自体を楽しめない向き――難しいコトはとにかくイヤだし現在の通信速度も遅くてイヤ、てな人にとっては、たまらないかったるさである。速いって聞いて加入したのに、そんなに速くないし、速くなる方法があるっていうけど何だか難しいしわけわかんねーし、わーもうイヤだーッとイラついちゃう人も多いのではないだろうか。
実際、ADSLスループット値の向上は、知識も時間もお金も、ちょいとばかり必要になる。
まず、知識として、ADSLに関する用語をいろいろ理解しないといけない。スループットってナニ? bpsってナニ? MTUってナニ? RWINってナニ? けっこーいろいろ調べないと、スループット向上の工夫を始められなかったりする。
知識を得るために、つまりは勉強するわけだが、その時間もかかる。学習時間はもちろん、ネットでスループット向上技を調べたり、読んだり、試したり、何度もマシンをリセットしたり、始めると速攻で数時間経っちゃうくらい試行錯誤が要る。学んだり調べたり試行錯誤したりで、もう何十時間も費やしているのにスループット値なんざぁ全然上がりゃしねえ俺などは、俺の時間を返せーッてな感じで不毛感満載で生活中なのである。ガックシ。
お金もけっこーかかる。モジュラーケーブルをツイスト線のものやツイスト・シールド線のものに交換、ノイズフィルタの購入、高速とウワサのモデム内蔵ルータを購入。まあ、お金をかけずにスループットを上げる方法もたくさんあるが、アレを買えばスループット上がるらしいヨなんて話を聞くと、思わず出費してみたくもなるわけだ。
そして多くの人は、例えば8Mbpsのサービスで6Mbpsや7Mbpsほどのスループットは出ておらず、1.5Mbpsのサービスでも1Mbps出てる人ってのは多くない。かなり多くの人が「ホントは8Mbps(あるいは1.5Mbps)くらいの速度がでるハズのサービスなのになぁ」と不満な状態でいる。100人中数人程度が言う「ウチは1.5Mbpsのサービスで1.4Mbps出てますよー!!」的理想的環境自慢を聞くと、その不満はますます膨らみ、結局、知識と時間とお金が必要な、面倒臭いスループット値向上努力を始めちまうのである。
■金で面倒をなくす
スループット値向上努力はすげぇ面倒、てな話はマジで本当だが、なんで今さらこんなコトを書いているのかと言うと、それらの面倒の多くを肩代わりしてくれるソフトが出たからだ。それはソースネクストの『驚速ADSL』。スループット値向に関わる多くの努力を、このソフトによって軽減することができる。
驚速ADSLの機能としては、まずOSの通信設定の最適化――MTU(転送パケットサイズの最大値)やRWIN(無確認で連続して受け取れる最大データ量)などの値の自動チューンナップだ。これはスループット向上努力野郎にはよく知られている操作で、特にWindows 2000/XP以外のWindowsでADSLを使うには必須とも言われるものだ。これらの値をうまく設定した場合は“劇的”とも思えるスループット値が向上するケース“も”ある。……が、Windowsのレジストリをいじくる操作なので、知識と度胸が必要になる。最近ではこれらの値を安全にいじれるフリーウェア等も出てきたが、設定時に専門用語の理解が必要など、初心者には手を出しにくい領域でもある。
で、驚速ADSLはこの操作をボタン一発でやっちまってくれる。使用中のOSや通信環境から、最適なチューンナップを施してくれるというわけだ。また、驚速ADSLはRWIN値を最適に自動設定するが、これを手動で調整することもできる。なーんかすぐに接続が途切れちゃうなーみたいなサーバに接続しまくりな人は、あるいはこの手動設定でRWIN値を低くすると通信の快適さが高まるかも、だ。
それから、ユニークなところではDNS(Domain Name System)キャッシュ機能なんてのもある。これは直接的にはスループット向上とは関わりがないが、ウェブページ閲覧時の快適さは増す感じ。DNSはURLをIPアドレスに変換するしくみで、ユーザーがhttp://www……と入力したり、ブックマークを選んだりするといつもマシンはDNSサーバにアクセスし、URL→IPアドレスの変換を求める。つまりは何らかのページを開こうとする時、ページにアクセスする前に、DNSサーバにアクセスしているのだ、わしらのパソコンは。まあローカルディスク上にキャッシュがあったりすると話は別だが……。
驚速ADSLのDNSキャッシュ機能は、この、パソコンのいつもの手間であるDNSサーバへのアクセス回数を低減させてくれる。DNSサーバから得た情報をHDD上に持たせることで、その後はDNSサーバへのアクセス回数が減らせる→いきなり目的のページにアクセスできる→ページによってはパパパッと素早く表示させられるようになる。
実際このDNSキャッシュ機能がどのくらい快適かと言えば、ん~、ADSL接続の環境で好ましい状況下にあるDNSサーバを使って(使えて)いる場合は、そーんなに「速くなった!!」とは感じない。ていうか俺の場合、なんか効果があるのかどうか体感できていない。が、プロバイダ指定のDNSサーバの反応が悪いとか、時間帯によってページを表示しにくくなるとか、そんな不都合を感じるユーザーにとっては有り難い機能だと言えよう。ちなみに、ソフトウェア上でどの程度DNSキャッシュ機能の効果があったのかをグラフ化して見られるので、ベンチマークマニア指向な人には楽しめるかもしれない。
ともあれ、ボタン一発でOSの(ブロードバンド向け)チューンをやってくれて、DNSアクセスの時間も節約してくれる驚速ADSLは、ADSL環境を少しでも快適にしたいと思う人や、ブロードバンド向けにOSをチューンしたい初心者には好都合であると同時に楽勝なソフトだと言えよう。
■意外にイケてる付属のTips集
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「驚速ADSL」画面。付属のTips集が意外にイケてる! |
OSのチューンをほぼやる必要がないWindows 2000を使っており、また、既にADSL高速化の試みをイロイロやってる拙者にとっては、この驚速ADSLは「これすげー便利!!」てなイメージではない。いやフレッツADSL導入直後にこのソフトがあったら超便利だと感じたと思うのだが……それにしても、最近になってADSLのスループット値向上努力を始めた人は、このよーな楽勝ソフトが存在していて良かったですねぇ拙者なんかは時間使いまくり苦労しまくりで現在に至ってるのに~もうズルい~みたいな、嫉妬にも似た心情である。
で、特に嫉妬を感じてしまうっていうか、あぁこりゃイケてるよ便利だよと思うのが、驚速ADSLに含まれる“速くするためのスーパーTips集 ”だ。これは、「こーするとスループット上がるかも」とか「こーやればもっと快適になる」というアドバイス集で、パソコンのハードウェア・ソフトウェアに関するアドバイスから始まり、室内・屋外の(通信速度高速化)対策、さらには手抜かりない対策を行うためのチェックシートが含まれたいる。
つまりは、ネット上のいろいろなトコロでやりとりされている“ADSLスループット向上のためのノウハウの集大成”みたいなモンなのである。既にスループット値向上努力をしまくっている人にとっては、その多くが「あ、これ知ってる」といった内容になるのだが、でも、これからネットなどでスループット値向のノウハウを仕入れようと思うなら、ネットを調べるよりもこのTips集を見た方が吉だ。
というのは、まず、それぞれのTipsがヒジョーにやさしくわかりやすく書かれていること。難解な言い回しや用語は極力避けて書いた、てな感じ。Tips集として実用的であり、かつ、敷居の低い入門書としても読める。
それと、Tipsとしてスループット向上のための要点がほとんど押さえられていること。例えば屋内での対策Tipsなら、保安器やスプリッタやADSLモデムの距離関係から始まり、モジュラージャックの数や電話線の分配、アース、ノイズ、さらにはモジュラージャック内部のコンデンサなど、大きなポイントから些細なポイントまでほとんどを網羅している。
まあ、極論として言えば、驚速ADSLのパッケージでできることのほとんどが、ネット上のフリーソフトやノウハウページを使ってできることだ。が、それらソフトやノウハウを得るまでの苦労がタイヘンだっつーこと。前述のように、かなり面倒臭いのだ。そのあたりの手間や苦労をなくして、おいしいところだけスコッと手に入れられるソフトとして、驚速ADSLはなかなかイケてて大したモンだなぁとか思うのであった。
……はぁ、でも、驚速ADSLを使っても俺のスループット値には変化ナシであり、やはり拙者のスループットはもうギリギリ精一杯の限界なのだろーか、とか落ち込んだりする。だがしかし!! 俺は諦めない!! 絶対にスループット向上を諦めないのダ!! って頑張り続けているとエキサイティングにフレッツADSL8Mbpsサービスを待っていられると思うワケなんですよダンナ!! そしてフレッツADSL8Mbpsになっても「8Mbpsのスループットを目指すぜ!!」とかド根性で頑張っていると、気合が入ったままFTTH時代が来るような気がするんですよ奥さん!! しかし、頑張れば頑張るほど、不毛な時間が増すような気がしなくもない……なんてなことは考えないほうが精神衛生上よろしいような気がしなくもない今回であった。
□驚速ADSL製品情報(ソースネクスト)
http://www.sourcenext.com/products/adsl/
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2002/03/26)
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