■ここはホントに“光の国”なのか!?
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ベストエフォートサービスとはいえ、スループット値の変動大きすぎ!! 良いときと悪いときで30Mbps以上の開き!! これがホントにベストのエフォートなのかッ!?
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イーヤッハァ~Bフレッツ開通だぜぇ!! 現在の俺のスループット値はこないだまでの値(ADSL環境で2.2Mbps前後)の16倍だぜぇ!! うっひゃぁ快適ッ!! Bフレッツ(ニューファミリータイプ)の速さにすんげぇ喜んでいる拙者である。素晴らしい!! とても良い!! 光の国は最高だゼ!! ……と、最初は思えたのだが、開通から3日、4日、そして1週間、10日と、日が経つにつれ、「んむむ?」てな疑問を持つようになった。
疑問はふたつ。
まず、時間帯によってスループット値がヒッジョーに大きく変動しやがること。開通当初は、本連載の前回でも書いたように『14~17時頃は平均して30Mbps台後半、夕方を過ぎると20~30Mbps程度、20時以降から夜中までは10~20Mbps』となる。一日を通して見ると、10~30Mbpsの間を行き来する感じだ。でもまあベストエフォート型のサービスだからしょーがないかなぁ、と強引に納得していた。
ところがソレは開通当初だけで、日にちが経ってみると俺の光回線はすっかり安定したスループット値が出……ればノープロブレムだが、その逆。速いときと遅いときの差がさらに開いちまったのだ。具体的には、一日を通して見ると、3~37Mbps程度。日によっては8~39Mbps程度。良い時と悪いときで30Mbps以上の開きがある!! ナンだそりゃ!? ベストエフォート型だとは言っても、いくらなんでもオカシイ!! いやホントにベストのエフォートなのかーッ!? エフォートを怠っていやしないかーッ!? ど・う・な・の、くわーッ!!
もうひとつの疑問は、ダウンロード(下り)とアップロード(上り)の速度差。前述した数値は下り速度だが、上り速度に関しては最強に良いときで20Mbps、超激最強に良い瞬間で39Mbpsくらい。しかし、いつもは一日を通して1~10Mbpsという感じ。スループット値に開きがあるうえに、なーんか遅い。BフレッツはAsymmetricすなわち上り下りの速度が非対称“ではない”ハズだ。上りも下りも同じパフォーマンスが出る回線&通信技術。
まあ、下り方向はサーバからデータが送出され、上り方向はわしのパソコンからデータが送出される。マシンのパフォーマンスで速度差が出るよーな気がするので、上り下りのスループット値が多少違ってもしょーがないかもな、と思える。けれど、下りが10~30Mbpsで、上りが1~10Mbpsって、ちょーっと違いすぎやしませんカ、と。
■わぁオ!! フレッツ・スクウェア好き好き!!
なんじゃろなぁ~この上り下りのスループット値の差は~とモヤモヤしつつもBフレッツを使っていた。基本的にはイイのだ。以前より速いし、下りが1Mbpsとかになる短い時間帯に遭遇しても、それでもウェブページを閲覧するぶんには非常に快適なのだ。また、俺の使い方において上り速度が必要になるコトはそーそーナイから、気にしなければ気分良く使える拙宅的Bフレッツなのである。
が、値がマニアックっていうか細かいっていうか神経質っていうかビビりっていうか、そういうヤツなので、“上り下りの速度差がありまくりだし上り速度は相対的にかな~り遅い”てなコトを知ってしまうと、もー気になって気になってしょうがない。
てなわけで、速度的には十分快適だが、気分的には今ひとつスッキリせず過ごしていたら、あ!! フレッツ・スクウェアにつながった!! 何となく試しにつないでみたら、スコッとつながった!! わーい!!
話は大きく逸れるが、そうなのである。本連載の前回で述べたように、Bフレッツが開通してからナゼだか不思議と全然フレッツ・スクウェアに接続できなかったのだ。が、突然、ナゼだか不思議とフレッツ・スクウェアにつながるよーになった。アレコレ考えたり調べたりしたものの、やっぱり原因不明。でもまあ、フレッツ・スクウェアに接続できたからヨシとしておこう!! (←こういう中途半端なコト続けてるといずれデカいトラブルに見舞われるんスよね~)
で、早速フレッツ・スクウェアでのスループット値計測にトライ……したらギャーン!! ズギャーム!! ドギャギャギャーン!! パソコンが故障したのかと思いましたよええ!! てのは、いっきなり72.12Mbpsとかいう数値が出たから!! マジすか一発目で!? いやなんか違う。きっと違うハズ。違うに違いない!! ……もいっかい計測。ズギャギャギャギャーム!! また70Mbps台!! 素晴らしい!! 素晴らしすぎて漏れそうだ!! 一滴程度漏れた気もする!!
そのスループット値に大感激した俺は、以前は「クローズドじゃ意味ねーよ」とか思っていたフレッツ・スクウェアが大大大好きになっちまった。このページをポータルにしていきたい!! そして俺はフレッツ・スクウェア内だけで生きていく!! ネットサーフィンだとかメールだとかはもうヤメだ!! フレッツ・スクウェア内で70Mbpsという殻に閉じこもって生きていきたい!!
頭のネジが緩んだ話はさておき、フレッツ・スクウェアで70Mbps台のスループット値(Netgenesis Super OPT90経由)が出たりすると、前述の“Bフレッツに対する疑問”がますます大きくなってくる。俺ったら、実は恵まれた回線環境だ。が、一般的なスループット値計測サイトだと、前述の通り、理想にはかな~り遠い。この違いはナニ!? なぜ? んーむ、やはりモヤモヤする。気分がよろしくナイ!!
■プロバイダーを……か?
いったいドコが悪いのか? 拙宅からインターネット上の速度計測サイトまでの経路のうちで、どこに問題があるのか?
経路としてはこうなる。
[拙宅]──[NTT地域IP網]──[プロバイダー]──[速度計測サイト]
で、フレッツ・スクウェアでの結果を見ると、[拙宅]──[NTT地域IP網]間は十分速いのだ。だからきっと、その先にボトルネックがあるハズだ。とか考えつつ、ソリューションはないものかと各種サイトを飛び回って役立ちそうな情報を探し回った。
MTUやRWINの値をアレコレ試してさらなる適正値に持って行ったり、スループット値の遅さに関わるFAQ読み漁ったり、いろいろ試行錯誤した。が、全然ダメ。……そうだ!! わかった!! 速度的に有利な時間帯だけスループット値を計測すればイイのだ!! そして上り速度は計測しない!! これだ!! こうやって自分を騙して気分の悪さを忘れていく!! これをやって……やりたかねえなあ。
そんな時、拙者が常用しているプロバイダーことIIJ4Uのトラフィック報告にかなり気になることが書かれていた。具体的には、以下のとおり。
『現在埼玉エリアのBフレッツ接続をご利用の際、時間帯によってパケットロスが発生する現象を当社でも認識しております。調査の結果、当社側機器に問題はなく、NTT側の機器にて負荷の高い状態が発生していることが判明し、現在NTTに対して設備増強の依頼をしております。お客様にはご迷惑をおかけ致しますが、今しばらくお待ちいただきますようお願い申し上げます』。
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つまり、[NTT地域IP網]──[プロバイダー]、の間が詰まっちゃってるヨ、と。NTTの地域IP網とIIJ4Uを結んでいるネットワーク機器のうち、NTT側の機器が力不足だヨ、と。
こうなってくると、どうにもならない。NTT東日本の設備増強を待つしかない。個人的な工夫じゃどーにもならない。が!! 俺はどうにかしたい!! どうにかしていきてえんだよアニキ!! そんな俺に残された手段はひとつ!! プロバイダーを変えることだッ!! っていうかそのくらいしか手段は残されていない。要は、ネットワーク設備やユーザー数等のバランスにおいて、IIJ4Uよりも円滑に地域IP網に対してデータをやり取りできているプロバイダーがあるかも!? これを模索していくわけですな。
でもプロバイダー探しってのはタイヘンだ。料金とかそーゆーのを見比べるだけでも疲れるが、スループット値にこだわったりすると、実際に使ってみないとプロバイダーの良し悪しがわからない。体験者談を地道に調べていくくらいしか手はない。あー面倒くさい。模索したくねー。かったりい。でもこのままだと気持ち悪いしなぁ……と、速度計測サイトのBBSとかでスループット値報告書き込みを読んだりしていたら、興味深い情報を発見。
結論から言えば、どーも埼玉のBフレッツで高いスループット値が出ているのは、ぷらら経由で接続している人っぽい。……とは言っても、埼玉でBフレッツ(ニューファミリータイプ)で何Mbpsでました~という書き込み自体があまり多くなく、数件同じような書き込みを見つけただけなので、断言はできないし自信も持てない。けど、試してみる価値はあるかもナ~と。また、ぷららはNTT東日本のグループ企業なので、もしかしたらもしかするかもナ~とも。
■試しにぷららに入会
んー……しょうがない!! ぷららに入ってみよう!! ダメだったらすぐ退会しちゃえ!! と行動に出た、草木も眠る丑三つ時であった。また昼夜逆転でネットしてる拙者であった。
調べてみると、フレッツ接続のためのプロバイダーとしては、ぷらら、かなり安いんですな。Bフレッツ系なら月額1200円からある。Bフレッツファミリータイプなら、月額1500円からだ。……と思ったらこーゆーコトもやってたりして、なんか料金的に俺を猛烈に惹き付ける感じなんですけど。てなわけで、サクッと入会。そしてオンラインサインナップ直後、接続アカウントをゲットするなり早速スループット値を計測!!
マジかよ!! ホントかよ!! よっしゃァッ!! キた!! これだ!! これなんだよコレ!! すなわちスループット値上昇!! どの速度計測サイトで測っても、下り20Mbpsを下回ることがほとんどなくなった。そして俺の環境に都合の良い計測サイトだと、70Mbpsを上回ることもある!! FTTH向けの各計測サイトでの下りスループット値を平均すると、だいたい50Mbpsくらいだ。プロバイダーがIIJ4Uの時だと25Mbpsあたりが平均値なので、ホントに大雑把だが下り速度が倍ッ!! になった。
それから、上り速度も高くなった。上りで10Mbpsを切ることはほぼなく、平均すると20Mbps程度は出ている感じ。計測サイトによって差があるものの、上り下りのスループット値バランスが理想に近づいた。ヒジョーにイイ感じ。納得できる感じ。嬉しい。
加えて、時間帯での速度差が実に少なくなった。夜の10時頃から翌2時頃までは上り下りともやや遅くなるが、それでも下り20Mbps程度で上り15Mbps程度。で、それ以外の時間だといつ計測しても、それぞれの速度計測サイトでそれぞれだーいたい同じ値が出る。サイトによっては数百kbps程度の速度差しかなかったりして。
なるほどねぇ~、IIJ4Uだから安定しなかった……いや、埼玉のBフレッツファミリータイプにおける[NTT地域IP網]──[IIJ4U]という組み合わせだったから安定しなかったんですな。そしてプロバイダーによってこれほどまでスループット値やその安定性が左右されるとは思わなかった。
誤解を招かぬように書き加えるが、俺の事例は、IIJ4Uが悪いわけじゃないのだ。IIJ4UとBフレッツを結ぶNTT側の設備の、回線幅的なバランスが悪かったのである。どの会社が悪いってよりも、バランスや環境や状況・状態が悪かったヨ、と。逆に、俺の事例において、[NTT地域IP網]──[ぷらら]は、かなりバランスが良い組み合わせだったということだ。プラス、今はこういう結果が出ているが、近未来もそうであり続けるとは言えない───ユーザー数等の増減で状況が変わり得るわけですな。
なので、例えばアナタもBフレッツファミリータイプを使っていて、なーんかスループット値が出ないなァと思っていて、この記事を読んでプロバイダーをぷららに乗り換えたからと言っても、通信速度の向上につながるとは限らない。もしかしたらプロバイダーをIIJ4Uにしたら速度UPする地域・環境でBフレッツを使っているのかもしれない。このあたり、やっぱりプロバイダー選びってのはムツカシイと言えよう。
■光の世界をリアルに体感!?
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ともあれ、プロバイダーを変えただけで、下りのスループット値が25Mbps平均から50Mbps平均に!!
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ともあれ、プロバイダーを変えただけで、下りのスループット値が25Mbps平均から50Mbps平均に、上りは8Mbps平均(←ややゴーインな平均値ですけど)から20Mbps平均にスピードアップした。で、この速度になって、実際どーんな感じなのかと言うと、ハッキリ言ってIIJ4Uを使っていたときよりも快適だと感じる。明らかに速くなったことを実感でき、また、FTTHなのダということをビシッと実感できる。
ちょっと感覚的なことですまないが、下りは全体的に“引っかかり”がなくなった印象である。ページを開いている途中でほんの一瞬ダウンロードが止まるようなことが激減。ファイルのダウンロード時も、進捗を示すグラフの動きが非常に滑らかになった。そして実際に速く表示やダウンロードが済むようになったと感じる。なんつーかですね、スキー板にワックス塗った感じというか、自転車のペダルに油差した感じというか、そういうスムーズさが明確に感じられるよーになりました。
上り速度に関してもそうで、メール送信やファイル転送がスパッとスムーズになった。また、俺が使わせてもらっていたIIJ4Uのメールサーバは、なーんかこう微妙に反応が鈍かった。これが、ぷららのメールサーバになった途端、スカッスカッと速くなったってのもあって、上り下りとも非常に快適に使えるようになった。もちろん、接続先のサーバが混雑していたりすれば、表示やダウンロード・アップロードのときに待たされるんですけどね。
しかしまあ、アナログモデム、ISDN、ADSLと使い継いできた俺だが、FTTHってのはスゴいですな。アナログモデム→ISDNになった時も「うわー速ッ!!」とか思ったわけですよ。ISDN→ADSLになった時なんかも「んぎゃぁぁあ速ッ!!」とビビったわけですよ。ところが、それらどの格差よりも、FTTHへ乗り換えた時のスピード差のほーがデカい。ていうか巨大。いやメガ巨大いやいやむしろギガ巨大。
けれど、その速さを有り難いッ!! と思える状況がまだまだ少なくて複雑な心境だったりする。正直、宝の持ち腐れ感が、まだ拭えないようなそんな……。俺のよーなフツーなネットユーザーにとって、FTTHすなわち光の世界ってのは、まだそのメリットを発揮させられないインフラなのかも知れない。光の世界への切符は手にしたが、ホントの意味での光の世界はUnder Construction!? みたいな。
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2003/03/12)
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