■拙者環境に最も合うルータは!?
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Aterm WB7000Hは非常に使い勝手のよいルータだが、スループットが50~60Mbps程度。FTTHとはいっても30~50Mbps程度のユーザーが多いので通常は問題ないが、拙宅はたまたま70Mbps以上出るので、違うルータでも試してみることに
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前回の本連載『高スループットの無線LANルータが欲しい!!』で試したNECのAterm WB7000H。この無線ルータったら設定も使用もかなりイージーで、機能群も今時の無線LANシーンにおいて“常識的”であった。要するに手っ取り早く使えるわりには使い回しが利くという、上出来のルータであり製品パッケージてな印象。
なのだが、ひとつ残念なのが、ある程度の高スループット値が出ているFTTH環境においては少々力不足であること。例えば拙宅───Bフレッツニューファミリータイプで接続してフレッツスクウェアで計測すると、このルータを使った場合には最高で50~60Mbpsくらいまでのスループット値となる。それ以上はどーも出てくれない。
一方、ルータだけを変更し、NetGenesis Super OPT90を使って計測した場合は70Mbpsを上回るスループット値が出る。つまり、ルータの(恐らくPPPoE処理効率の)違いで、スループット値が違ってくるのだ。
ホントは70Mbpsくらい出る拙宅環境。ルータの利便や機能だけを考えて50~60Mbpsすなわち本来より10~20Mbpsくらい遅い回線速度としてしまうのは、んーむ……モッタイナイ。でもNECのルータとかアクセスポイント機器は使い勝手イイんだよなーと思うと同時に、前述のNet Genesis Super OPT90は微妙に使いにくい点があったりして。
Net Genesis Super OPT90はBフレッツで(ルータにPPPoE処理をさせて)接続するには“非常に速いルータ”だ。……が、機能や設定面の使い勝手はやや物足りない。まあルータの使い方・使い道はさまざまなので、どこがどうナニでアレなのかは割愛するが、個人的印象でハッキリ言っちゃえば、無線接続を含めた使い勝手ではNECのAtermシリーズのほうが使いやすいし高機能だと思う。
結局思うのは、NECの無線LAN対応(というか内蔵)ルータのような使いやすさや機能的成熟があって、かつ、Net Genesis Super OPT90のようなスループット的メリットがある製品はないものか!? と。思うだけでなくもちろん探してもみた。で、ここでも結論を急ぐと、NECのルータのような使い勝手およびオプション機器との接続性の良さ持ちつつ超ッ速な無線ルータってのは見つからなかった。
Bフレッツ(ニューファミリータイプ)のユーザーの多くは30~50Mbpsくらいのスループット値が出ている。メーカーはその層を狙って十分実用的な無線ルータを出している。けど拙者の場合は運良く70Mbps=かな~り高いスループット値が出る環境であり、これすなわちわりと希な環境なのだ。隙間産業ならぬ隙間ユーザー。こういうユーザーに激マッチする製品がないのも頷ける。
メインストリームに属さない製品は売れないのであり儲からない。同時に、メインストリームに属さないユーザーはハードウェアの供給を十分に受けられない。悲しいんですけど、しょーがないのであった。
■ちょっとスゴいかもNTT-MEのBA8000Pro!!
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NTT-MEの「BA8000 Pro」。実売価格は1万円台後半程度。メーカー公称値はFTPデータ転送最大90Mbps、Bフレッツ・ベーシックタイプでのPPPoE接続で最大75Mbps
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速くて便利な無線LAN対応ルータはナイもんだろーかと探した結果、無線対応ではないものの、良さそうな製品を見つけた。既にブロードバンド野郎の間では定番となっているルータだが、NTT-MEのBA8000Proという製品だ。
既に使っている人の話、ウワサ、評判等々、どこをどう聞いても、このBA8000Proは「速い!!」んだそうだ。また、同時に別々のプロバイダに対して接続できる機能、マルチセッション接続(PPPoE同時2セッション)にも対応している───例えば拙者の場合ならば常用のプロバイダに接続しつつ、何ら設定等を変更せずシームレスにフレッツスクウェアにもつなげられるのだ。ふーん……ふぅ~ん、ていうかコレ良さそうじゃん!! てなわけで早速購入&使用してみた……ら!!
ビビりました驚きましたよええマジで!!
てのは、ルータをBA8000Proに替えて一発目のスループット値計測(byフレッツスクウェア)で、過去の拙宅スループット値史上最高値の77.49Mbpsをスコッと上回った。その値は79.36Mbps!! 凄い!! ドえらい!! 素晴らしいッ!! 嬉しぇーッ!!
って、たった1.87Mbpsの向上だろ。ソレって誤差の範囲だろ。ほんの少しのコトだろ。と、思われるかもしれない。が!! 違うのであるそーゆー話とはチト違うのである!!
前述の“拙宅スループット値史上最高値の77.49Mbps”は、Net Genesis Super OPT90を使って何度も何度も執拗に徹底的に計測しまくってやっと出た値。Bフレッツに加入してNet Genesis Super OPT90を使いまくって半月くらいして、やっとのことで出てくれたスループット値なのである。この愛と根性と血と汗のスループット値を、BA8000Proは一発で追い抜いてしまった。クロコップがサップを一撃!! みたいな衝撃なのである。ってちょっと違いますな。
さらに話にはオチがある。「んぎゃーッBA8000Pro超速いかも~!!」と喜んでいたら、その数時間後にはさらに高いスループット値、81.65Mbpsを記録ッ!! とうとう念願の80Mbpsオーバーを達成した!! よっしゃァァァッ!! 次は90Mbps台だ!! ってソコまでは無理だろ>俺。
ってことで、スループット値問題は片づいたどころか、BA8000Proによってさらなる素晴らしい……ていうか宝の持ち腐れ的な高スループット値環境を得た俺であった。
ちなみにBA8000Pro、速いだけじゃなく、いろんな意味でけっこー使いやすい。設定画面は少々素っ気なく、ルータ初心者には取っ付きにくい印象ではある。また実際取っ付きにくいと思う。ぶっちゃけた話、NECのルータみたいな“やさしさ・敷居の低さ”はない。が、ちょいと取り組む気のあるユーザーにとっては打てば響くというイメージ。
具体的には、前述のようにマルチセッション対応であることを始め機能充実&実用的。オンラインマニュアルは非常に的確で、技術的解説も盛り込まれて“とても勉強になる”。外見的にもシンプルでありかつ高級感があって非常に良い。ついでに製品紹介ページから辿れるFAQやガイド類も非常に豊富である。使い込むほどにその良さがわかる製品かもしれない。
■無線LAN環境はAtermで
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無線は使い慣れていて安心なAtermシリーズを使用。写真は802.11a対応のAP「WL54AP」とカード「WL54AC」
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高速で高機能なBA8000Proだが、玉に瑕なのは無線LANアダプタを内蔵していない点。無線LANを使うには、何かしらの外付けアクセスポイント類を増設しないといけない。BA8000Proには外見的なカッコ良さがあるので、んーむ、その周辺にアクセスポイントとか置きたくないんですけどねぇ~。
……まあ、PPPoEを利用して接続するための高性能ブロードバンドルータとして長く使い続けられそうな製品なので、すぐに新旧交代しちゃうような余計な(!?)機器は全部外付けでネ!! という方向性だと思えば、悪くない。
さておき、とにかく、現在の俺には無線接続は必須。いや有線でもイイんですけど、無線の便利さを知ったらもー無線LANナシではいられない気持ち。通信距離的汎用性の面でIEEE802.11b、速度の面でIEEE802.11a、ぜひこの両方を使っていきたい!! ホントは汎用性と速さを兼ね備える11gを使いたいんですけど、これは製品がもーちょっと出てきてからにしたいと思う。
ともかく、11aと11bの無線LANアクセスポイント製品が必要。で、どれにしようかな~といろいろ物色したが、結局、NECのAterm WL54APとAterm WL11APを選んだ。
選んだ理由は、以前これらと同じか同系統の製品を1カ月ほど試用した時、問題がなかったから───アクセスポイント製品によっては通信が不安定になったり特定の無線アダプタ(PCカードとか)へと無理矢理強引に優先して接続しちゃったりと、知る人ぞ知るクセがあったりする。が、Aterm系製品に関してはそういう話を聞かないし、体験したこともない。ついでに、Aterm(の無線LANアクセスポイント製品)を使っていて、これまで接続できなかったケース───つながらない無線LAN対応ノートパソコンや無線LANカードなどがなかった。まあ当然と言えば当然だが、時にはそーでないアクセスポイント製品もあったりするのもまた事実。てなわけで、実使用上でわりと信頼してるってわけですな。
以前はあんまり気にしてはいなかったが、田舎の拙宅周辺においても、最近は無線LANを使うユーザーが徐々に増えている。ので、なーんかこー、外部からの侵入が気になったりもして。この点については、基本的にはMACアドレスフィルタリングで対処している。と同時に、WL54APやWL11APにはESS-IDステルス機能───見知らぬ誰かがアクセスポイントを参照した場合にもアクセスポイントがそれに応答しないというセキュリティ機能があるので、安心感がよりいっそう高い。また両機とも64/128bitWEP対応で、ワイヤレスLANセットパッケージを買えば最初からセキュリティ類は設定済。手っ取り早く安全な無線LAN環境を構築するにも、マジメにセキュリティを高めつつ使うにも十分高機能なアクセスポイントと言えよう。
それからサイズやデザイン。WL54APもWL11APも、外見的には単なる黒い小さな箱。邪魔にもならないし必要以上に目立たないのが良い。また壁掛けにも卓上据え置きにもできる汎用性もあり、ACアダプタも比較的にコンパクトな部類だと思う。モノとして取り回ししやすいのだ。
設定に関しては、ホントは現在急速に生産終了に向かいつつあるWL11E(専用ユーティリティ経由で設定するタイプ)の方が好みだった。また、ぶっちゃけた話、Atermシリーズの無線アクセスポイント製品は、とりわけ秀逸な設定インターフェイス(WL54APやWL11APはWebブラウザ経由で設定する)があるとも思わない。まずまず使いやすく、特に不便はないという印象。なので、どちらかと言えば、前述の“使用時の信頼性”と“モノとしての取り回しの良さ”で選んだというわけだ。
■またまた、ストリーミング音声配信
さて、お話変わって、今回もまた実験放送を行なってみる。前回はひとりで地味な話をお送りして微妙に寒かったので、今回はゲストをお招きしての実験放送。
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32kbpsで聴く! |
64kbpsで聴く! |
フォーマット:WMA(Windows Media Audio)
対応プレーヤー:Windows Media Player
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今回は、Watch編集2名と録音。ペンネーム「スタパ」の由来や、ペンネームを付けた当時働いていたA社の編集部内の話など。実験放送ということもあり、普段の雑談モードでお話しとります。失礼な点などありましたらスイマセン!!(とくにA社関係者様)
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今回の録音に使用した機材は、まずマイクとしてaudio-technicaのAT9750。複数人数での会話を録音するのに便利そう~、とかいう安直な考えで会議用のマイクを使ってみた。テーブルの上にペタリと置けば、各方向からの声を全部拾ってくれるというモノラルマイクですな。
このマイクを直接、パソコンのサウンドカードに接続。サウンドカードは前回の実験放送(っていうか録音)で使ったのと同じ、Sound Blaster Audigy Platinum。このサウンドカード、5インチフロントベイ用のコネクタパネルがあり、そこにマイク等を手軽に接続できる。接続時にマシンの後ろ側に回り込まなくて済むってのが非常に便利なのダ。
音声の録音と編集に使用したのは、前回と同じDigiOnのDigiOn Sound 3。せっかくのマルチトラックオーディオ編集ソフトってことで、今回はオープニングとエンディングにちょっとした音楽を入れ、会話の途中に区切りとなる効果音を挿入してみた。
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会議用マイクで複数人の会話を録音すると、録音は手軽だが後の編集で苦労することに
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……しかし、問題が残った。
ひとつは、会議用マイクじゃ辛いというコト。確かに複数人数の声を手軽に録音できるが、それが聞きやすいかどうかは別だった。今回は3人で会話したのを録音したわけだが、要は3人の声の大きさや声質にけっこー差があって、その差を埋めて聞きやすくするためには、このマイクでは役不足。1本のモノラルマイクなので、ミキシングで言うところの“分離”がまったくできない。3人の声が混ざって1トラックに録音されるので、後からそれぞれの声(の大きさや音質)を微調整しづらい。非常にしづらい。
今回の録音では、例えば編集長の工藤さんの声はよく通る。一方、拙者の声は音量はまあまああるものの、やや聞き取りにくい。ケータイWatchの湯野さんの声はけっこー通るが、録音時の位置がマイクより若干遠かったために音量が小さくなってしまった。この3種類の音声がひとつのトラック上に録音されているので、それぞれ別に調整していくのがタイヘンなのである。
とは言え、一応は調整した。具体的には、録音後の音に対して大雑把にコンプレッサをかけ、その後に不自然にならないよう部分的にノーマライズした。で、不要な会話部分を切り落とした後、最終的に再度ノーマライズした。これらは全て、igiOnのDigiOn Sound 3上で行なっている。
ちなみに、コンプレッサとは、音の最大値と最小値の差を縮めたりするエフェクトだ。いろいろな使い方ができるエフェクトだが、ここでは大き過ぎる音の音量を下げ、小さすぎる音の音量を上げるという一般的な使い方をしている。こうすることにより、前述の工藤さんの声量を抑え、湯野さんの声量を上げ、全体的に聞きやすくしている。
コンプレッサは、ホントは録音時にリアルタイムで付加すべきエフェクトだ。てのは、大きすぎる音で録音されちゃった場合、もうその時点で“音が歪んでしまう”からだ。とりわけデジタル録音の場合、大きすぎる音で録音すると非常に耳障りな「ビビビビ」みたいな音(クリッピングノイズ)になってしまう。こうなってしまうと、後からどんな処理をしても手遅れ。なので、そうならないように、デジタル録音の場合は“録音時にコンプレッサをかけること”が常識となっている。
が、装置としてのコンプレッサを持っていないことと、モノトラックに対する後処理ということ、それからクリッピングノイズが出ないように若干録音時のボリュームを落としているということで、今回は後からコンプレッサを使った。ていうか使うしかなかった。使い方としてはかなり異例だと思う。
もうひとつ、ノーマライズとは、音が歪まない程度までに音声全体のボリュームを上げたりする処理だ。ダイナミックレンジをいっぱいまで使い切る処理で、見かけ上っていうかザッと聴いた上では、ノイズの少ない印象になる。けれど、実際はノイズ部分もちゃんと増幅しちゃってるので、“良い音にする”という見地からはある種のゴマカシでもあったりする。また、基本的に何度もかけるモンではない。
もうひとつの問題は、マイク~サウンドカードのどこかから混入しているノイズ。時々「ビリリリ」という明らかなノイズが入ったり、超じっくり聴くと非常に小さく「ブー」というノイズが入っている。こういったノイズを隠すために、前述のコンプレッサ等の処理を行なって“なるべく声を目立たせてノイズに気づかせない”というような“ごまかし”をしている。
要するにですね、ド甘な手法・環境なので、ソフト上で何とか処理して、騙し騙し、どうにか聴ける音にもっていってるのだ。が!! 次回はもっと音を良くしていく!! まずはノイズを消していきたい!! そして後処理がラクなように、音声の分離ができるようにもしていきたい!! くわッ!! と、ますます気合入れちゃう拙者なのであった。
□スタパ齋藤常時出演中!!「スタパトロニクスTV」(impress TV)
(2003/04/16)
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