【CEATEC JAPAN 2009】
テレビ見ながらネットする人向けのサービス展開、ヤフー井上社長
「CEATEC JAPAN 2009」で7日、ヤフー代表取締役社長の井上雅博氏による「Yahoo! Everywhere構想」と題した講演が行われた。PCや携帯電話、テレビなどのインターネット端末に向けたYahoo! JAPANの取り組みを紹介した。
■「Yahoo!動画」との統合で刷新した「GyaO」を紹介
ヤフー代表取締役社長の井上雅博氏 |
井上氏のCEATEC JAPANでの講演は今回で4年連続となり、毎回、PC以外でインターネットに接続できるデバイスに向けてサービスを提供していくという「Yahoo! Everywhere構想」について語っている。
ここ1年のPC以外のデバイスの動向については、携帯電話やテレビ、ゲーム機でインターネットに接続しているユーザーが増えてることを紹介。「モバイル市場では“グーグル携帯”が出てきたほか、iPhone 3GSはさらにネットが使いやすくなった」とした。
回線については、固定の普及拡大はもちろん、移動についても「日本は3Gネットワークが世界一発達している。モバイルWiMAXをはじめ、今後もさまざまな通信技術がひしめく状況」だと説明。また、トラフィック総量は1年で1.4倍に増え、その理由としてリッチコンテンツが充実してきたことを挙げた。
Yahoo! JAPANのリッチコンテンツ、特に動画についてのトピックとしては「GyaO」を紹介。株式会社GyaOの川邊健太郎代表取締役社長が登壇し、9月に開始した無料動画配信サイト「GyaO! Presented by Yahoo! JAPAN」と、有料動画配信サイト「GyaO!ストア Presented by Yahoo! JAPAN」について説明した。
川邊社長は、「パートナーとの協業により、『映像』の力でネット社会に新たな価値を提供する」ことをビジョンに事業を展開すると話したほか、「ヤフーが強固な映像配信プラットフォームを構築し、それをさまざまなコンテンツホルダーに使ってもらう」と説明。また、ユーザーには「合法の著作権処理されたコンテンツを楽しんでもらう」とアピールした。
PC以外のインターネットデバイスの現状 | ヤフーの映像配信プラットフォームの展開 |
■ダブル・トリプルスクリーンを前提にしたサービス展開
井上氏は、インターネットの利用状況を調査データで説明し、「10代、20代の女性の約90%はテレビを見ながらネットしている」とした。その実例として、「Yahoo! JAPAN検索ランキング」の「急上昇ワードランキング」の上位はテレビで紹介された人物や商品などだという。
それらを踏まえ、「テレビとネットの連動は早く考えていくべき。PC、テレビ、携帯のダブル・トリプルスクリーンの中で、どのように広告価値を上げていくのかが重要。ダブル・トリプルスクリーンを前提にして、広告主のメリットをネットやテレビ業界が一緒に考えていく時代になった」と話した。
Everywhere構想に基づく直近のサービスとしては、4月に開始した「テレビ版Yahoo! JAPAN」や、テレビ向け動画配信サービス「動画チャンネル」(シャープAQUOS向けが4月、東芝REGZA向けが8月提供開始)を挙げた。さらに、「テレビ版Yahoo! JAPAN」において、2010年春から「NHKオンデマンド」や東映のコンテンツの配信も開始する予定という。
今後のEverywhere構想については、「ダブル・トリプルスクリーン前提のサービス(クロスユース)」を提案。「いろいろなデバイスで使えるだけでなく、デバイスの特徴を生かして、補完していくサービスを行う」とした。また、複数のデバイスで1つのサービスを継続利用する場合、ユーザー認証にはYahoo! JAPAN IDを使うと説明した。
テレビ視聴とネット利用の関係 | これからのEverywhereサービス | Everywhereにおけるデバイスの役割分担 |
■クロスユースのコンセプトデモ、他の番組に気付くサービス
クロスユースのイメージについて、ネット対応テレビで利用できる「面白番組アンテナ」「番組わくわくメモ」「CMすぐナビ」をデモした。今回はシャープの「AQUOS」を例に紹介。同様のデモは、CEATEC JAPAN 2009のシャープブースで体験できる。今回は参考出展のため、実用化は未定とのこと。
「面白番組アンテナ」では、テレビ視聴中の時間帯・チャンネルに応じた番組表をネット経由で取得して表示する。番組表では、「録画予約」した番組や、あらかじめ「お気に入り」に登録した番組がわかるほか、ネットで評判の高い番組をアイコンの大小で示す。気になる番組の予告動画をネット経由で視聴し、そのまま録画予約することも可能。さらに、番組視聴中は、視聴数の多さなどから盛り上がっていると思われる“裏番組”をアイコンの色で示す。
「番組わくわくメモ」は、視聴中に気になった情報をリモコン操作でメモできる。メモ画面では、番組のメタ情報とネット上の情報を組み合わせることで「番組関連情報」を表示。そこから「Yahoo!地図」で店舗の場所を調べたり、外部Webサイトへアクセスすることもできる。また、関連情報を携帯電話に転送することも可能。さらに、メモをネット上で共有できる「みんなのメモ」機能や、番組中の「すべての情報を表示」する機能によって、自分が知らなかった情報も気付かせてくれるという。
「CMすぐナビ」では、放送中のCMのサマリーを別画面で表示する。そこから、メーカー公式サイトにある詳細情報へアクセスしたり、プレゼントキャンペーンに応募することが可能となる。プレゼントに応募する際は、「Yahoo! JAPAN ID」に登録した氏名や住所情報などを取得するため、文字入力を省くことができる。
面白番組アンテナ | 番組の盛り上がり度合いをアイコンの色で表示 | 番組わくわくメモのメモ一覧画面 |
メモの詳細情報 | その他のメモの一覧 | メモの共有画面。メモ総数も表示 |
■「TV Widgets」日本版を開発中、テレビ視聴中にWebサービス利用
井上氏は、Everywhere構想の実現には、パートナーの協力が必要不可欠であり、パートナーに対しては、ヤフーのさまざまな機能をプラットフォームとして提供すると説明した。
例えば動画の場合、マネタイズのための広告や課金システムをヤフーが用意する。「ビジネスモデルはコンテンツによって異なるため、ヤフーではいろいろな手段を用意して、コンテンツホルダーが選べるようにしたい」。
また、メーカー向けソリューションとして、米Yahoo!が1月から提供しているテレビ用ネットアプリケーション「TV Widgets」の日本版を開発中であると発表した。
「TV Widgets」では、Yahoo! JAPANの各種サービスがウィジェットになっており、ユーザーは任意のウィジェットをテレビにダウンロード、カスタマイズして利用する。
追加したウィジェットは画面下のバーに表示。ウィジェットは番組視聴中でも利用可能で、テレビ番組を見ながら別ウィンドウで「Yahoo!占い」や「Yahoo!トピックス」などを閲覧できる。
なお、「TV Widgets」日本版については、今後、メーカーや放送局、コンテンツプロバイダーと協業し、サービス化を進める。具体的な提供開始時期については明らかにされなかった。
井上氏は、PC以外でインターネットに接続できる端末の普及率は、日本が世界をリードしていると話す。「Everywhere構想においても、日本が世界をリードしていきたい。そのために、メーカーやコンテンツホルダー、業界団体と共同歩調をとっていきたい」と述べた。
TV Widgets日本版 | 追加したガジェット | Yahoo!占いガジェットを表示 |