So-net決算、過去最高売上を更新するも純利益は33%減


So-netの吉田憲一郎代表取締役社長

 ソネットエンタテインメント(So-net)は12日、2008年度(2008年4月~2009年3月)の連結決算を発表した。売上高は663億1200万円で前年度比22.8%増、営業利益は59億2200万円で同2.0%増となったが、ゲームポットやソネット・メディア・ネットワークスの買収が影響し、経常利益は前年度比0.7%減の66億6700万円、当期純利益は同33.0%減の21億4700万円となった。

 So-netの吉田憲一郎代表取締役社長は、2008年度のトピックとして、まず、ゲームポット(5月から連結)およびソネット・メディア・ネットワークス(7月から連結)の買収にともなう投資を挙げた。また、接続事業とポータル事業の成長戦略のフレームワークを決定。接続事業は「昨今の厳しい状況においてもFTTHで一定の成果を上げられた」とした。ポータル事業は今後、買収した2社を軸に展開するという。

 「増収の一番の要因はゲームポットとソネット・メディア・ネットワークスの買収、また、仕入れ販売が主力で単価が高いFTTHの比率が上がったことも挙げられる」と説明。「営業利益は過去最高だった前年度を辛うじて上回ったものの、修正した2008年度の予想利益(60億円)には届かなかった。要因としては、広告宣伝費の増加と“のれん代”」とした。「今後は、投資している3社(ゲームポット、ソネット・メディア・ネットワークス、So-net台湾)で利益を出すことが課題」。


2008年度連結決算の要約連結営業利益の増減要因

FTTHはテレビのネット接続サービスを訴求

接続事業の売上高と営業利益

 接続事業の売上高は442億9700万円で前年度比15.1%増、営業利益は47億1000万円で同6.0%減となった。

 So-netブロードバンド会員数は、2007年度末から14万増加の132万会員となった。内訳はFTTHが83万、ADSLが49万。「FTTH市場の伸びと比べれば、倍以上で会員数が伸びている」という。2009年度末は145万会員を見込む。

 FTTHにおいては今後、テレビのネット接続サービスを訴求するほか、ゲーム機や家電のネット接続サポートも行っていく。MVNOについては、従来のウィルコムやイー・モバイルに加え、WiMAXにも対応していく方針を示した。

 また、台湾におけるFTTHの普及を見込み、So-net台湾では、台湾最大の通信事業者という中華電気通信有限公司と資本・業務提携を行った。吉田社長は、「台湾はADSLが主流だが、今後はFTTHへの移行が進むだろう」と話す。


アクトビラの現況So-net光で案内しているTVサービス

今後のエンターテインメントコンテンツ事業はモバイルと海外を軸に

ポータル事業の売上高と営業利益

 ポータル事業の売上高は219億1200万円で前年度比42.4%増、営業利益は34億9800万円で同5.0%増となった。

 ポータル事業ではオンラインゲームの展開を説明した。主なトピックとしては、新規ゲームの立ち上げや北米進出、大型タイトルの権利獲得とモバイルを含めた自社タイトルの開発着手、ゲーム内広告などを挙げ、「買収したゲームポットでやるべきことはすべて着手した」という。

 また、オンラインゲームの既存タイトルと新規タイトル、初の自社開発のタイトルを紹介し、「今後は自社で権利を持つタイトルで海外展開を行いたい」とした。さらに、オンラインゲームやエンターテインメントコンテンツを含めたコンテンツ事業は、モバイルと海外展開の2本軸で行うという。現在テスト段階のゲーム内広告も年内には本格開始したい考え。


オンラインゲームのラインナップと位置付け。青枠が自社開発エンターテインメントコンテンツを海外とモバイルへ展開自社開発のオンラインゲーム「ペーパーマン」における広告実験

2009年はモバイルや海外展開を踏まえた新たな中期ビジョン打ち出す

 2009年度の業績予想は、売上高が730億円、営業利益が70億円、経常利益が78億円、当期純利益が26億円との見通しを示した。

 吉田社長は「2009年度は中期計画の最終年度であり、次の3カ年計画を提示する年でもある。モバイルや海外展開を加えた、新しい方針を打ち出したい」と話す。経営基盤強化についても言及し、「これまではBCP(事業継続計画)や本社の引っ越し、内部統制への投資をしてきたが、今年は基幹業務システムに約6.5億円を投資する。中長期的には十分リターンのある投資になる」とした。

 このほか、11日に報道されたNECビッグローブ、ニフティ、IIJがシステム統合を検討している件について吉田社長は、「他社の話なので特にコメントすることはない」とした。「報道を見る限りでは、システムの統合だけをするのは難しいのではないかと感じた。システムコストを下げるだけなら、他にもいつくかやり方はあると思うので、今の情報だけでは何とも言えない」と話した。


2009年の連結決算見通し2006年末に発表した中期ビジョン

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(野津 誠)
2009/5/12 20:23