ヤフー、シャープ「AQUOS」向けに無料の動画配信サービス


 Yahoo! JAPANを運営するヤフーは26日、シャープの液晶テレビ「AQUOS」向けのインターネットサービス「Yahoo! JAPAN for AQUOS」で、無料の「動画チャンネル」を提供すると発表した。当初は、6月10日に発売予定の「AQUOS DS6シリーズ」10機種で利用できる。

HD画質も用意した「動画チャンネル」。3000本以上を用意

「Yahoo! JAPAN for AQUOS」。トップ画面でも動画を再生する

 「Yahoo! JAPAN for AQUOS」は、ヤフーが2008年5月に開始したAQUOS向けのインターネットサービス。ニュースや天気、地図、フォトアルバムなど15サービスが利用できる。フォトアルバムではYahoo! JAPAN IDとの連携機能を用意し、PCや携帯電話からアップロードした写真表示にも対応する。

 今回開始する「動画チャンネル」は、メディアや企業、政党などYahoo! JAPANのオフィシャルパートナーが制作した「オフィシャルチャンネル Powered by Yahoo!動画」のコンテンツを、テレビ向けに最適化して配信。吉本興業やBS朝日など百数十社から提供を受けた、映画予告編を含む約3000本以上の動画を無料視聴できる。

 ファイル形式はH.264で、必要な通信帯域は6Mbps以上。HD画質のコンテンツも含まれるが、配信コンテンツの解像度やビットレートは公表していない。


動画チャンネルのサービス概要ヤフーの他サービスとの連携も重視3000本以上の動画コンテンツを用意する

 「Yahoo! JAPAN for AQUOS」から「動画チャンネル」にアクセスすると、毎週更新でヤフーが推薦する動画を集めた「おすすめ動画」を自動で再生。動画は全画面表示による再生が可能で、再生中に他の動画を探すための小画面も表示できる。

 動画再生中にリモコンの黄色ボタンを押すと、コンテンツの詳細情報を画面右側にテキスト形式で表示。また、青色ボタンを押した場合には、配信コンテンツを新着順や人気順、カテゴリ、事業者別に分けて探せる「再生リスト」を表示する。なお、文字入力によるキーワード検索機能は今後対応を検討する。

 「Yahoo! JAPAN for AQUOS」を含め、ヤフーが提供する各Webサービスとの連携機能もあり、映画予告編の場合には「Yahoo!映画」の作品情報ページにアクセスが可能。また、吉本興業が提供するお笑いコンテンツの場合には、携帯電話用サイトにアクセスするためのQRコードも表示する。

 今後の機能拡充点としては、映画予告編映像から事前に設定した映画館や地域での上映スケジュールを確認できる機能を追加予定。また、Yahoo!ファッションで配信する女性向けのWebマガジン「ShORTY+(ショーティプラス)」と、男性向けWebマガジン「Houyhnhnm(フイナム)」も、「Yahoo! JAPAN for AQUOS」で提供する予定だ。


全画面表示に対応再生画面から他の動画も探すことが可能再生する動画の詳細情報も確認できる

映画予告編では映画情報も表示可能今後は上映スケジュール機能も提供を予定するWebマガジンの配信も開始するという

シャープ松本氏「家電型インターネットサービスの創出を」

シャープの松本氏

 「動画チャンネル」に対応する「AQUOS DS6シリーズ」は、インターネットサービスをテレビで提供するためにシャープが独自開発したプラットフォーム「Exシステム」を搭載。同システムは、2006年8月に発表した「AQUOS GX1/2シリーズ」から中上位機種で搭載しているが、今回のDS6シリーズでは動画再生に対応した新バージョンを採用。今後発売する中上位機種でも新バージョンを搭載する予定で、これら機種では「動画チャンネル」が利用できる見込みだ。

 シャープ 研究開発部の松本融チーフは、「Exシステムは、AQUOSをシンクライアントとして利用する考えをもとに開発を進めた」と説明。「ネットワーク上に設けた変換サーバーで、AQUOS各機種に最適化したフォーマット変換や画面デザインを施して、AQUOSにストリーミング配信している」という。また、変換サーバーを設けたことで、「PC向けに開発した既存サービスをテレビ向けにローコストで活用することも可能だ」とした。

 その上で松本氏は「Exシステムは、家電メーカーであるシャープと、ネット企業であるヤフーが切磋琢磨しながら異文化融合して生まれたプラットフォーム」とコメント。「今後、クラウド時代が進む中で、家電型インターネットサービスを創出したい」と抱負を語った。


Exシステムのロードマップ動画再生に加え、UIやアクセス性、操作性も改良した家電型インターネットサービスの創出を目指す

「動画チャンネル」の利用台数目標は100万台

ヤフーの坂東氏

 ヤフーのR&D統括本部プラットフォーム開発本部Everywhere開発部の坂東浩之部長は、「この50年間、テレビは動画を視聴するために進化を続けてきており、テレビ向けネットサービスでも動画は重要なサービスである」と語った。その上で、ブロードバンド環境の普及とExシステムによって、「Yahoo! JAPANとして初めてテレビ向けの動画サービスを開始するに至った」と説明した。

 ヤフーでは「動画チャンネル」の利用可能端末数について、早期に100万台達成を目指したい考え。なお、メーカー問わず利用できるテレビ向けインターネットサービス「テレビ版Yahoo! JAPAN」での動画サービス提供も検討を進めるという。


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(村松 健至)
2009/5/26 17:50