「Live Search」から「Bing」へ、MSが検索サービスの新ブランド


 マイクロソフトは29日、次世代検索サービス「Bing」の発表に伴い、米Microsoftのサチャ・ナデラ氏(オンラインサービス担当リサーチ&ディベロップメント シニアバイスプレジデント)と、チー・リュー氏(オンラインサービス担当 プレジデント)の日本およびアジア地域の報道関係者向け電話会議を行った。

日本ではデザインのみ変更した「Bing」ベータ版を提供

 「Bing」は、マイクロソフトが提供する従来の検索サービス「Live Search」に代わるもので、検索サービスに特化した新ブランドでもある。6月3日より英語版を公開。特徴は、検索結果をカテゴリーごとに整理して表示するところだ。カテゴリーは、検索結果ページの左ペインに目次として表示され、中央ペインに各カテゴリーの上位サイトを表示。カテゴリー自体も検索キーワードに応じて変化する。

 日本では、6月3日より「Bing」のベータ版を提供する。ベータ版は、ページのデザインのみ「Bing」になり、エンジンは従来の「Live Search」を使用する。キーワードに応じた検索結果のカテゴリー別表示などは利用できない。ローカライズについては、日本に合ったカテゴリーの設定など、サービスの最適化を行い、徐々に機能追加した上で、日本語正式版を公開する。なお、「Live Search」からの移行は6月3日より開始するため、ポータルサイト「MSN Japan」で検索した場合も「Bing」ベータ版のページを表示するようになる。


Bingのトップページ検索結果ページ

キーワードに応じて検索結果をカテゴライズする「Explore Pane」

 ナデラ氏は、「全世界でWebサイトは毎秒4.5件公開されており、CGMなどにより新しいページは増え続けている。コンテンツが増えたことで、検索サービスのニーズは高まっている。Web検索から、商品購入や旅行など、次の行動につなげている。しかし、検索結果に満足しないユーザーや、目的の結果に辿り着くまでに、何度も検索キーワードを調整するユーザーが多い」と話す。

 「Bing」の特徴については、ユーザーが目的の情報を見つけやすくするために、検索キーワードに一番最適と思われる結果をトップに表示する「Best Match」、サイト内の個別ページへのリンクも表示する「Deep Links」、検索結果ページ上でアクセス先のサイトをプレビューする「Quick Preview」などを挙げる。さらに、「新しいサーチエクスペリエンス」として、キーワードに応じて検索結果をカテゴライズする「Explore Pane」を提供。この部分で、他の検索サービスとの差別化も図る考えだ。


Explore Pane検索結果ページからサイト内検索も可能リンク先ページのプレビューをポップアップ表示

検索サービスを明確化するために打ち立てた新ブランド「Bing」

 また、検索キーワードに応じて、結果を「ショッピング」「旅行」「地域情報」「健康関連情報」といった分野に最適化して表示する。例えば、商品名で検索した場合はその情報やユーザー評価なども表示する。また、ホテルの比較や航空券の格安情報なども提示できるという。これらの機能は、パートナーサイトのデータを活用している。「Bing」日本語版で同じ分野をフォーカスするのかは未定だ。

 リュー氏は、「『Bing』はコンシューマ向けの新しいサーチブランド。ポータルサイトの『MSN』、Windows関連製品やサービスおよびXboxにある『Live』に加え、検索サービスを明確化するために『Bing』を打ち立てる」と説明する。「検索に対して、明確な回答を提供することが『Bing』の精神。Web検索の品質向上やエクスペリエンスの改善を主眼に置いて開発した」という。「今回の新ブランド発表は第一歩であり、さらに研究開発費を投じて機能の追加、マーケティングの強化も行いたい」。

 検索サービスにおけるシェア拡大については、「Microsoft独自のサービスを展開することで、他社サービスでは満たされなかったニーズに応えていく。より良いサーチエクスペリエンスを提供することで、現在の検索サービスを超え、徐々にシェアを獲得したい」と述べた。このほか、携帯電話向けのWeb検索については、「通常のキーワードに加え、例えば場所や時間などの要素も取り入れることこで、最も良い検索結果を導き出すような研究開発を進めている」とした。


商品名で検索すると商品情報も表示画像や動画検索も可能画像検索結果の詳細ページ

電話会議終了後にマイクロソフトの浅川秀治氏(コンシューマ&オンラインマーケティング統括本部オンラインマーケティング本部業務執行役員)が発表の要点を補足説明

Web検索から行動を起こす「“意志決定”を支援するサービス」としてのBing。日本語正式版の開発は、マイクロソフトの検索サービス開発部門「サーチテクノロジーセンター(STC)」が担当

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(野津 誠)
2009/5/29 19:36