NRI、2009年度の電子マネー市場は約1兆3200億円と推定


 野村総合研究所(NRI)は1日、同社が開催した「NRIフォーラム」にて、電子マネーの最新動向に関する調査および国内の市場規模予測を発表した。NRIによれば、札幌市、首都圏、東海、近畿、福岡県の5大都市圏での電子マネー保有率は50%を越えつつあり、利用単価の上昇により、2009年度の年間決済総額は1兆円を超える見込み。

2009年度の電子マネー決済額は約1兆3200億円と推定

NRI金融戦略コンサルティング一部上級コンサルタントの瀬尾利数氏

 電子マネーの利用動向を踏まえ、NRI金融戦略コンサルティング一部上級コンサルタントの瀬尾利数氏は電子マネーの市場規模について「拡大の余地は十分にある」とした。

 NRIでは、日経MJ(流通新聞)が2009年7月24日に発表した6種類の電子マネー(Edy/Suica/PASMO/ICOCA/nanaco/WAON)の月間決済件数と、今回の調査による月間平均利用単価を掛け合わせ、2009年度における6種類の電子マネー決済総額を約1兆3200億円と算出。「日銀で発表した2008年度の電子マネー決済規模は8000億強」とし、「2009年度は1兆円を超えていくのでは」(瀬尾氏)と話した。

 だが、クレディセゾンのクレジットカード「セゾンカード」における買い物利用のみでの市場規模が約4兆円であることを挙げ、「電子マネー全体でも1社に満たない」(瀬尾氏)。「市場規模を10兆円の大台に挙げていかないと、クレジットカードと並ぶツールにはなりえない」とした。

 しかし「例えば1加盟店あたりの決済件数が最も高い「nanaco」でも、24時間営業の『セブンイレブン』で換算すれば1時間に1~2人決済するかどうか。また、買い物で電子マネーを利用するユーザーは全体で3割程度で、これを2倍、3倍に増やすことは十分達成できる」(瀬尾氏)とし、市場規模として3兆円や5兆円への拡大は可能だと語った。

 ただし市場拡大には、各事業者によるユーザー拡大が必須としながらも、電子マネー市場の課題について「ポイント付与などの付加価値は、単体の事業者ではメリットだが電子マネー事業として儲かっていない」とコメント。各事業者ごとに決済用端末が異なるなどの例を挙げ、「共通のインフラを整備することが拡大の鍵」と強調した。


NRIが試算した電子マネーの2009年度年間決算規模各事業者のインフラの共通化が必要電子マネーのポジショニング

電子マネーの保有率は首都圏で8割強。他都市でも5割前後

NRI金融戦略コンサルティング二部副主任コンサルタントの河野愛氏

 今回NRIが公開した「第3回 電子マネーに関するアンケート調査」は、5大都市圏(札幌、首都圏、東海、近畿、福岡)の生活者を対象に2009年6月に実施。各都市に在住する18歳以上の男女計2250人に対し、インターネットで回答を求めた。

 調査で扱った電子マネーは、Edy、Suica、PASMO、 ICOCA、PiTaPa、TOICA、nimoca、SUGOCA、Kitaca、SAPICA、nanaco、WAON、iD、QUICPay、 Smartplus/Visa Touch、
PayPass、JAL ICクーポン、taspo/ピデルとなる。

 NRIの金融戦略コンサルティング二部副主任コンサルタントの河野愛氏は、電子マネーの普及状況について説明。電子マネーの保有率は、2008年6月に実施した調査と比較し、首都圏で3.9ポイント増の82.8%、東海で6.9ポイント増の42.9%、近畿で8.3ポイント増の56.5%、福岡で12.2ポイント増の51.8%、今回初めて調査を実施した札幌は61.4%となった。

 電子マネーの平均保有枚数は2.4枚(2009年が初調査となる札幌を除く)。交通機関での利用を除き普段の買い物に最も利用する「メイン電子マネー」のシェアは、首都圏では「Suica」(全体の30.8%)、東海では「Edy」(54.8%)、近畿では「Edy」(25.7%)、札幌では「Edy」(38.3%)、福岡では「nanaco」(28.5%)。

 メイン電子マネーの月間平均利用回数は7回(札幌を除く)で、前調査の7.2回と比較しほぼ同等となったが、平均利用単価は19%増の896円、月間利用金額は8%増の6028円となった。

 性・年代別のメイン電子マネー利用単価の平均値は、男性の場合10~20歳代で639円、30~40歳代で824円、50歳以上で992円。女性では10~20歳代で640円、30~40歳代で895円、50歳以上で1166円となり、いずれも男性を上回った。

 メイン電子マネーの形態別利用状況では、「クレジットカードまたは金融機関のキャッシュカードと一体になっている」電子マネーの平均利用金額が8660円と最も高く、「付帯機能のないカード単体」の平均利用金額が4020円と最も低い結果となった。

 NRIでは女性ユーザー層の獲得が市場拡大に重要であるとするほか、電子マネー利用を促進する上で、マイレージなど何らかの付帯機能と結び付けることが効果的としている。


電子マネー保有者の性年代別構成メイン電子マネーの地域別シェアメイン電子マネーの性年代別利用

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(村田 奏子)
2009/9/1 17:38