Twitterでフォローしあっている人に年賀状を送付できるサービス


ウェブポのトップページ

 リプレックス株式会社は29日、郵便事業株式会社(日本郵政)と連携し、メールアドレスだけを知っている人や、Twitterで相互にフォローしている人へ、住所を開示することなく年賀状を送付できるサービス「ウェブポ」を開始した。

 「ウェブポ」では、Webブラウザ上で年賀状を作成・送付できる。日本郵便発行の「お年玉付年賀はがき」を利用。デザインテンプレートは約110種類あるほか、任意の写真をアップロードして使用することも可能だ。

 標準料金は1通128円、スポンサーテンプレートは1通48円、著名な写真家などが作品を提供したプレミアムテンプレートが180円。これらには、はがき代・印刷代・郵便代金が含まれる。決済はクレジットカードなどに対応する。

 なお、スポンサーテンプレートは現在、NTTデータ1社のみで、提供枚数が限られている(枚数は非公開)。利用は先着順となり、定員に達した場合は使えない可能性もある。スポンサーテンプレートは今後拡充していく。

 サービス提供期間は、2010年1月15日まで。年賀状を元日に届けたい場合、いつまでに受け付けを済ませればよいかは、今後、「ウェブポ」のサイト上で案内するという。

年賀状の見本。差出人欄にはメールアドレスやTwitter IDをさりげなく印刷

TwitterはDMで年賀状受け取り確認を通知

 年賀状の作成は、会員登録をすることなく進められる。最初にデザインテンプレートを選ぶ。任意の画像をアップロードして使用する場合は、画像の位置調整などをドラッグ&ドロップで行える。

 次に、宛先となる人のTwitter IDやメールアドレスを入力する。メールアドレスは、「Outlook」や「Gmail」の連絡先から取り込める。ユーザーの一覧からドラッグ&ドロップで宛先リストに追加できる。

 宛先を指定した後は差出人の住所を入力。住所を伏せることも可能で、その際はウェブポ事務局の住所が印刷される。名前はハンドルネームなど任意に設定できる。また、Skype、MySpace、Gmail、TwitterのIDも印刷可能だ。

 挨拶文を入力する際は、書体や色、サイズを変更できる。文字数はデザインテンプレートにより異なる。最後にプレビューで確認し、発送方法と決済方法を選ぶ。なお、会員登録をしていない場合は、決済の時点で会員登録を行う。

 一方、受け取り側にはメールやTwitterのダイレクトメッセージ(DM)で通知が届くため、通知にあるリンクから受け取り承認ページへアクセスし、「受け取る」「受け取らない」を選択。受け取る場合は本名と住所を入力する。なお、受け取り側はウェブポの会員登録を行う必要がない。受け取り側が承認すれば、その人宛の年賀状料金が差出人に実際に課金される。

 このほか、相手の本名や住所がわかる場合は、通常の年賀状印刷サービスとして利用することも可能だ。宛先や挨拶文などを入力し、配送方法の選択で「手元に届ける」を選ぶ。また、宛先や挨拶文を書いていない状態の年賀はがきを購入することもできる。

テンプレート選択デザインの調整Twittreからの宛先追加

差出人情報の編集挨拶文の入力受け取り承認ページ

年賀状だけでなく通年での展開も検討

 29日に行われた記者発表会で、郵便事業株式会社の西村哲氏(事業統合本部郵便事業部)は、日本郵便のキャンペーンサイト「郵便年賀.jp」を紹介した。同サイトでは、年賀はがきの通販や、デザインキットなどを提供している。

 また、「サイト開設から2年経ち、実際に年賀状を作るニーズが高いことがわかった。キャンペーンではなく、腰を据えたサービスを提供することにした」と説明。インターネット上で年賀状を送るサービスとして、他の会社と連携したサービスを開始することにした。

 郵便事業株式会社は、ミクシィと共同で、SNS「mixi」の知人に年賀状を送付できるサービス「ミクシィ年賀状+」を提供している。「ミクシィ年賀状は、mixi会員内だけのサービス。会員という概念を取りはらい、誰でも使えるサービスとして、今回『ウェブポ』を開始することになった」。

 西村氏は、「かなり壮大なサービスになる。年賀状だけでなく、今後は通年で展開していきたい」と話す。例えば、インターネット上の知人が誕生日のときや、暑中見舞い、クリスマスなどが考えられる。「普段はメールなどによるやりとりでも、たまにリアルなものを送られると嬉しい」。なお、「ウェブポ」の利用者数については「予測できないが、ミクシィ年賀状以上になると期待している」とした。

郵便事業株式会社の西村哲氏郵便年賀.jpの概要

ソーシャルグラフを「見えない化」で活用

 リプレックスの直野典彦代表取締役は、「ウェブポ」が導入してる同社の個人情報プラットフォームシステム「SecuTect」を説明した。「SecuTect」では、ローカルに保存するアドレス帳などの情報や、Webサービスのアカウント情報などのソーシャルグラフを連携・管理し、別のサービスで活用できる。

 連携しているサービスの各事業者からは、プラットフォーム内のソーシャルグラフを参照することができないほか、リプレックス自身も個人情報を見られないという。個人情報は暗号化して保管。閲覧するためには、ユーザーのパスワード、リプレックスの認証鍵、独立した第三者(堀法律事務所の若狭勝弁護士)に委譲した認証鍵の3つを揃える必要がある。

 「SecuTect」は、オープンソーシャルとは反対の概念。「日本でオープンソーシャルが広まらないのは、SNSなどの事業者がソーシャルグラフを解放したがらないから。自分の持っているユーザー情報を他の事業者に自由に使われたくないと思っているのではないか」と直野氏は話す。その点、「SecuTect」は各事業者が保有しているソーシャルグラフを誰も見られない状態で、各社のサービスに活用することが可能だと説明した。

リプレックスの直野典彦代表取締役SecuTectのセキュリティの仕組み


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(野津 誠)
2009/10/29 20:34