「ストリートビュー」国内2度目のエリア拡大、広島・福岡など5県
広島・平和記念公園付近のストリートビュー |
グーグルプロダクトマネージャーの河合敬一氏 |
グーグルは2日、地図検索サービス「Google マップ」の「ストリートビュー」機能の提供エリアを拡大した。今回は新潟県、岡山県、広島県、福岡県、熊本県の県庁所在地の都市部を中心に、その周辺の主要国道などをカバーした。
日本において「ストリートビュー」は、2008年8月に札幌、小樽、仙台、さいたま、東京、千葉、川崎、横浜、鎌倉、京都、大阪の12都市について提供を開始。その後、2009年10月、日本では初のエリア拡大として旭川、富良野、名古屋、長崎、佐世保、沖縄、南西諸島の一部でも提供を開始した。今回、国内で2度目のエリア拡大となる。
同日、グーグルは記者説明会を開催し、新たな対象地域の紹介や、ストリートビューの取り組みについて説明した。グーグルプロダクトマネージャーの河合敬一氏は、熊本の阿蘇山や広島の原爆ドーム、新潟の佐渡ヶ島にある七浦海岸(夫婦岩)など、今回対象になった地域で見られる観光スポットのストリートビューをデモした。
ストリートビューの対象とする地域は、人口の多さや撮影条件などで決めている。梅雨や日照時間が短い時期は撮影を控えるという。ユーザーからは「自分の住んでいる地域もストリートビューに対応していほしい」という要望が一番多いが、自治体から対象地域にしてほしいという要望は今のところないとのこと。
熊本の阿蘇山 | 新潟・佐渡ヶ島の七浦海岸 | ユーザーが投稿した写真も表示 |
■公開前に各県庁に報告、地元メディアにも説明会
ストリートビュー機能の沿革 |
ストリートビューの取り組みについては、プライバシーへの配慮として、画像に含まれる人物の顔や自動車のナンバープレートを自動検出して不鮮明(ぼかし)処理を行っていること、加えて、処理が不十分な個所や表札に関しては、ユーザーからの連絡を受けて手動で対応していることなどを説明した。
画像の公開停止の受け付けを開始した当初は、悪戯もあったという。「東京タワーや札幌の時計台の画像を消してくれという依頼があった」。しかし、最近では問い合わせの内容に変化があり、「一度消されたが、戻してほしいという問い合わせもある。サービスが少しずつ受け入れられているのではないかと感じている」と話した。
ストリートビューに関する事前の情報提供や、サービス内容の周知活動にも力を入れている。ストリートビューの「現在撮影中のエリア」をWebサイトで公開しているほか、対象となる各地方自治体へは説明に行くこともあるという。今回対象となった5県についても、画像公開前に県庁広報課などに報告した上、公開日前日には当該地域のメディア向けに説明会も行った。
また、総務省の研究会において、「ストリートビューは合法」「規制の必要はなし」とされたが、事業者にはいくつかの配慮を求められたと説明。グーグルでは、撮影の形態や情報公開などの要請を受けたことから、9月に「現在撮影中のエリア」を公開することなどで対応した。加えて、改善の継続とプライバシー保護技術への継続的な投資を行う考えも示した。
なお、撮影してからストリートビューで画像が公開されるまでには、「だいたい1年以上かかっている」と話す。「一度撮影した場所でも後で確認したらちゃんと撮れておらず、撮り直すこともある」。また、膨大な量の画像処理やサービスへの実装作業などにも時間を要する。グーグルは5月に、今後は高解像度のカメラを使い、プライバシーへの配慮から撮影する位置も下げて再撮影すると発表したが、その画像はまだ反映されていないという。河合氏は、新しい地域の追加よりも、再撮影を優先したいとの考えも明らかにした。
画像公開停止依頼は携帯電話からも可能 | 撮影車両には自動車と自転車がある。自転車はお寺や遊園地などの施設内で利用 | 遊園地などの施設内を見られるスペシャルコレクション。事業者などから依頼を受けて撮影する。撮影や掲載は無料 |