「サイト制作のノウハウ生かせる」Google Chrome拡張機能を説明


グーグルの及川卓也シニアエンジニアリングマネージャー(右)、石原直樹デベロッパーアドボケイト(左)

 グーグルは10日、Webブラウザ「Google Chrome」の拡張機能(Extension)に関する記者説明会を開催した。

 同社シニアエンジニアリングマネージャーの及川卓也氏は、Google Chromeの状況について、全世界で4000万人のアクティブユーザーがおり、「スピードやシンプルさ、Web標準を先取りした機能の追加が支持されている」と話す。

 Extensionは、ブラウザにさまざまな機能を追加できるもの。Extensionのギャラリーには300種類以上が登録されている。なお、Extensionは現在、Google Chromeのベータ版で提供されているが、「Stable版(安定版)やMac版でも早期に使えるようにしたい」とした。

 Extensionの特徴としては、「Webの標準技術と専用APIの組み合わせで開発できる」と説明。「Extensionの中身は、HTMLやJavaScript、CSSなどで構成されている。そのため、WebアプリケーションやWebサイトを作っている人であれば、Extensionを開発できる」と述べた。

 また、Web APIを利用できることから、「マッシュアップサイトを作っている人は、そのノウハウを生かせる」。さらに、Webアプリケーションのプラットフォームにもなる「HTML5」に対応。例えば、大量のデータを保存・管理するようなツールであれば、「WebStrage」か「LocalStrage」を選ぶことが可能という。

 ビジネスの側面としては、「4000万人のアクティブユーザー、特にテクノロジーに詳しいユーザーや、インターネット接続時間の長いユーザーにリーチできる」としたほか、Extensionから自社のサービスへ誘導したり、Extension上でサービスを展開することが可能だと説明。さらに、「早期にリリースすれば、ギャラリーの中でも知名度を確保しやすい」と述べた。


YOMIURI ONLINEが提供する「発言小町」のExtension「はてなブックマーク」のExtension。Google検索結果ページではブックマーク数も表示

Firefoxの拡張機能とは目指す方向性が違う

QRコードを生成するExtension

 グーグルのデベロッパーアドボケイトである石原直樹氏は、Extensionのデモを交えて、具体的な機能を紹介した。

 デモでは、WebページのURLのQRコードを生成するツールを紹介。「Google マップ」で利用した場合、地図のスクロールに合わせてQRコードも変化した。また、複数開いたタブを一覧表示できるツールも紹介した。

 Extensionには、特定のページでアドレスバーにRSSアイコンなどを表示する「Page actions」、ツールバーにアイコンを表示してポップアップで機能を呼び出す「Browser actions」、WebページのUIなどを変更できる「Content scripts」の3種類がある。

 開発したExtensionは、ギャラリーにアップロードするだけで一般に公開される。ブラウザがプラグインを実行するためのAPI「NPAPI」を使用したツールは、セキュリティの関係上、グーグルの審査を経てから公開される。ツールのバージョンを更新すると、自動でユーザーに通知される。ブラウザは数時間ごとにExtensionの更新情報を調べているという。

 10日には、Extension開発者向けのコミュニティ「Chromium Extensions Japan」を発足した。Google API Expertに認定されている開発者の太田昌吾氏を中心に、Extensionに興味のある開発者が集まって、ディスカッションなどを行う。石原氏は、「日本でも開発者支援を推進したい」と話した。

 太田氏が開発したExtensionのデモも行われた。マウスジェスチャーでWebページを移動可能にするツールや、ユーザースタイルシートを利用してWebページのレイアウトを自分好みにカスタマイズできるツールを紹介。太田氏は、Firefoxの拡張機能との違いについて、「Firefoxではリファラをコントロールできたり、ブラウザの根幹までタッチできる。Extensionはそこまで深く入り込まないため、目指している方向性が違うと感じた」と話した。


複数開いたタブを一覧表示できるExtensionマウスジェスチャーを利用可能にするExtension

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(野津 誠)
2009/12/10 19:37