相田みつを美術館、位置情報に応じた館内ガイドアプリ「DaMoNo」
相田みつを美術館 |
東京・千代田区の相田みつを美術館とクウジットは19日、位置情報に応じて作品関連情報を自動的に配信する、iPhone/iPod touchを利用した美術館ガイド「DaMoNo(だ・も・の)」を発表。また、同名のiPhone/iPod touch向けアプリケーション「DaMoNo」を発売した。価格は800円で、App Storeから購入できる。
「DaMoNo」をインストールしたiPhone/iPod touchの持ち込みも可能で、アプリケーションの特典画面を提示すると、12月20日まで入館料800円が無料となる。
「DaMoNo」のサービス開始は20日で、相田みつを美術館では「DaMoNo」をインストールしたiPhone/iPod touchの貸し出しを開始する。貸し出し料金は1台につき200円だが、11月8日までは無料。
■館内の位置情報を検出。展示作品情報を自動配信
「DaMoNo」は、クウジットの位置認識技術「PlaceEngine」を利用し、館内位置によって展示作品の情報がiPhone/iPod touchに自動的に配信されるもの。「PlaceEngine」は、無線LANアクセスポイントIDと電波強度の強弱から現在位置情報を測定する技術。GPSが届かない屋内や地下街などでも利用できることが特徴となる。
ガイドは、iPhone/iPod touch向けアプリケーション「DaMoNo」をインストールしたiPhone/iPod touchで利用できる。サービス開始にあたり、館内には約20個の無線LANアクセスポイントを設置。位置情報の誤差は約3~5mという。
「DaMoNo」では、「館内地図モード」、「作品解説モード」、「感想文集モード」を用意。基本となる「館内地図モード」では館内マップが表示され、無線LANアクセスポイントにより入室/退室情報を検知する。展示室に入室すると、自動的に展示室の作品リストを一覧表示する。また、現在位置の表示や、既に入室した展示室を灰色に表示することで移動履歴も確認できる。
「作品解説モード」は、自動表示した作品リストをタッチすると起動。該当作品に関連した情報が表示され、相田一人館長が選定・監修した24作品の解説などが閲覧できる。なお、「作品解説モード」の内容については、館外でも閲覧できる。
「感想文集モード」は、館内のカフェに入ると自動で表示。10代から70代の直筆の感想文を配信する。サービス期間は12月20日まで。現在開催されている第43回企画展「相田みつを 日めくりの世界」の終了と合わせた形となる。
「館内地図モード」「作品解説モード」「感想文集モード」の解説 | 位置情報に合わせ自動的に作品情報を配信。コンセプトは、感動を「そっとひと押し」 | PlaceEngineの無線LANアクセスポイント設置イメージ |
開催した発表会では、実機によるデモも実施。写真は実際の「館内地図モード」 | 「作品解説モード」 | 「感想文集モード」 |
館内では、iPhone/iPod touchは30台を用意。用紙に名前を記入することで、1台200円で貸し出しを行なう。
相田みつを美術館は、東京都千代田区の東京国際フォーラム内にある美術館で、2003年11月に開館。相田みつを氏の長男相田一人氏が館長を務め、来館者は年間40万人以上となる。入館料は一般・大学生が800円、中・高校生が500円、小学生が200円、70歳以上が500円。開館時間は10時から17時まで。
「相田みつを美術館」館内 | 「相田みつを美術館」館内に設置された無線LANアクセスポイント。ネットに接続する必要が無いため、「電源を入れるだけで利用できる」(クウジット株式会社代表取締役・末吉氏)。 |
■館長の相田一人氏「館内ガイドとしてiPhoneが最高だろうと思った」
記者発表会では、相田みつを美術館の館長相田一人氏(相田みつを氏の長男)、クウジット株式会社代表取締役の末吉隆彦氏が登壇。「DaMoNo」開発の背景などを語った。
登壇した相田一人氏は、館内ガイドの端末にiPhone/iPod touchを選択した理由として、「他の美術館の音声ガイドは機能的で内容も充実しているが、使うことの喜びは感じられなかった」とし、「私はiPhoneに関しては年季の入ったユーザーです。従来にない館内ガイドとしてiPhoneが最高だろうと思った」と話した。
相田氏は、米国でiPhoneが発売された時期にiPhoneを入手。「とにかく触っていることが楽しいと思った。画面の美しさが際立っていて、触って楽しい、画質が美しいという感覚がある。機械に触れる感動を感じて欲しい」と思いを語った。
また、「『DaMoNo』による来館者の増加も期待している」とコメント。「単に使って楽しいものでもあるし、相田みつを美術館はリピーターが多い。そのリピーターを増やす1つの要素にもなる」(相田氏)。
クウジット株式会社代表取締役の末吉隆彦氏は「DaMoNo」の仕様面を解説。収益は「貸し出し料金と『DaMoNo』販売の2つ」とし、当面はサービス開始初期のため具体的な収益目標は「非公開」とした。また、「DaMoNo」について「現実とバーチャルの融合を目指している。iPhoneはそれが唯一可能な端末で、楽しんで利用してもらえたら」と語った。
今後も企画展に合わせたiPhone/iPod touch向けアプリの配信や、iPhone/iPod touchの貸し出しサービスを提供する予定という。
相田みつを美術館館長の相田一人氏 | クウジット株式会社代表取締役の末吉隆彦氏 |