手元スイッチで切り替えが簡単! エレコムのUSB用PC切り替え器


 「U2SW-B27SBK」の標準価格は7035円。リモートスイッチと7つのUSBポートを装備する

 USBは、たった1つのポートに多数の周辺機器が接続できる非常に便利な接続方式である。しかし、PCが1台だけなら問題はないのだが、複数を使い分けていると問題がある。すべての機器接続が1台のPCに集中してしまうのだ。

 USBの場合、PCを動作させたままでもプラグの抜き挿しが可能という大きな特徴があるのだが、それでも機器の共有は面倒。わざわざ席を立ってPCの周辺を覗き込み、ケーブルを引き抜いた上で接続先を変えるしかないからである。こういった不便を解消する手段の1つがUSB用のPC切り替え器だ。今回はその中から、ケーブル接続式のリモートスイッチを搭載したエレコムの新製品「U2SW-B27SBK」を紹介したい。

 PC切り替え器というと、PCへと接続するポートを2つ、機器へと接続するポートを1つ装備したシンプルなスイッチボックス型を良く見かける。使用中のUSB機器やハブをそのままの状態で移し替えられるという点で便利な方式である。

 ところが、本製品はこれとは少々異なっている。切り替え器と7ポートのUSBハブを一体化させた上で、手元で操作できるリモートスイッチを利用できるようにしたのだ。切り替え作業のためにスイッチボックスへ手を伸ばす手間がかからず、PCに切り替え用のソフトウェアをインストールする必要もない。2台のPCと数多くのUSB周辺機器をこれ1台だけでコントロールできる、非常にスマートで使い勝手の良いアイテムなのである。


左側面には1台目のPCを接続するミニUSBポート、それに付属のセルフパワー用ACアダプタを接続するジャックがある右側面には2台目のPCを接続するミニUSBポートとPC切り替え用のリモートスイッチを接続するジャックを配置

 本体サイズは164.5×30×11.5mm(幅×奥行×高)。少々幅はあるものの、スティックと呼んでも差し支えないスリムな形状である。7つのUSBポートは正面、横1列に並べられている。左右の側面にはPCと接続するミニタイプのUSBポート、それにACアダプタを接続するジャックとリモートスイッチを接続するジャックがある。

 付属のPC切り替え用リモートスイッチは先端にミニピンジャックが付いたケーブルで接続する。一辺が36mmほどの正方形。中央に大きな切り替えボタン、その横にLEDインジケータランプが配置されている。このインジケータは、1台目のPCに接続している場合はグリーン、2台目のPCに接続していればオレンジに輝く。ケーブルの長さは1.8mほどあるので、手を伸ばしやすい場所へ引き出しておくことができる。デスクトップPCならディスプレイの横やキーボードの空きスペースに両面粘着テープなどで貼り付けておくのも良いだろう。

 本体のみでの電源供給は300mAまでだが、ACアダプタが付属しており、これを接続することで7ポート合計3500mAをバスパワー機器に供給することができる。HDDや光学ドライブ、イメージスキャナなど、比較的多くの電力を必要とする機器の使用にも不安はない。


本体のサイズは164.5×30×11.5mm(幅×奥行×高)。USBポートを横1列に並べることでスリムなスティック状のデザインを実現している1.8mのケーブルで接続するPC切り替え用リモートスイッチ。大きなプッシュボタンとLEDインジケータがあるだけのシンプルなパッド状だ付属のセルフパワー用ACアダプタはかなりの大型。これを接続することで7ポート合計で3500mAまでの電源供給が可能だ

 USBは1つのポートに多数の機器を接続できるのが大きな特徴だ。筆者が自宅で使用しているマシンを例にすると、キーボード、マウス、DVDドライブ、メモリカードリーダライター、プリンタの5つが常時繋がれている。必要に応じて、これにUSBフラッシュメモリ、ポータブルオーディオプレーヤー、ICレコーダ、デジタルカメラ、携帯電話などが加わる。ユーザーによってはWebカメラ、スピーカー、タブレット、あるいは扇風機(笑)などが追加されるかもしれない。いずれにしても、数種類の周辺機器を接続するのが普通だ。

 今回は、これらのUSB機器を本製品に繋ぎなおし、デスクトップとモバイルノートの間で共有できるようにセッティングしてみた。筆者の使い方では、7ポートはちょうど良い数である。帰宅したらモバイルノートのUSBポートにプラグを挿し込み、リモートスイッチをワンプッシュするだけで、デスクトップで使用しているUSB機器が利用できるようになるのは、やはり便利というしかない。

 リモートスイッチは1度押すごとに、1台目のPCと2台目のPCとが交互に切り替わる方式だ。ストロークは浅めだが、メカニカルな感触で心地良いクリック感がある。どちらのPCに接続しているかを、本体のインジケータだけでなく、リモートスイッチ側のインジケータで確認できるのが有り難い。

 本製品は、2台のPCを切り替えて使用できるという特徴を持ってはいるが、機能的には非常にわかりやすい。PCを1台しか接続しなければ、通常のUSBハブと同じように動作するのである。ダイレクトな接続以外では動作が保証されていない機器、あるいはHDDユニットなど、高速なデータ転送速度を必要とする周辺機器の接続は避けるべきかもしれないが、基本的な使用法は一般的なUSBハブと同じだと考えて良さそうである。

 ということは、本製品の下に通常のUSBハブをカスケード接続し、7つ以上の機器を同時に切り替えることも可能なのではないだろうか。逆にPCのUSBポートから通常のハブへ接続、そこから分岐させる形で本製品をぶら下げるといった使用法も考えられる。この場合、各PC固有のUSB機器と共有するUSB機器を使い分けるという高度なワザが駆使できるだろう。


1台目のPCに接続している場合は、本体左側とリモートスイッチのLEDインジケータがグリーンに点灯する2台目のPCに切り替えると、本体右側、およびリモートスイッチのLEDインジケータがオレンジに点灯するPC切り替え器とはいっても、通常のUSBハブと同じ感覚で使用できる。接続法を工夫すれば高度な使いこなしも可能だろう

 なお、本製品を利用するにあたって注意しなければならないのは、データ通信を監視する機能がないという点だ。つまり、データをやりとりしている最中でも、リモートスイッチをプッシュすれば容赦なく接続が切り替わってしまうのである。

 マウスやキーボードといった周辺機器だけならこれでも問題はない。しかし、HDDや光学ドライブ、あるいはUSBフラッシュメモリやメモリカードリーダライターといったマスストレージクラス対応機器ではトラブルの原因になりかねない。これらの機器はデータ通信中に強制切断されるとファイルが破損してしまうばかりか、ハードウェアの故障の原因にもなりうるのだ。

 ストレージ系のUSB機器を使用している場合は、タスクトレイのアイコンやコントロールパネルから「ハードウェアの安全な取り外し」作業を行ってから切り替えるのを忘れないようにしたい。


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(斉藤 成樹)
2009/6/3 11:00