キューブ型筐体を採用したスピーカー内蔵のELPAテレビリモコン


ELPAの「手元スピーカー付きテレビリモコン RC-25SP」。一辺が90mmのキューブ形デザインがユニークだ。実売価格は4000円程度

 朝日電器が「ELPA」ブランドで発売する「RC-25SP」は、ワイヤレススピーカーシステムを搭載した、とてもユニークなテレビ用リモコンである。ヘッドフォン端子などからの音声を赤外線に乗せて送信、手元のリモコンユニットで鳴らすことができるのである。

 デザインも変わっている。1辺が90mmのキューブ形なのだ。手元のスピーカーは、大きな画面でテレビを楽しみたいが、音量を上げるのは気が引けるといった夜などのシチュエーション、あるいは周囲が騒がしく、音声が聴き取りにくい場合など、日常的なシーンで役立ってくれる。大きなボタンで操作しやすいテレビリモコンと気軽に使えるパーソナルなテレビ用ワイヤレススピーカーシステムが合体した1台2役のアイテムである。

 RC-25SPは、手元に置くキューブ形のリモコンユニットと、テレビ側に取り付ける送信ユニットで構成されている。真四角のリモコンユニットを中ほどからパカッと開くと、上ブタ側にスピーカー、下に計21個のテレビリモコン用ボタンが現れる。機能的にはシンプルだが、良く使う数字ボタンは幅が14mmほどもあり、レタリングされている文字が非常に大きい。近頃の小さなボタンが数多く配置された多機能なリモコンと比べると格段にわかりやすく、誰にでも扱いやすいのが特徴だ。

 マニュアルに載っている一覧表からメーカーや機種を選び、4桁の数字コードを入力すれば、主要22社のアナログテレビ、地上波デジタルテレビ、ビデオ一体型テレビなどがコントロール可能だ。


テレビリモコン用のボタンは全部で21個。数字ボタンは幅が14mmもある。シリコンラバー風のソフトな手触りだ腕時計かアクセサリーでも入っていそうなキューブ形のボディ。送信ユニットも共通したサイズの正方形だ

 外装パネルの一面をベルトのように取り巻いているのは赤外線の送受信部。横にはヘッドフォンジャックとACアダプタ接続ジャックが配置されている。音量調整ダイヤルはスピーカーのスイッチを兼ねていて、最小まで回し切ると音は止み、通常のリモコンとしてのみ動作するようになる。

 電源は単3形アルカリ乾電池4本。スピーカーを鳴らした場合の動作時間は約20時間となっている。1日2~3時間の利用で、1週間以上は使用できる計算だ。また、面白いことにリモコンだけなら4本の乾電池のうち2本だけあれば機能する。スピーカー使用時は4本すべて、リモコンは4本中の2本だけを使うというユニークな方式なのである。完全なワイヤレスにこだわらなければ、オプションで用意されているスピーカー電源用のACアダプタを使用してランニングコストを抑えることもできる。


オプションのACアダプタとヘッドフォンを接続するジャックが用意されている。スイッチを兼ねた音量調整はダイヤル式だ電源は単3形アルカリ乾電池4本。スピーカーを使用せず、赤外線リモコンとしての利用であれば右側2本だけで動作する

 音声信号を送り出す送信ユニットはリモコンユニットとおそろいの90mm角、高さ26mmの正方形だ。サイズだけでなく、ACアダプタにまで共通の白色を採用するあたり、デザインへのこだわりが感じられる。

 接続は背面の音声入力端子とテレビ側のヘッドフォン端子、または音声出力端子を付属の3.5mmミニピンプラグ付きケーブルで繋ぐだけ。軽量コンパクトなので赤外線通信に有利な広い範囲を見通せる場所に設置できるだろう。テレビ台やキャビネットの横に両面粘着テープなどで貼り付けても良い。

 赤外線の到達距離は最大約7m。筆者の場合、これよりも近い距離で使うことが多かったが、正面から横に1~2m程度移動しても音が途切れることはなかった。角度についてはかなりの余裕があるようである。

 サイコロのようなリモコンユニットは重量約240g、これに単3形アルカリ乾電池4本が加わると、けっこうな重さになる。形状からいっても手には持たず、テーブルなどの上に置いたまま片手で操作することになるだろう。普通のリモコンとは少々異なる使用感だ。

 ちなみに、ホワイトのキューブというデザインは、細長いプレート状のリモコンに比べて目に付きやすいようである。いつもどこかに紛れ込んだリモコンを探して時間をムダにしている筆者にとって、これは非常に有り難かった。


送信ユニットは90mm角、高さ26mmの正方形。付属のACアダプタやケーブルもリモコンユニットと同じホワイトで統一されている送信ユニットの背面には付属のACアダプタを接続するジャックと、3.5mmミニピンプラグを挿し込むジャックがある

 実際の使用感もなかなか快適だ。少し離れた画面を眺めながらすぐ近くのスピーカーから出る音を聴くのだから、ヘッドフォンを使用するのと大差ないように思える。しかし、耳に違和感がないし、ヘッドセットの重さを感じることもない。ソファや床に寝転がり、片方の耳がクッションなどでふさがれた状態でも非常に聴きやすいのである。

 また、目の前のスピーカーからの音は輪郭がハッキリとするため、ムダにボリュームを上げて大きな音を撒き散らさずに済むのも大きな特徴だ。深夜にテレビを楽しんでも家族から不満があがることもなくなるだろう。


スピーカーの右下には穴が開けられ、奥までダクトが伸びている。低音の再生に有利なバスレフ型を採用しているのだろうかスピーカー部にかなりの厚みがあるので一見バランスが悪そうに見える。しかし、乾電池を入れた状態であれば問題はない

 スピーカーは出力1W。近くで聴くには必要十分な音量が出せる。モノラルなので音楽や映画では物足りなさを感じるかもしれないが、ニュースやバラエティといった番組ならまったく問題はない。テレビの音が聴きにくくなったと感じているお年寄りなどにもおすすめできるパフォーマンスである。

 赤外線ワイヤレススピーカーは、プラズマディスプレイパネルや他の赤外線機器と併用するとノイズが混入するなど、正常に動作しない場合があるという。しかし、一般的な家電製品が出す電磁ノイズの影響を受けにくく、取り扱いが簡単なのが大きな特徴だ。手元までケーブルを引きずる必要がなく、手軽に雑音のないクリアなサウンドが楽しめる。ユニークなデザインと実用性を両立させた魅力的なAVアクセサリーといえるのではないだろうか。


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(斉藤 成樹)
2009/6/17 11:00