ネットブックにDVDスーパーマルチ/HDD/SSDなどを手軽に増設!
センチュリー「ネットブックスタンド」
センチュリーの「ネットブックスタンド」は、ネットブックをパワーアップさせるための外付けスタンドだ。本体にDVDスーパーマルチドライブを内蔵するほか、2.5インチのHDDまたはSSDを搭載でき、ネットブックを据え置きノートPC並みの性能にパワーアップさせることができるというシロモノである。
BCNの調査によれば、2009年5月のノートPC全体における売上の3分の1がネットブックを含む「ミニノート」が占めており(関連記事)、このことからネットブックをメインPCとして利用しているユーザーも増加していると思われる。当初は2台目用途といわれたネットブックの利用形態が、ここにきて徐々に変わりつつある。
しかし、ネットブックは一般的なPCに比べると機能が乏しく、多くのネットブックで光学ドライブは非搭載であり、HDD容量も制約があることも少なくない。ほかにも、USBポートが足りないという場合も多い。今回紹介するネットブックスタンドを導入すれば、これらの問題点が一挙に解消できるというわけだ。
「ネットブックスタンド」製品パッケージ。直販サイトの価格は9980円 | 製品本体。ホワイトのほかブラックもラインナップする。フットプリントはA4よりやや小さい程度 |
■DVDスーパーマルチと2ポートUSBハブを搭載。HDD/SSDも搭載可能
厚みは約19mm。重量は約524g |
まずは基本的な仕様を見ていこう。本製品は下敷きのような形をしており、ネットブックの下に敷いて使用する。特定のネットブックにぴったり合う形状というわけではなく、基本的に上に載せるだけの仕様となっている。そして、ネットブックとはUSBケーブルで接続するというのが基本的な仕組みだ。
フットプリントは約260×190mmと、A4サイズよりひとまわり小さい。後述のファン位置との兼ね合いもあるが、10インチワイドまでのネットブックであれば問題なく搭載できる面積だ。
本体カラーはホワイトとブラックの2色をラインナップしており、いずれもネットブックの質感と合う光沢調になっている。ただ、天板はプラスチック素材であるため、擦り傷や指紋がつきやすい。ネットブック底面や脚部の状態にもよるが、何度も載せたり下ろしたりを繰り返すと、それなりに使用感が出てくるかもしれない。
正面下部にあるラッチを押すと上蓋が開くようになっている。右側にはDVDスーパーマルチドライブが搭載されており、ネットブックからDVDの読み書きを行えるようになる。ドライブはパナソニックの「UJ880A」が採用されており、DVD±R/+RWで8倍速、DVD±R DL/-RW/-RAMで6倍速、CD-R/-RWで24倍速の書き込みに対応する。ただし、本製品にはライティングソフトは付属しないので、別途入手する必要がある。
本体左側には2ポートUSBハブ機能を備えた基板が配置される。中央はぽっかりと開いているが、ここには2.5インチのSATA型HDDもしくはSSDを組み込むことができる。メーカーによると、SSDはMLCタイプのみサポートするとのことだ。
右側面。DVDスーパーマルチドライブを備える | DVDスーパーマルチは、パナソニックの「UJ880A」を採用 | DVDスーパーマルチはトレイ方式 |
また、本体左後部には、直立可能な4cm角の冷却ファンが搭載されており、ネットブックを冷却できるようになっている。もっとも、位置的にネットブックの左側面の後ろをふさぐことから、機種によっては各種ポートと干渉する恐れがある。今回試用した日本エイサーの初代Aspire One(AOA150)の場合、ちょうどこの左側面後ろに電源コネクタがあることから、載せる位置をやや後ろにずらす必要があった。このあたりはユーザー側での事前検証が難しいと思われるだけに、設置確認情報などサポート情報の提供を期待したいところだ。
上蓋を開けたところ。内部構造は簡素で、左手前に基板、右側にDVDスーパーマルチがレイアウトされている | 左後方には4cmの冷却ファンを備える。利用時は90度立てる仕組み | ネットブックを載せたところ。左奥の冷却ファンの位置によっては、設置位置を多少前後させる必要がある |
■USBケーブル1本でネットブックと接続して使用する
電源オン時は本体左前面のLEDが点灯する |
以上の機能は、本製品とネットブックをUSBケーブルを用いて接続することで、ネットブックから利用できるようになる。DVDスーパーマルチ/USB×2/HDDまたはSSD(任意)/冷却ファンをすべて束ねて、1本のUSBケーブルでネットブックにつなげてしまうわけである。超多機能なUSBハブ、というと違和感がないでもないが、まあそんなところだろう。
ちなみに本製品に付属するUSBケーブルは、全長約50cmとやや長め。さまざまな機種に対応させるためにある程度の長さが必要なのは理解できるが、ケーブルの外皮が硬いため、手持ちのショートケーブルがあれば、換装して使うのも良いだろう。
なお、電源は内蔵ではなく、付属のACアダプタを利用する。動作モードは「ON」「OFF」のほか、冷却ファンのみを利用する「FAN」も選択できる。「FAN」は、その字面からして「ファンだけを動作させる」モードだと錯覚しやすいが、実際には異なるので注意したい。「ON(FANあり)」といった表記のほうがよかったかもしれない。
左側面。2基のUSBポートと、電源スイッチ、ネットブックと接続するためのUSBminiBポート、電源コネクタを備える | 底面。ゴム足を備える。角度調整用の脚などは用意されない | 付属物一式。本体とACアダプタ、USBケーブル |
ONは「電源オンでファン回転なし」、FANは「電源オンでファン回転あり」の意味になる | ネットブックと接続するためのUSBコネクタは左側面に配置されているため、ネットブック本体の左側面のUSBコネクタと接続するのが合理的だ | ネットブックと接続するためのケーブルはやや外皮が硬く、クセがある |
■机上利用を前提とした製品。モバイルユースの利用は厳しめ
ネットブックを乗せた状態では、キーボード盤面が机上から4~5cm程度になることも。打鍵が多いようであれば別途フルキーボードなどを用意したほうがよさそうだ |
ざっと仕様を見たところで、本製品がどのような用途に使えるのかを考えてみよう。まず可搬性だが、モバイルノートのポートリプリケータのように、ノート本体と完全に一体化するわけではないため、ネットブックを載せたままの持ち運びには適さないだろう。このため、基本的には机上で置いて利用するスタイルが中心になると思われる。
次に冷却パッドとしての用途だが、ネットブックをはじめとするモバイルタイプのノートは、その小型ボディゆえ膝の上に載せて使うことも想定されるが、本製品を冷却パッドのように間に挟んで利用する使い方には適さない。というのも、本製品に通電していると、本体底面がかなりの熱を帯びてくるからだ。DVDドライブやHDD/SSDをどれだけハードに使うかにもよるが、基本的に机上利用に限定した製品と見るべきだろう。
また、ネットブックを乗せるとキーボードの盤面がそれなりの高さになってしまうため、打鍵がやや困難になる点には注意したい。もし本製品を利用しつつ、快適な文字入力を行いたいのであれば、外付けのフルキーボードと組み合わせることを検討したいところだ。むしろ本製品の場合はマウスもキーボードもつないでしまったほうが、外付けのドックとして重宝しそうな気がする。
■DVDスーパーマルチを求めるユーザー向けの付加価値製品
中央のスペースには2.5インチのHDDもしくはMLCタイプのSSDを搭載することができる。SATAコネクタでつながっているだけなので、やや不安定 |
以上見てきたように、オールインワンで機器を増設できるという本製品の利便性は高く評価されるべきだろう。HDD/SSDをあえて搭載せず、ユーザー自身で選択できるようにしてある点も、自由度を高めるという意味で良い。ネットブックに内蔵されているHDD/SSDを自分好みの製品に換装し、抜き取ったドライブを本製品に移せば、ムダなく利用することが可能だからだ。個人的には、ネットブック本体とセット販売されていてもおかしくない製品であると感じた。
ただし、可搬性などの点であまり融通が利かないこと、また設置するとキーボードが使いにくくなる点など、利用スタイルによっては気になるポイントがいくつかあるのは事実。どのように使うのかをしっかり想定した上で購入するか否かを決定すべきだろう。
また、今回試用した限りでは、USBポートの搭載数を増やしてほしいと感じた。現状ではネットブック本体のUSBポートを1基消費した上で増えるのがわずか2基なので、差し引き1基しかプラスされない計算になるからだ。
本製品は、さまざまな機能をオールインワンで搭載しているが、やはり利用の中心になるのはDVDスーパーマルチドライブだと思われる。位置づけとしては、DVDスーパーマルチが欲しいユーザーが、付加価値を求めてチョイスする製品ということになりそうだ。
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