Windows 7の「Windows Media Center」で使える!
アイ・オー・データ機器 リモコン「GV-MC7/RCKIT」


アイ・オー・データ機器の「GV-MC7/RCKIT」。標準価格は4410円

 アイ・オー・データ機器の「GV-MC7/RCKIT」は、Windows 7が持つ映像・音楽再生用インターフェイス「Windows Media Center」に対応する赤外線リモコン。PCから数m離れた場所で、音楽の再生・一時停止やスキップをしたい場合に便利な製品だ。

 「Windows Media Center」は本来、テレビチューナーカードを別途接続することでテレビ番組の録画や再生を楽しめることが大きなメリットだ。しかし、音楽や画像ファイルをPCに多数保存している人向けの便利な機能が揃っている。今回は「GV-MC7/RCKIT」がチューナーレスの環境でどのように使えるかを検証してみよう。

「Windows Media Center」で利用可能なリモコン

 「GV-MC7/RCKIT」の対応OSはWindows 7(64/32bit版)で、「Windows Media Center」機能をサポートするUltimate/Professional/Home Premiumの各エディションでの使用が前提となる。なお、Windows Vista/XPでの動作は保証されていないので、念のため注意してほしい。

 製品パッケージ自体は非常にシンプルで、リモコン本体、USB接続のレシーバー(受光部)、取扱説明書(A4サイズ1枚)。また、リモコン用の単4形乾電池2本も同梱されている。

 リモコンの外観は、Windowsロゴがプリントされたボタンを除けば、テレビ用リモコンを思わせる。サイズは46×215×26mm(幅×奥行×厚)で、重量は約90g(電池除く)。本体の厚みは、赤外線を発信する先端部が約16mm、乾電池を収納する場所がある末端部が約26mmで、テーブルにおいた場合はやや前傾する格好だが、実際に手にとると適度な厚みがあってホールディングしやすい。


リモコンのほか、USB接続のレシーバー、単4乾電池2本、取扱説明書などが付属リモコンはごく一般的なサイズ(比較用に置いたのはソニーの「RM-PLZ510」)

 またボタン類もオーソドックスなものが過不足なく揃う。再生や一時停止、早送り、巻き戻し、スキップ、音量調整、上下左右を操作するカーソルキーなどがリモコンの上半分側に並んでいる。

 一方、下半分側はテンキーや番組ガイド、放送波切替、d(データ放送)ボタン、青/赤/緑/黄の各種カラーボタンなど、主にテレビ視聴用のボタンが配置されている。このあたりは、テレビチューナーを接続していないPCではあまり使う機会がないかもしれない。テンキーには、ひらがな・アルファベット入力のための表記がプリントされている。なお、暗所でキーが点灯する機能などはない。

 PCとUSB接続する受信レシーバーは比較的小型で、サイズは37×22×64mm(幅×奥行×高)、重量は60g。ケーブル長は約2mあり、配線の自由度は高いと言えるだろう。ケーブル自体はレシーバーに直付けされているため、短いものに取り替えるといったことはできない。


リモコンのボタン配置。こちらは上半分下半分。テンキーなどが並ぶ

リモコン裏面。手前側にくるに従ってやや厚みが増す形状赤外線受光部。SDカードとサイズを比較してみた

ドライバCD不要でセットアップOK。遠隔電源オン・オフも可能

 セットアップ自体も非常に簡単だ。Windows 7にあらかじめドライバが組み込まれているので、レシーバーをPCのUSBポートに接続すれば、ほどなくしてインストールが完了する。なお、未接続時にはわかりにくいかもしれないが、赤外線受光部分にLEDが内蔵されている。実際に受光する際にはこの部分が一瞬点灯するので、トラブルの原因(例えばリモコンの電池切れ)を切り分ける際の目安になるだろう。

 ちなみに、動作未保証OSであることを承知の上で、Windows XP Professional(SP3)をインストールした自作PCに接続してみたが、PC内にドライバが見つからないため上手く動作しなかった。

 セットアップ完了後は、リモコンにあるWindowsボタンを押すと「Windows Media Center」が起動する。アイコンや文字がかなり大きく表示されるため、2~3m離れた場所からでも十分操作可能だ。

 あとはカーソルキーで選択し、OKボタンで決定するのが基本的な操作スタイルとなる。また、Windowsボタン左にある「←」を押すと前のメニューに戻る、同じく右にある「i」を押すと、その場面に応じたサブメニューが開く。画面上ではほとんどボタンヘルプが表示されないため、慣れないうちはパッケージ同梱の取扱説明書を手元に置いておいたほうが良いだろう。


Windows Media Centerを起動したところセットアップ時にインストールされたドライバ一覧

 リモコン右上にある電源マークのボタンを押すと、PCはスリープモードへ移行する。PCを構成する部品の種類や周辺機器との接続状況にもよるが、比較的短時間でPCの電源を切ることができる。また、同じボタンでスリープからの復帰も可能だ。この機能を使えば、テレビやAVコンポ感覚で気軽に「Windows Media Center」を利用できるだろう。

 なお、電源マークのボタンに関する動作は、Windows 7においては「スリープボタン」として処理されているようだ。コントロールパネルから「ハードウェアとサウンド→電源オプション→プラン設定の変更→詳細な電源設定の変更」と選んでいき、「電源ボタンとカバー→スリープボタンの操作」の項目を変更すれば、ボタン押下時にスリープではなく休止状態へ移行するようになる。

 休止状態は復帰にやや時間がかかるものの、PC内蔵ファン類などはほぼ確実に全停止する。一方、スリープは復帰が非常に高速だが、PCの電源LEDが頻繁に明滅するためリビングや寝室では利用しにくいケースもある。このあたりは用途に応じて選ぶと良いだろう。

PCから離れた場所で気軽に音楽コントロール

楽曲再生中の画面。背景にはアルバムカバーがタイル状に表示されている

 さて肝心の「Windows Media Center」機能だが、電源オン・オフも含め、離れた場所からリモコン操作が可能になることで、かなり使い勝手が向上する。PCモニタの省電力機能を使ったり、スピーカーの電源を別途入れる必要はあるが、部屋に帰ってきてPCに近寄ることなく、音楽を聴いたりできるわけだ。

 音楽を聞く場合は「ミュージック」を選択する。「すべてを再生する」のほか、アルバムやアーティスト単位で楽曲を選択することもできる。これら操作はカーソルボタンを押す必要があるが、1度再生がはじまればあとはリモコンの再生、停止、スキップボタンなどでダイレクト操作できる。また、リモコンからはWindowsの音量調整やミュートが可能だ。

 見た目の楽しさも「Windows Media Center」ならではの部分だ。再生中、楽曲ファイルに設定された「アルバムカバー(アートワーク)」を大写しするとともに、背景にはその他楽曲の画像をタイル状にサムネイル表示してくれる。もちろん、音響に応じた幾何学的な視覚エフェクトへの変更にも対応する。

 なお、「Windows Media Center」で利用する楽曲ごとのタイトル名、アルバム名、作曲者情報などは基本的にWindows Media Playerのライブラリに準拠する。再生リストなども共通化されているので、あらかじめ作り込んでおくと良いだろう。

 また気になる点として、本製品を使って「Windows Media Center」以外のソフトをコントロールできるかという点がある。試しに「iTunes」や「Windows Media Player 12」で操作してみたが、再生や一時停止といった基本的な操作は可能なものの、再生リストやアルバムを選ぶといったメニュー周りの操作は難しい。バックグラウンドで動作する別アプリケーションがアクティブになった状態では、基本操作がままならないケースもあった。あくまでも「Windows Media Center」専用リモコンと考えるべきだろう。

 「Windows Media Center」では楽曲再生以外にも、動画ファイルの視聴やJPEG画像のスライドショーにも対応する。操作についてもほぼすべてリモコン対応しており、再生リストへの楽曲追加、あるいは名前変更といった作業も可能だ。

写真の表示も可能。音楽を同時に楽しむこともできる(画面左下には再生中の楽曲が表示される)音楽や写真以外の機能も豊富。「Extras」内にある「メディアオンライン」からは「日テレNEWS24」などのネット配信動画が楽しめる

地デジチューナーがなくても便利に使える

 このように「Windows Media Center」自体は、テレビチューナーの搭載有無にかかわらず、さまざまな用途に応用できる。PCと「GV-MC7/RCKIT」を組み合わせることで、HDD内蔵音楽プレイヤー的な使い道が開けるのではないだろうか。

 ハードウェア的にはごくシンプルなリモコンであり、普段使いに困ることもない。特に意識することなくリモコンを手にとった場合、親指のあたりにはカーソルボタンや音量操作ボタンなどが集まる構造についても、「Windows Media Center」のユーザーインターフェイスを鑑みれば非常に納得できる。

 強いて不満を挙げるなら、USBレシーバーのケーブル長が利用環境によっては少々長すぎてしまうことだろうか。ケーブル脱着式であったり、あるいは自作PCのフロントベイに設置するバリエーションモデルのようなもの、レシーバー底面をマグネット式にして設置性を高めるといったアイデアもありそうだが、4410円という価格を考慮すれば、少々蛇足だろう。

 今回は「Windows Media Center」の音楽再生機能を中心に解説したが、テレビ視聴・録画機能の将来的な追加を視野に入れておくのも良い。アイ・オー・データ機器から同時発売されている「Windows Media Center」専用のテレビチューナーは1万円台前半とかなり安価になっている。チャンネルのザッピングや番組表閲覧にリモコンは必須となるだけに、前段階の投資と考えるのも悪くなさそうだ。


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(森田 秀一)
2009/11/11 06:00