“花火オタク”の店長がオススメ花火を厳選!
人形・クリスマス・花火の「ダイジロウ」(前編)


 今回紹介するのは、節句人形や花火、クリスマスなど季節ものの商品を扱う「ダイジロウ」。これから夏本番にかけて花火の需要が増えてくる今の時期、「ダイジロウ」では幅広い客層に向けたオリジナルの花火セットを販売している。自ら“花火オタク”を名乗る店長が選んだとっておきのセットで、夏の夜を満喫してはいかがだろうか?

専門店ならではの単品売り花火がギッシリ

「ダイジロウ」のトップページ

 「ダイジロウ」の実店舗「人形の大二朗」が店を構えるのは、千葉県の鎌ヶ谷市。付近はのんびりとした郊外の住宅地といった風情だ。駐車場付きのゆったりした敷地に立つ店舗に一歩入ると、ズラリと並んだ花火が目に入る。「ダイジロウ」はほかにも節句人形やクリスマスグッズも扱っているが、今の季節は完全に花火一色だ。

 置いてある花火は、量販店やコンビニで売っているような袋詰めのセットだけではない。打ち上げ花火や噴き出し花火、手持ち花火などさまざまな種類が単品で並べられている。

 訪れた客は、これらの中から好きな花火をカゴに入れて自由に組み合わせて買える。まさに専門店ならではの品揃えだ。コンビニなどに置いてある袋詰めの花火セットに慣れた人にとっては、このようなスタイルの店は珍しく貴重な存在と言える。

 店を取り仕切っているのは、店長の鈴木大二朗さん。実は鈴木さんの実家は、5月人形の甲冑のメーカーである。幼いころから甲冑作りの工房を見ながら育ったという鈴木さんは、社会に出てからは人形の小売店で修行を積んで、10年前に鎌ヶ谷にて創業した。

 「昔の人形業界は、3月と5月の節句のときだけ商売して、夏の間は店を閉めてしまうことが多かったんですよ。でも、今は形態が変わってきて、せっかく店を構えているんだから夏もなにか売ろうという店が多くなりました。ウチも夏の間にできる商売としてなにかないかな、と考えて、思いついたのが花火でした。」(鈴木さん)

 冬から春にかけては人形、夏には花火、秋から年末にかけてはクリスマスグッズ。このようなスタイルの店は、この業界では珍しくないという。季節商品ということで売る時期をはっきりと分けられるから都合がいいそうだ。店舗内の展示も時期によってそっくり入れ替えてしまうそうで、花火を売っている今の時期には、店内に節句人形やクリスマス関連商品は見当たらない。

 「今、店内に置いてある花火も、ひと夏でほとんどすべて売り切ってしまうので、在庫は残りません。あと2カ月もしたら夏も終わりますから、次はクリスマス商品にディスプレイを変えます。飾り変えが仕事みたいなものですね(笑)」(鈴木さん)

鎌ヶ谷に店を構える「人形の大二郎」五月人形のコーナー


新品の花火は必ず自分で試してチェック

 季節によってアピールする商品をがらりと変えるのは、インターネット通販のサイトでも同じだ。夏にアクセスすると、トップページは花火一色。しかもこのトップページ、龍のイラストのバックで子どもがバンザイのポーズを取っていたりして、けっこう派手である。

 画面の中央には、花火がギッシリ並んだ店内の写真が掲載されていて、「花火オタクの店長がおもしろ花火を厳選!!」というキャッチコピーが入っている。そう、この写真の人こそが鈴木さん。鈴木さんは“花火オタク”を自称するほど、花火には詳しいのだ。

 「ダイジロウ」がオープンしたのは今から5年前。鎌ヶ谷という限られたエリアだけでなく、全国に向けて販売できるという点に興味を持ち、楽天市場に出店した。最初はインターネット通販の知識がほとんど無かったという鈴木さんは、楽天市場が開催するECの講座“楽天大学”などに通ったりして、手探りのままインターネット通販の世界に身を投じていった。

 「インターネットだと商圏の規模が全然違いますからね。そこに魅力を感じました。実際にやってみると、やはり売れるものも地域によってまったく違います。たとえば関東近辺だと打ち上げ花火をやる場所が無いのであまり売れないけど、地方だと売れるので、そういう点は面白いですね。」(鈴木さん)

 もともと花火は子どものころから大好きだったという鈴木さん。毎年のように新しい花火が売り出される中、新作の花火は必ず自分で試してみて、1点1点どのような内容かをチェックするという。

 「昔はよく駄菓子屋さんで花火を売っていて、それを買っては遊んでいました。あのころに比べると、今の子どもたちは花火の遊び方をよく知らない。たとえば小学生くらいの子だと、ロケット花火とか大好きですよね。ロケット花火の打ち上げ方にしても、使い終わった打ち上げ花火を発射台として再利用したりとか、面白いやり方が色々あるんです。」(鈴木さん)

店内には花火がズラリ


客の要望を聞いて的確にアドバイス

 一度使った花火を再利用することで、思わぬ遊び方ができる。自分自身が幼いころに遊びの中で身に付けたこのようなノウハウを、鈴木さんは店に訪れた客に詳しく教えている。

 「1回子どもに教えると、遊び終わってからまた店にやってきて『この前教えてもらった方法を試してみたけど、面白かった!』と言ってくれたりします。実店舗ではそのようなお客さんとのコミュニケーションを大切にしていますが、インターネットの場合はお客さんの顔が見えないのが難しいですね。」(鈴木さん)

 実店舗では、お客さんの要望を聞いた上で的確なアドバイスをする。遊ぶ場所や人数を考慮して、最適な花火を選んであげるという。

 「お客さんが店内であれこれ悩んでいるときは、声をかけて相談に乗っています。中にはあまりオススメできない花火もあるんだけど、そんなときは『それはやめておいたほうがいいですよ』なんて言っちゃうこともありますね(笑)。」(鈴木さん)

 良くないものは良くないとはっきりと言う、この正直さが鈴木さんの真骨頂だ。このようなアドバイスができるのも、置いてある花火の内容をすべて把握しているからこそである。通販サイト「ダイジロウ」を見ても、鈴木さんの花火に対する知識の深さがよくわかる。バラ売りの花火1つ1つに、その花火がどんな内容なのかを詳しく解説しているのだ。

 たとえば「江戸の華」という花火の場合、「紅・緑・青の3種類の星が花束状に打ち上がり、最後に音がして同時に内筒が約30m打上がり中から銀色の星が大きく広がります」という説明文が付いている。一部の商品には、火が出ている状態の写真も載っているので、どんな花火なのかが一目瞭然だ。

打ち上げ花火のコーナー花火の詳細な解説を掲載


量販店に負けない! 専門店ならではの品揃えと接客

 詳しい商品解説は、接客を通じて確かなものをお客さんに提供したいという姿勢の現れである。そしてこの姿勢は、花火以外の商品にも通じることなのだ。

 「人形というのは、知識も必要だし、接客しないと売れないものなんです。これはクリスマスグッズにも言えることです。花火やクリスマス商品を扱おうと最初に考えたとき、思ったのは『周りの量販店とは違うことをしよう』ということでした。」

 「量販店には負けない品揃えと量を置いて、接客を大事にしようと。クリスマスのイルミネーションにしても、連結できるものとできないものなど、いろいろな種類があります。あとは、ベランダによって合うイルミネーションが違ったりとか。そこはやはり、専門店としてお客さんにしっかりアドバイスしていきたいですね。」(鈴木さん)

 人形と花火、そしてクリスマス関連グッズ。鈴木さんは3ジャンルにおいてスペシャリストを目指している。鎌ヶ谷近辺には、ホームセンターやスーパーなどが数多く建ち並んでいるが、「人形の大二朗」は量販店とはまったく違った方向を目指すことで、独特の存在感を放っている。

 そして通販サイト「ダイジロウ」もまた、他店とはひと味違った取り組み方をしている。とくにユニークなのが、「ダイジロウ」のオリジナルのセット商品の数々だ。「真夏のナンパ花火セット」や「パパが留守でも大丈夫!」セットなど、インパクトのあるネーミングのセット商品を数多く揃えている。後編では、このセット商品について詳しく見ていこう。

クリスマスグッズのコーナー国産の花火も用意

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2009/7/23 11:00  
碓氷 貫
フリーライター/編集者。Eコマースや地図サービス、データベース・コンテンツなど、Webサイトの価値を高めるさまざまなサービスをテーマに活動している。地図やハンディGPSを片手に街や山を徘徊する一方で、通販サイトでお買い得品をチェックすることにも余念がない。