ツンデレ系フィギュアが得意!? なアキバ系ホビーショップ
「ホビーストック」(前編)
アキバ系グッズの定番といえばキャラクターフィギュア。今やインターネット上には数多くのフィギュアショップが存在するが、そんな中で、一般のフィギュアだけでなく店オリジナルの商品も数多く取り揃えているのが「ホビーストック」だ。
フィギュアのほかにも、プラモデルや雑貨、ドールなど、さまざまなジャンルの商品を取り揃えており、マニアからも幅広い支持を集めているホビーストックだが、その魅力はいったいどんな点にあるのだろうか。ホビーストックのホールセール事業部・リテール事業部部長であるKさんと、マーケティング部のマネージャーで、ホビーストックのブログ「シマゾウ・レポート」にもたびたび登場しているメカシマゾウさんに話をうかがった。
■オープンにあたってオリジナルフィギュアを製作
ホビーストック http://www.hobbystock.jp/ |
ホビーストックが創業したのは2005年末のこと。通販サイトがオープンしたのは翌年2006年の1月だ。ホビーストックはもともと玩具店などの実店舗を持っていたわけではなく、ネット専業の店としてスタートした。当時は美少女フィギュアの一大ブームが巻き起こっていた時期で、マニア向けのショップだけでなく、一般的なショッピングモールなどでもフィギュアを取り扱い始めていた。
当然ながらショップ間の競争は激しく、差別化を図るのも難しい。そこでホビーストックが店の“売り”として考えたのが、ショップオリジナルの美少女フィギュアだった。
「オープンしたころは、まだオリジナルの商品を売る店というのは少なかったんです。どこの店でも買えるようなものばかりを扱っても既存のショップにはかなわないということで、その店でしか買えない商品を用意することで、お客さまを呼び込む起爆剤にしようと思いました。」(部長Kさん)
最初に作ったオリジナル商品は、「つよきす」というゲームソフトのキャラクター、「鉄乙女」のフィギュアだった。テレビアニメにもなった人気作品で、いわゆる“ツンデレ”キャラだ。
「当時は“ツンデレ”という言葉がちょうど流行り始めたころでした。『つよきす』はツンデレの女の子ばかり出てくる作品で、その後もこの作品のフィギュアをリリースしたので、ツンデレばかりのラインナップになってしまいました(笑)。」
「フィギュアの製品化にあたっては、とにかく質のいいものを心がけています。質がよくないとやはりお客さまは納得しませんからね。フィギュアの“質”というのは、原型がきちんとしていることはもちろんですが、塗装のグラデーションなど、量産する際のクオリティも問われます。弊社のフィギュアもそのあたりをしっかり押さえていたので人気が出たのだと思います。」(部長Kさん)
オリジナルフィギュアの数々 |
■ブログ上で表情パーツの投票イベントを開催
現在もオリジナルのフィギュアは数多くリリースしている。最近ヒットしたフィギュアといえば、「ゼロの使い魔」という作品のメインヒロイン、ルイズのフィギュア。ライトノベルをもとにマンガやアニメ、ゲームへと展開していった人気作品だ。
ホビーストックがリリースしたルイズは、「ねんどろいど」というシリーズのフィギュアだ。「ねんどろいど」は2.5頭身くらいにデフォルメされたデザインが特長で、手足を動かせることに加えて、顔の表情の付け替えも可能となっている。オープンアーキテクチャーとなっていて、さまざまなメーカーがいろいろなキャラクターの「ねんどろいど」を発売している。
「『ねんどろいど ルイズ』は今年の4月に発売されました。事前の予約もかなりの数に上りましたし、予想外の売れ行きでしたね。『ねんどろいど』を出しているメーカーはいくつかありますが、その中でも売れた商品ではないかと思います。」(部長Kさん)
「実は『ねんどろいど ルイズ』をリリースするにあたって、ブログでちょっとした企画を開催したんです。『ねんどろいど』は表情のパーツを変えられるのですが、ブログ上でユーザーさんにほしい表情の投票を募ったんです。そうして、もっとも投票の多かった顔のパーツを商品化しました。これは今までありそうで意外となかった企画だと思いますし、ユーザーさんからの反響も大きかったです。」(メカシマゾウさん)
ホビーストックでは、以前からショップサイトやブログで吸い上げたユーザーからの声を商品作りやWebサイトの機能改善などに反映していた。しかし、ブログで投票を募り、それを直接商品化に結びつけるという試みは初めてだったという。このようなユニークな企画を実現できるのも、オリジナルのフィギュアを開発できるホビーストックならではだ。
『ねんどろいど ルイズ』の販売ページ | 『ねんどろいど ルイズ』のフィギュア |
■海洋堂と協力してクオリティの高いフィギュアを
もちろんフィギュアはオリジナルだけでなく、さまざまなメーカーの幅広い商品を扱っている。美少女フィギュアだけでなく、ヒーロー系のフィギュアの品揃えも充実している。注目は、ホビーストック自らがディストリビューターとなって卸売りをしている海洋堂のフィギュアだ。
中でもイチオシなのが、昨年の9月に発売された「リボルテック 北斗の拳REVOLUTION」シリーズ。あの「北斗の拳」のキャラクターを再現したアクションフィギュアで、可動部分が多くて楽しく遊べるシリーズである。フィギュアとしては価格も安く、いつでも手に入れやすいのがウリだ。
「『北斗の拳』はぼくらの世代だとみんな知っているマンガなので、人気は高いですね。『北斗の拳』のフィギュアはこれまでも発売されていますが、従来のものより可動部分が多いのが魅力です。美少女フィギュアのように、売り切れて無くなったりしないのもいいですね。」
「基本的には、海洋堂さんが製作したものを弊社が販売するという形でやっていますが、当然、『こうしてほしい』というような提案もしています。お客さまからの声を海洋堂さんにフィードバックすることもありますし、作ってほしいキャラクターの要望なども出しています。『北斗の拳』についても、製作にまったく関わっていないわけではなくて、第2シーズン以降はラインナップなどの面で弊社の意見も反映されています。」(部長Kさん)
「北斗の拳」のほかにも、人気のゲームブック作品「クイーンズブレイド」のフィギュア「リボルテック クイーンズブレイド」も人気だ。美少女同士が格闘するという設定の「クイーンズブレイド」をフィギュア化する上で、可動部分の多いリボルテックはうってつけだ。こちらも発売以来、好調な売れ行きを見せている。このほか、「涼宮ハルヒの憂鬱」のキャラクターを立体化した「フロイラインリボルテック」などのシリーズなども人気を集めている。
「北斗の拳REVOLUTION」シリーズ | 「リボルテック クイーンズブレイド」シリーズ |
■効率のよい運営を追求
また、海洋堂に所属する原型師として有名なボーメ氏の作品「鬼娘」シリーズも扱っている。現在、人気なのは、ボーメ氏のアーティストデビュー10周年を記念してリリースされた作品「鬼娘/好実昭博作画バージョン」だ。
50cmを超えるこの巨大なフィギュアは、特別映像DVDや直筆サイン入りカタログを同梱したり、箱から出さない状態でもディスプレイ可能なパッケージにしたりと、さまざまなこだわりが込められた力作である。ホビーストックのWebサイトでは、この商品の特設サイトを設けて、その魅力をアピールしている。
最近、映画が公開されて話題を呼んでいる「カムイ外伝」のフィギュアも、9月中旬に発売されて人気を呼んでいる。これは別の形で商品化されていたものを、新たな彩色と調整を施して発売したものだ。このように新しいフィギュアは、次から次へと登場している。
これらのフィギュアの販売ページでとくに注目したいのは、掲載されている写真だ。通販サイトでフィギュアを紹介する上で、細部を撮影した写真を掲載するのは定番だが、ホビーストックに掲載されている写真はとにかく点数が多い。正面写真だけでなく、斜めや横、背面のディテールも丁寧に撮り下ろしている。
「写真はスタッフが撮影しています。掲載点数が多くて『サイトが重い』といわれることもありますが、商品の良さを伝えるためには、ある程度の点数を用意しないと良さが伝わりません。」(部長Kさん)
「フィギュアやグッズは、とにかく扱う商品の点数が多いですが、弊社はWebへの掲載作業などをシステム化して、できるだけ効率よく運営するように心がけています。」(メカシマゾウさん)
このようなホビーストックの運営方針は、ユーザーにはどのようなメリットをもたらしているのだろうか。後編では、ホビーストックの通販サイトの機能面で優れている点や、フィギュア以外の商品などについて紹介しよう。
「鬼娘/好実昭博作画バージョン」 |