エンジニア御用達のケーブル専門ショップ
「ケーブルダイレクト」(前編)


 今回紹介するのは、ケーブル専門の通販サイト「ケーブルダイレクト」。USBケーブルやLANケーブル、AVケーブル、D-Subケーブルなど、さまざまなケーブルを取り揃えているこの店は、数多くのエンジニアや工務店、住設会社などに支持されているほか、ケーブルにこだわる個人ユーザーからも人気だ。

 特注ケーブルの製作や無料貸出サービスなども充実した「ケーブルダイレクト」の魅力について、運営会社であるネットメカニズムの代表取締役社長、田中一宏さんにお話をうかがった。

ケーブルをメインに扱う専門ショップ

ケーブルダイレクト
http://www.cabling-ol.net/cabledirect/

 トップページにアクセスすると、目に飛び込んでくるのは数多くの種類のケーブル。USBケーブルやIEEE 1394ケーブル、LANケーブル、RS-232Cケーブル、ディスプレイケーブルなどのPC関連ケーブルのほか、デジタル映像ケーブルやビデオケーブル、オーディオケーブルなどのAV関連ケーブルなど、幅広い商品を用意しているのが、ケーブル専門の通販サイト「ケーブルダイレクト」だ。

 ほかにも電源ケーブルやアンテナケーブル、防犯カメラ用ケーブルといった宅内配線用のケーブルも豊富に揃う。また、BNCやSMAなどの同軸ケーブル、D-Subケーブルやセントロニクスケーブル、MILソケットケーブルなど、業務用に使われるケーブルも充実している。

 ケーブルの通販というと、PCや家電のショップがメイン商品のついでに扱っているというケースが多いが、「ケーブルダイレクト」のようにケーブルをメインの商品として位置付けている店は珍しい。

 専門店だからこそ種類も在庫も豊富で、店ではあまり見かけないような特殊な長さのケーブルも手に入る。サイトデザインは派手ではないが、「通信規格別」「パソコン&AV機器別」「コネクタ別」と整理されていてとてもわかりやすい。

 商品解説も、とても丁寧だ。たとえば「超極細・コンパクト・柔軟 USB2.0ケーブル」という商品では、「直径Φ2.6mmの極細ケーブルを使用した柔軟性のあるUSBケーブルです(従来品はΦ4.8mm)」と商品の特徴を詳しく説明。その上で、図面やコネクタ部図、出荷検査、寸法公差、RoHS適合書などさまざまなデータをPDFで提供している。

海外の契約工場でオリジナルケーブルを製作

「ケーブルダイレクト」を運営する株式会社ネットメカニズム 代表取締役社長の田中一宏さん

 このような詳しい図面まで見られるようにしているのは、エンジニアの顧客が多いからだ。

 「エンジニアさんが詳細を確認できる図面とか、設計に使われる資料等はできるだけ掲載するようにしています。ただ、個人の方でも購入されている方はいらっしゃいます。個人で技術的な仕事をしている方や、家庭で使用する人など、いろいろな方がいますね。」(田中さん)

 田中さんがケーブル専門の通販を始めたのは、2004年10月のこと。最初はカタログ販売で提供していたが、翌2005年7月にはインターネット上で「ケーブルダイレクト」をオープンした。オンラインショップを開いてからはすぐにWebからの注文が多くなり、ほどなくしてカタログ販売はやめてインターネット通販だけの提供となった。以降、「ケーブルダイレクト」は今日までエンジニアや住設会社、個人など幅広い客層から支持されてきた。

 ケーブルという差別化を図りにくい商品にもかかわらず、この店が人気を集めているのは、幅広い品揃えや詳しい商品解説だけでなく、ケーブルの特注を請け負っているという点も大きい。

 「海外に弊社専用で契約している工場があり、そこでオリジナルケーブルを作っています。お客さまの要求する仕様に合わせて図面を作り、その図面で承認いただいてから製作に入るという流れでやっておりますので、既製品では満足できない方はぜひ利用していただきたいと思います。」

 「海外の場合は、大量に注文しないと作ってもらえないところが多いのですが、弊社の場合はケーブル1本からでも受け付けています。特注ケーブルは、既製品にはない長さを注文される方が多いですね。あとは結線の組み合わせが違うものなどにも対応しています。」(田中さん)

特注ケーブルの製作の流れUSBケーブルの図面

特注品は長尺のAVケーブルが人気

 顧客にエンジニアが多いので、特注品というと工業用のD-Subケーブルが多いのかと思いきや、最近の人気はAV関連のケーブルだそうだ。

 「工業用途で使うD-Subケーブルの場合は、特注対応する会社が日本国内にけっこうありますが、AV関連のケーブルで特注に対応するところというのはあまりないんですよ。最近はHDMIケーブルを特注で作ってほしいという依頼が多いですね。既製品にはないようなかなり長尺のケーブルを作ってほしいという依頼があります。」

 「AVのケーブルで長いものを作ったりすると、映像が劣化したりする場合もありますので、エクステンダー(映像信号の延長器)なども扱っています。また、たとえばPCの出力映像をテレビで見たい場合、信号を変換する必要があるので、そのコンバータなども扱っています。」(田中さん)

 ほかにも映像信号の分配器や切替器などケーブル関連の周辺機器も取り揃えている。AVケーブルのほかにも、USBやIEEE 1394用のエクステンダーやリピーター、USBをシリアルに変換する装置なども販売している。ケーブルだけでなく、ケーブルを扱う上で必要な機器もまとめて手に入るのがこのサイトの魅力だ。

 さらに商品の無料貸出も行っており、機器同士の相性を調べてから購入を決められるので便利だ。残念ながらケーブルの特注や無料貸出は法人向けだけのサービスで、個人は利用できない。ただ、既製品の品揃えについても他店よりかなり充実しているので、個人の場合はその中から選択すれば十分だともいえる。

HDMIケーブルも豊富にそろう無料貸出の案内

顧客からの問い合わせには迅速に対応

 トップページ上部のメニューを見ると、「技術解説」というコーナーもある。ここにはさまざまなケーブルや映像信号、コネクタなどの技術資料が掲載されている。信号規格別のコーナーでは、コネクタの写真を見ながら、各ケーブルがどのような規格なのかを学べる。

 USBケーブルやLANケーブル、RS232Cケーブルなどの各種ケーブルについて詳しく説明した記事もPDFで配信している。ここを見れば、各ケーブルはどのような機器同士をつなぐために使うのかが詳しく書いてあり、ピンアサインなどの図も掲載している。ケーブルによっては、コネクタやプラグの寸法図まで載っている。各ケーブルの制御機器対応表なども載っているので、エンジニアなどは重宝するだろう。

 解説記事が充実しているだけでなく、電話やメールによるサポートにもきめ細かく対応している。

 「ケーブルはとにかく種類が多いので、それだけの量の商品知識を持っていないと、お客さまの問い合わせにはなかなかタイムリーに回答することができません。いちいち契約しているメーカーに技術的なことを問い合わせていたのでは間に合いませんからね。やはりお客さまは、できるだけ早く回答してほしいという方が多いので、とにかくすばやく正確な回答を心がけています。」

 「Webサイトを見ただけでは、そのようなサポートの違いなどはなかなか実感できないとは思いますが、弊社に一度問い合わせをしたり、注文したりしていただければ、質問への回答の早さや、納期の正確さなどは実感していただけると思います。そうしてリピーターになっていただいたお客さまも数多くいらっしゃいます。」(田中さん)

 最近は、在庫の管理や発送などをアウトソーシングする通販サイトも多いが、「ケーブルダイレクト」は在庫を手元に置くようにしている。商品について思わぬ質問が寄せられた場合に、実物が近くにあれば、すぐに調べられるからだ。たとえば「コネクタの細かい部分の寸法が知りたい」というリクエストが来たときも、すぐに対応できる。

 「お客さまのご都合に合わせてできるだけ短期間にオリジナルケーブルを作ったり、質問に対してすぐに回答したりといった体制をずっと続けてきたものですから、常連客の方などは、ケーブルでなにか困ったときには気軽に相談していただいてます。そういう意味ではご信頼をいただけているのではないかと思います。」(田中さん)

 幅広い品揃えと丁寧な商品解説、そして迅速なサポートと、ケーブル専門店ならではのサービスを提供している「ケーブルダイレクト」。後編では、このほかの取り組みや今後の方針について紹介しよう。

映像信号の解説LANケーブルの解説

(明日の後編につづく)


関連情報
2009/12/10 06:00  
碓氷 貫
フリーライター/編集者。Eコマースや地図サービス、データベース・コンテンツなど、Webサイトの価値を高めるさまざまなサービスをテーマに活動している。地図やハンディGPSを片手に街や山を徘徊する一方で、通販サイトでお買い得品をチェックすることにも余念がない。