ユニーク鉄道グッズ「トレインロールメモ」に注目!
「グッズステーションtraindo」(前編)


グッズステーションtraindo
http://traindo.com/

 今回ご紹介するのは、ジェイアール東海エージェンシーが運営する「グッズステーションtraindo(トレンド)」。

 インターネット通販専門の鉄道グッズショップとして、オリジナルグッズを含めたさまざまな商品を扱っている「グッズステーションtraindo」は、今年春に大きなサイトリニューアルを行った。コアなファンからライトなユーザーまで幅広くカバーする充実した品揃えの「グッズステーションtraindo」だが、その商品ラインナップの魅力はどんな点にあるのか。

 リニューアルの話も含めて、ジェイアール東海エージェンシーのライセンスビジネス部・プロデューサーの竹原大介さんに話をうかがった。

駅名表示板が描かれたユニークなメモ帳

 山手線の車両の絵が描かれた小さな四角い箱。電車の天井の絵が描かれたフタを開けると、中にはなにやらロール紙が入っている。ロール紙に描いてあるのは見慣れた駅名「池袋」という大きな文字。その下には白抜きで「目白」と「大塚」と左右に駅名が小さく書いてある。

 ロール紙を箱の横にある細いスリットにセットして、ロールを引き出していくと、「池袋」の次は「高田馬場」、「新宿」、「代々木」、「原宿」と、おなじみの駅名がどんどん出てくる。そう、この商品はなんと駅名表示板がデザインされたメモ帳なのだ。

 名付けて「トレインロールメモ」。山手線のほかに、京浜東北線や中央線、N700系新幹線、113系東海道線、E205系京葉線、E231系総武緩行線、0系新幹線とさまざまな種類があり、各路線の駅名表示板がデザインされている。駅名表示板は実際に撮影した写真をもとに忠実にデザインを起こしており、矢印の方向にもこだわったという。

 この商品は鉄道グッズ通販サイト「グッズステーションtraindo」で販売されているもので、運営元であるジェイアール東海エージェンシーの完全オリジナル商品だ

 「『トレインロールメモ』は最近では一番のヒット商品ですね。ロール式のメモ帳というのは昔からよくありましたが、駅名が書かれていて、しかもクルクルと出てくると、このような商品は珍しいのではないかと思います。バリエーションも多彩で、路線ごとにさまざまなデザインを楽しめます。」

 「鉄道グッズというと、コアなファンの方向けのものや、お子さまをターゲットにしたものになりがちですが、『トレインロールメモ』の場合は“おもしろ雑貨”というか、アイディアグッズのノリですね。こういうユニークな商品だと、女性の方にも『おもしろい!』と喜んでいただいたりと、幅広い層のお客さまに興味を持っていただけます。」(竹原さん)

トレインロールメモトレインロールメモは、山の手線、京浜東北線、中央線、新幹線などいろいろな路線をラインナップ

方向幕の小窓が付いたボールペンも人気

 「グッズステーションtraindo」はインターネット通販の専門店。運営会社のジェイアール東海エージェンシーは常設の実店舗は持たないのだが、不定期で「ecute品川」といったエキナカの商業施設で行われる催事に出店することがある。

 現在は、10月31日までJR大宮構内の「ecute大宮」および「DILA大宮」に期間限定で出店している。こうしたイベント出店は、通販専門の「グッズステーションtraindo」にとって、客の反応をじかに見られるチャンスだ。

 「『トレインロールメモ』のようなアイテムを実際に店頭で前面に並べると、かなり売れるんですよ。ふだんは鉄道にそれほど関心のなさそうな方が手に取って興味深そうに見たり、お子さまはお子さまで、『電車のメモ帳だ!』と驚いたりしますね。」

 「私どもが考えているのは、鉄道をテーマとしてどれだけおもしろい商品を作れるか、鉄道をおもしろくアピールするにはどうすればいいのか、ということなんです。コアな鉄道ファンの方に向けた商品も作ってはいますが、その一方で、東急ハンズさんやロフトさんなど、一般的な雑貨ショップに卸すことも多いので、『トレインロールメモ』のようなユニークな発想は大事にしたいですね。」(竹原さん)

 「トレインロールメモ」のようなアイディアグッズとしては、ほかに「方向幕ボールペン」という商品もある。これはボールペンの側面に電車の方向幕が書かれた小窓が付いていて、カチカチとノックすると方向幕の表示が回転するという商品だ。

 「ボールペンのデザインも、電車のデザインそのままではなく、たとえば東海道線だったらオレンジと緑という象徴的な色だけを使って、シンプルなデザインに仕上げています。これらの各色をペン立てに並べて置いても、鉄道ファンのペン立てには見えないと思いますよ。」(竹原さん)

 バリエーションは「トレインロールメモ」よりも豊富で、横須賀線や総武線、300系新幹線、N700系新幹線、湘南新宿ライン、北斗星、サンダーバード、副都心線、東海道線など、地下鉄から新幹線まで計15種類ものラインナップがそろっている。

方向幕ボールペン。カチカチとノックすると、ボールペン側面にある方向幕表示が回転する

子ども向けの定番商品にも妥協はなし

 このような“ひねり”の効いた商品のほかに、オーソドックスな鉄道グッズも出している。たとえばペンケースに消しゴムと鉛筆がセットになった「でんしゃ文具セット」は、ボックス型のペンケースに電車の絵がそのまま描かれた王道のデザインだ。

 「『でんしゃ文具セット』はお子さま向けの商品ではあるのですが、本当に鉄道が好きな大人の方にもぜひ買っていただきたいですね。あと、保護者の方がお子さまに買い与えやすい商品でもあります。鉄道グッズというのは基本的に、お子さまから高齢の方まで幅広い年代で話題を共有しやすいアイテムですからね。」(竹原さん)

 ただし、ベーシックな商品といえど、そこはさすがに“JR東海”の冠が付くだけのことはある。「でんしゃ文具セット」には、メインとなる大型のボックスペンケースに、持ち運びやすいフラットペンケースが付属しており、2つは面ファスナーで連結できる。面ファスナーを外して分離すると、ボックスペンケースの横に描かれた車体内部のデザインが見えるというこだわりようだ。もちろん品質においてもいっさい妥協はしていない。

 「子ども向けだから子どもっぽく、幼稚に作ればいいのかというとそうではなく、コアなファンの方が唸るようなアイテムを作りたいですね。品質についてもいっさい妥協しません。JR東海の冠を背負っている以上はまちがったものを作るわけにいきませんし、お客さまの目もそれだけ厳しいですしね。」

 「安全基準や制作基準は、工場の方が『そんなに厳しいのですか』と驚かれるくらい徹底しているつもりです。塗料の毒性とか、金属を使っていたら鉛が含まれていないかとか、そのあたりはすべて検査した上で世に送り出しています。もちろんその基準は海外の工場でも同じです。JR東海グループということで注目される立場だからこそ、信頼性の高い商品作りを心がけています。」(竹原さん)

でんしゃ文具セットボックスペンケースには車体内部のデザインが描かれている

広告代理店が作った鉄道グッズショップ

 JR東海グループの一員として、ジェイアール東海エージェンシーが誕生したのは1990年のこと。メイン事業は広告代理店業であり、JR東海グループの広告宣伝を中心にさまざまな展開を行っている。よく知られている「そうだ 京都、行こう。」というキャンペーンは、ジェイアール東海エージェンシーが手がけたコーディネート業務の代表例だ。

 広告代理店を本業とするジェイアール東海エージェンシーの中で、新幹線のデザインなど、鉄道関連の知的財産をビジネスモデルに活用することを研究するために発足したのが、竹原さんの所属するライセンスビジネス部だ。そして鉄道関連の知的財産活用の一環として、いつしか自前でオリジナルグッズを生み出すことになった。

 「新幹線や駅の看板など、親会社であるJR東海が持っている“資産”を、もっといろいろと世の中に知らしめていきたいということで、オリジナル商品を作ろうということになったのです。鉄道グッズが好きな方というのは、やはりお子さまが多いのですが、そういう方にきちんと発信していこうということですね。」

 「ただし私どもはあくまでも広告代理店ですから、自前の売り場などは持っていません。だから当初はグループ会社である東海キヨスクや、新幹線の車内販売の会社などに売っていただいていたのですが、オリジナル商品のラインナップも続々と増えていったので、それならショップ運営をやってみようと立ち上げたのが『traindo』の始まりです。」(竹原さん)

 そうしてインターネット通販サイト「グッズステーションtraindo」がオープンしたのが6年前だ。今ではインターネットに不慣れな人も利用できるように、紙のカタログを取り寄せてオーダーすることも可能になっているが、もともとはインターネットだけの店だった。

 「自社で店を持とうとした場合に、インターネットなら手軽に店を立ち上げられるというのもありましたし、ちょうどインターネット通販が普及してきた時代でもあったので、そこにビジネスとして参入できるかということも含めて検証してみようということになりました。」(竹原さん)

 このような経緯でスタートした「グッズステーションtraindo」だが、そこで販売しているものはすべて自社商品というわけではなく、さまざまな会社のグッズを幅広く取り扱っている。後編では、このほかに扱っている商品や、今年春に行ったサイトのリニューアルなどについて紹介しよう。

カタログのPDFファイルもダウンロード可能だ

関連情報
2009/10/15 11:00  
碓氷 貫
フリーライター/編集者。Eコマースや地図サービス、データベース・コンテンツなど、Webサイトの価値を高めるさまざまなサービスをテーマに活動している。地図やハンディGPSを片手に街や山を徘徊する一方で、通販サイトでお買い得品をチェックすることにも余念がない。