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第366回:下り最大200Mbpsの実力は?
NTT東日本の「フレッツ 光ネクスト」ハイスピードタイプを試す


 NTT東日本が下り速度を従来の最大100Mbpsから最大200Mbpsへと高速化させた、「フレッツ 光ネクスト ファミリー・ハイスピードタイプ」の提供を10月に開始した。既存の「フレッツ 光ネクスト」から移行してみたので、その使い心地を紹介しよう。

ケーブルテレビ対抗か

筆者宅で利用しているONU+ルータの「PR-S300SE」。ハイスピードタイプへの移行でも機器交換や設定変更は必要なく、そのまま利用できた

 最大1GbpsのKDDI「ひかりone」、最大160Mbpsのケーブルテレビと、これまでライバルに差を付けられていたNTT東日本のFTTHサービス。今回、次世代ネットワーク(NGN)を利用した光ファイバー接続サービス「フレッツ 光ネクスト」で、下り最大200Mbps、上り最大100Mbpsという高速タイプの新メニューとして、戸建て向けの「ファミリー・ハイスピードタイプ」と、集合住宅向けの「マンション・ハイスピードタイプ」が追加された。

 総務省が9月に発表したデータによると、ブロードバンドサービス全体の契約数は約3090万件。このうち、FTTHは約1589万件と半数を超えており、順調に普及していると考えてよさそうだ。とは言え、2008年にFTTHとADSLの契約数が逆転して以降の伸びは鈍化してきている。内訳をよく見てみると約1084万件のADSLは年々減少しつつあるが、ケーブルテレビは418万件と微増が続いており、FTTHの1人勝ちとはなっていないことが原因だろう。

 これまでのNTT東日本のFTTHサービスの最大速度は100Mbps。これに対して、ジュピターテレコム(J:COM)などの一部ケーブルテレビ事業者は、下り最大160Mbpsという速度で対抗していた。わずかな差でしかないのだが、実際の販売の現場を考えた場合、NGNや品質をうたっても、それが顧客に伝わりにくく、純粋に速度と価格で比較されてしまうこともある。

 今回の下り最大200Mbpsという速度は、このような状況を打開するための方策とも考えられる。ユーザーからの要望に応えて、より高速な回線を提供するという技術的な意味合いに加え、400万のケーブルテレビのシェアを奪いに行くというマーケティング的な意味合いから生まれたサービスと言えるかもしれない。

従来プランと同一価格で提供

 インターネットの通信速度に関して言えば、むしろ、周辺の利用状況やプロバイダーの帯域制限、接続先のサーバーのキャパシティなどが問題になることの方が多く、回線自体の速度に不満を持つことは実はあまりない状況にある。

 とは言え、今回の「ハイスピードタイプ」は、月額料金は従来プランと同額(「ファミリー・ハイスピードタイプ」の場合で月額4305円)となっており、サービスメニューとしての魅力は確かに高い。

 仕組み自体も従来プランから変わっておらず、NTT東日本の局舎側からの1Gbpsの光ファイバー回線を最大32分岐して、サービスが提供される。また、宅内に設置する機器に関しても、従来と同じものを利用するなど、単純に上限速度の数値を最大200Mbpsにしただけで、サービスとして大きな設備投資がなされているわけではない。

 このため、金額としては妥当とも言えるが、ケーブルテレビ事業者が提供する160Mbpsサービスとの競争力は十分で、ユーザーとしても「ハイスピードタイプ」を選びやすいだろう。


既存の機器をそのまま利用でき、設定変更も不要。ONUとの接続速度はもともと1Gbpsだったので、ルータの画面を見ても、200Mbpsであることは一切わからない

 なお、すでに100Mbps版の「フレッツ 光ネクスト」を利用している場合、仕組みが同じことからメニューの切り替えも簡単に可能だ。筆者宅もそうだったのだが、電話で切り替えたい旨を伝えれば、4〜5日後に局舎側でのみ工事が発生し、すぐに回線が切り替わる。価格も回線切り替え費用の2100円が発生するだけだ。

 宅内工事については不要で、利用しているONU(回線終端装置)やルータも基本的にそのまま利用できた。筆者は、「ひかり電話」や「フレッツ・テレビ」を併用していることから、「PR-S300SE」というONUが一体している黒色の機器を利用しているが、今回の回線切り替えに際しては、機器の交換や設定変更などは一切必要なく、そのまま利用することができた。つまり、従来プランから切り替えの場合、申し込むと、いつのまにか200Mbpsに変わってるという印象だ。

実効で下り180Mbpsをマーク

 それでは、気になる速度を計測してみよう。筆者宅で従来利用していた「フレッツ 光ネクスト ファミリータイプ」の場合、計測するPCやタイミングにもよるが、概ね上下70Mbps程度の速度で通信ができていた。「ハイスピードタイプ」では上りは最大100Mbpsと変わらないため、下りの最大200Mbps化がどこまで影響するのかが楽しみなところだ。

 まずは、定番の「speed.rbbtoday.com」で計測してみた。100Mbps以上の速度は通常サービスでは計測できないため、100Mbps以上の回線を計測するベータ版の「GIGA SPEED」を利用したところ、以下のように下り144.46Mbpsをマークした。確かに200Mbpsの効果はあるようだ。


「speed.rbbtoday.com」を利用した計測。下りは144Mbpsと100Mbpsオーバーを達成。なぜか上りも100Mbpsを越えてしまった。なお、以下のすべてのテストはAthlon II X4 605e/RAM4GB/HDD1.5TB/Windows 7搭載PCを利用

 ただし、最高速度が100Mbpsであるはずの上り速度も100Mbpsを超えてしまったため、別の方法でも計測してみることにした。「Radish Network Speed Testing」では、ベータ版ながらマルチセッションを利用した計測が可能なサービスが提供されているので、これでチェックしてみたところ、下り181.0Mbps、上り94.24Mbpsとなった。


「Radish Network Speed Testing」での計測。180Mbpsを越えたが、下りの測定状況を見ると速度はまちまちで安定感に欠ける印象はある

 計測時に利用されたセッション数は2とさほど多くなく(1〜16で自動設定)、下りの測定結果を見ても、今回計測した範囲では速度がまばらで安定感は今ひとつといった印象だ。同様に、シングルセッションの通常版で計測してみたのが以下の画面だ。こちらは下りが166Mbpsとなった。


シングルセッションでの計測

 今回のテストではプロバイダーにぷららを利用しており、ぷららが提供している速度測定サービスでも計測を試みた。こちらは100Mbps以上の速度も計測できるようで、ぷららのバックボーンまでは111Mbpsで通信することができた。

 これらの結果を見ると、確かに200Mbps化の恩恵は出ていると言える。この速度であれば、確かに100Mbpsのサービスと比較した場合のアドバンテージはあると言えそうだ。複数台のPCで同時通信した場合でも、速度が低下しにくいと考えられるので、既存サービスからの移行も十分検討する価値があるだろう。


ぷららでの測定結果。バックボーンまでは111Mbpsで通信できている

1Gbpsサービスと比べると不利

「ひかりone」の「speed.rbbtoday.com」での計測

 このように、「フレッツ光 ネクスト ファミリー・ハイスピードタイプ」は、従来の100Mbpsと比べてアドバンテージがあり、ケーブルテレビの160Mbpsサービスとも互角以上に戦えるサービスとなっているが、さらに上のサービスと比べてしまうと、やはり見劣りしてしまう。

 KDDIの1Gbpsサービス「ひかりone」で、同様に「speed.rbbtoday.com」と「Radish Network Speed Testing」マルチセッション版のテストを実施してみたところ、以下のような結果となった。

 「speed.rbbtoday.com」では下り349Mbps/上り411Mbps、「Radish Network Speed Testing」マルチセッション版では下り685Mbps/上り609Mbps(下りは5セッション利用)という速度を計測できた。Radish Network Speed Testingでの測定状況を見ても、安定感は良い。


「ひかりone」の「Radish Network Speed Testing」マルチセッション版での計測

「フレッツ光 ネクスト ファミリー・ハイスピードタイプ」と「ひかりone」の速度測定結果比較

 実際に使い比べて見ても、「ひかりone」の方が反応が良く、さらにファイルのダウンロードなども短時間で終了する。例えば、FireFoxで「DownThem All」というアドインを利用し、Windows 7のVHD評価版をダウンロードした。

 「ハイスピードタイプ」での計測後に「ひかりone」で計測を開始したため、まったく同じタイミングにダウンロードしたわけではないが、やはり回線速度自体が速い「ひかりone」の方が同じファイルを半分の時間でダウンロードすることができた。


FireFoxのアドインを利用し、700MB、700MB、411MBの3つのファイルを複数セッションを利用してダウンロード。(左から)「ハイスピードタイプ」と「ひかりone」での画面

Windows 7 VHD評価版(700MB+700MB+411MB)のダウンロードにかかった時間の比較。ほぼ半分の時間でダウンロードが完了する

 確かに200Mbpsの「フレッツ光 ネクスト ファミリー・ハイスピードタイプ」は高速だが、1Gbpsのサービスと比べてしまうと見劣りしてしまう。このため、これから新たにFTTHを導入する場合、「ひかりTV」をはじめとした「フレッツ光」ならではのサービスを利用したいのであれば、「フレッツ光 ネクスト ファミリー・ハイスピードタイプ」を選ぶメリットがあるが、純粋に速度のみを考慮するなら1Gbpsのサービスの利用を検討したいところだ。

[お詫びと訂正]
 初出時、「グラフ2:ダウンロード時間比較」で、「ひかりone(1Gbps)」と「フレッツ(200Mbps)」のグラフが逆になっておりました。お詫びして訂正いたします。

ボトルネックは別にあり

 以上、久しぶりに回線の話題に触れたが、下り速度が200Mbps化された「フレッツ光 ネクスト ファミリー・ハイスピードタイプ」は、従来の100Mbpsサービスやケーブルテレビのサービスなどと比べた場合、速度的にも価格的にも十分に魅力のあるサービスと言える。

 とは言え、今回のテストでは回線速度のアドバンテージが良く出た結果となったが、もはやインターネット接続時のボトルネックは、回線に依存しない影響の方が大きい場合もある。特に、近隣にヘビーユーザーが存在したり、プロバイダーの帯域制限にひっかかったり、そもそも接続先が混雑していてつながりにくい場合、いくら回線速度が高くても意味がないこともある。

 「フレッツ光 ネクスト」に新規加入する場合は、迷うことなく「ハイスピードタイプ」を選びたいが、従来プランからの移行となると若干ながら手数料もかかるので、そのコストとメリットを慎重に検討すべきだろう。


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2009/11/10 06:00  

清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 7」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ

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