米Googleが次世代通信プラットフォーム「Google Wave」発表


 米Googleは28日、現在開催されている「Google I/O」カンファレンスにおいて、新サービス「Google Wave」のデモを公開した。同社では「Google Wave」を次世代通信ツールと位置付けており、プロトコルやAPI、一部ソースコードなどを公開している。

異なるコミュニケーション手段が1つの画面上に

Google公式ブログで公開されたスクリーンショット

 公開されたスクリーンショットでは、1つの画面上で、リッチフォーマットのテキスト、写真、動画、地図をブラウザの中の複数のペインにまとめた様子が見られる。

 これまでインターネット上ではさまざまなコミュニケーション手段が用いられてきた。メール、インスタントメッセンジャー、ブログ、Wikiなどであり、用途に応じてこれらを使い分ける状況が続いている。

 「Google Wave」はこれらが混在している状況を改善し、異なるタイプのコミュニケーションモデルをほとんど連続的に1つのシステム上で扱うことはできないだろうかという考えから生まれた。

 そのため「Google Wave」では、ほぼリアルタイムにコミュニケーションがとれるよう、さまざまな工夫が凝らされている。例えば、インスタントメッセージなどでは、相手がタイプし終わるまで待ち、次いで自分がタイプするという作業を繰り返すが、「Google Wave」では実際に喫茶店で会話しているかのように相手が話し終えるのを待つ必要を感じさせない「リアルタイムさ」を目指している。リアルタイムにリッチテキストを入力し、画像や動画をアップしながら議論し、それらの会話を“録音”して後で再生することも可能だ。そして、それを実現するための複雑なクライアント/サーバーモデルを考案している。

 さらに自然言語処理技術を高度に使用することによって、リアルタイムのスペルチェックを行い、タイピング速度を向上できる機能が盛り込まれる。これもまたリアルタイムで会話を行うための工夫だという。

開発者向けに情報の提供を開始

「Google Code」に「Google Wave API」のページが用意されている

 「Google Wave」は、さまざまWebサービスとも連携できる。例えば、Twitter APIを利用することによって、最新のTwitterの会話を「Google Wave」のペインに表示し、そこにリプライすると自動的にTwitterに反映されるといったことが可能だ。APIを利用することによって、Twitterに限らずあらゆるフィードを「Google Wave」の中に取り込むことができる。

 また、メールのプロトコルが公開されているのと同じように、誰でも「Google Wave」サーバーを立ち上げることが可能だ。企業などでは社内サーバーを立ち上げることにより、社内ネットワークの外に情報を漏らすことなく「Google Wave」を利用できる。

 「Google Wave」は3つの部分に分かれている。「Google Waveプロトコル」、APIの集合体である「Google Waveプラットフォーム」、リッチテキストエディタやデスクトップからのドラッグ&ドロップを実現する「Google Wave Webアプリケーション」の3つだ。

 Googleでは開発者向けブログで情報の提供を開始した。現時点で「Google Wave」の一般公開がいつ頃になるかは明らかになっていないが、「Google Wave」のWebサイトにサインアップすることにより、最新情報を受け取ることができるようになっている。

 「Google Wave」は、Google Mapsのプロトタイプ開発者が始めたプロジェクトで、Googleのシドニーオフィスを中心に開発が進められてきたという。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)
2009/5/29 13:18