リアル農園とバーチャル農園の融合、「BIGLOBEファーム」開始
NECビッグローブの飯塚久夫代表取締役執行役員社長(左)と、株式会社マイファームの西辻一真代表取締役(右) |
NECビッグローブは6日、レンタル農園サービス「BIGLOBEファーム」の先行予約受け付けを開始した。開園は2010年2月を予定する。
料金は、1区画7.5平方メートルが月額3980円、2区画15平方メートルが月額6480円。このほか、初期登録料金が1万500円で、2年目以降は更新料が年額1万500円。契約期間は基本1年で、その後は自動継続となる。
「BIGLOBEファーム」では、開園当初、埼玉県久喜市にある農園を用意する。月額料金には、畑のレンタル代をはじめ、農具の利用、インストラクターによる指導、農園管理人による週3回の水遣りや草むしりが含まれる。種と肥料は別料金。農薬の利用は禁止する。
農園詳細 | サービス概要 |
開園当初に販売する種は、大根、ほうれん草、ルッコラの3種類で、価格は各315円。収穫時期は、野菜の種類や天候にもよるが、最短で2カ月以内。なお、販売する種は、季節に応じて変わる。収穫した野菜は、ユーザーへ発送(着払い)することも可能だ。
また、Webサービスとして、インストラクターや農園管理人、ユーザー同士でコミュニケーションが図れるSNS「iplant」を用意する。農園で栽培する野菜などの種や肥料、ガーデニング用品なども購入可能。さらに、畑の様子をPC上で確認できる「農園ライブカメラ」も提供する。
販売する種 | 開園までのスケジュール |
「iplant」にはバーチャル農園があり、「BIGLOBEファーム」で栽培中の野菜と連動できる。種の袋には、野菜の種類を示すIDが記載されており、それをバーチャル農園で設定する。その後、「BIGLOBEファーム」のライブカメラや管理人からの報告をもとに野菜をユーザーが操作していくことで、実際の野菜の発育と同期させる仕組みだ。
「農園ライブカメラ」は2つ設置してあり、Webブラウザ上でどちらかを選んで、操作・視聴できる。携帯電話にも対応。光学40倍ズームを備え、自分の区画の野菜まで拡大して確認できる。カメラの台数は、ユーザーからの要望が多ければ増やしていくという。なお、カメラの設置位置は、近隣の民家が見えないように考慮している。
埼玉県久喜市の農園は300区画3000平方メートルあり、1人何区画でも借りられる。レンタルは先着順。用意した区画が埋まれば利用できない。ユーザーについては、「埼玉県久喜市の農園まで、自動車で1時間圏内に住んでいることが望ましい」と説明したが、農園に通うことが難しい場合は、「最低限、種まきと収穫のみ参加し、後は管理人に任せることも可能」とした。
iplant | ライブカメラ |
iplantのバーチャル農園「ファーム」 |
■日本の食糧自給率1%アップに貢献
6日に行われた記者発表会で、NECビッグローブの飯塚久夫代表取締役執行役員社長は、「ネット&リアルの融合」を推進しており、継続性のある領域にフォーカスしたサービスを提供していると説明した。
「環境関連では、『家庭内CO2見える化サービス』『検索回数に応じた植林サービス』、健康関連では、『ケータイ健康ウォークラリー』を提供している。今回は農業に着目。農業にネットを加え、新たなビジネスを創造する」。
農業に着目した理由については、食に対する意識の変化や、家庭菜園ブーム、レンタル農園の急拡大などを説明。そこで今回は、レンタル農園事業を展開する株式会社マイファームと提携し、「BIGLOBEファーム」を開始するに至った。3年後に10億円の売り上げ見込む。
株式会社マイファームの西辻一真代表取締役は、事業内容を説明した。高齢化などで手入れされなくなった畑「耕作放棄地」が増え続けており、それを生かした「体験農園(レンタル農園)」を考案。ユーザーは30~40歳の家族連れが中心という。
体験農園では、インストラクターから栽培方法を教えてもらったり、農園管理人による日頃の手入れまでサポートしているところが特徴という。また、収穫時には地元の人たちも招いてイベントを行ったり、農業を通じた婚活企画も行っている。
体験農園の課題として、「ユーザーは趣味や教育目的なので、飽きさせないことが重要になる。また、労働集約的な部分を軽減していくことも必要」と説明。それらの解決策として、ITの活用を考えていたところ、NECビッグローブから今回の話があったという。「『mixi』でもバーチャル農園が流行っているが、『BIGLOBEファーム』によって、ゲーム感覚でリアル農業が楽しめる」(西辻氏)。
マイファームでは、今後3年で300カ所の農園を開き、10万人の参加者を見込む。「300農園のうち2~3割は『BIGLOBEファーム』になる」とのこと。現在は関東圏の農園が多いが、関西や東海での開園も検討中。将来的には、農業の技術を伝えるスクールを開校し、農業を仕事にする人の育成も図りたい考え。「5年後には1000農園まで増やし、日本の食糧自給率1%アップに貢献したい」と語った。
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