外部ディスプレイも接続できるUSBサブディスプレイ

センチュリー「LCD-8000UD」


 センチュリーの「plus oneシリーズ」の新製品「LCD-8000UD」は、800×600ドットの解像度を持ったUSB接続のサブディスプレイだ。

 従来モデルの「LCD-8000U」は、他社の競合製品の中で優位性を持っていた点として、縦方向の解像度があげられる。他社製品の多くが800×480ドットであったの対し、「LCD-8000U」は800×600ドット(SVGA)の表示が可能だからだ。

 今回取り上げる「LCD-8000UD」は、この解像度面での優位性に加え、外部出力用のDVI-D端子を搭載。さらに画面の自動回転機能をサポートするなど、ハードとソフトの両面で従来モデルから大幅な機能強化を図った意欲作だ。早速、その詳細を見ていくことにしよう。


LCD-8000UDの直販価格は1万5800円。対応OSはWindows Vista/XP SP2以降およびMac OS X 10.5.6/10.4.11。本体カラーはブラックのみCD-ROMとのサイズ比較。ほぼA5サイズで重量は518g

フォトスタンドライクな外観。ドライバはCD-ROMにて供給

 LCD-8000UDの筐体はフォトスタンドライクなデザインで、本体の傾きは背面のチルトスタンドで調整する。角度調整は横置きで3段階、縦置きは1段階のみの固定となる。詳しくは後述するが、縦と横の設置方向を変える場合、チルトスタンドをいったん抜いて再度差し込む必要がある。

 画面解像度は前述の通り800×600ドットで、SVGA表示に対応している。サイズで言うと8型で、他社の7型ワイドに比べて大きい。本体サイズは210×32×151.5mm(幅×奥行×高)で、ほぼA5サイズ。重量は518gだ。


チルトスタンドは他社製品に比べるとやや調節しにくい横向きに設置した場合は、傾きは3段階で調整できるチルトスタンドは本体内に完全に格納できるので、持ち運びの際もかさばらない

 従来モデルで3段階だった輝度調整は、大幅に増えて10段階の調整が可能になった。ロータリースイッチというやや無骨な切替方法だが、輝度が3段階しか変えられない従来モデルや他社製品はやや物足りない感があったので、今回の変更は率直に歓迎したい。

 ドライバに関しては、付属のCD-ROMに収録されている。バッファローやアイ・オー・データ機器の製品のように、本体内のROM領域にドライバを内蔵し、CD-ROM不要でインストールできる機能はなく、ネットブックのように光学ドライブを持たないPCで利用する場合はややハンデとなりそうだ。

 本製品ではまた、バッグに入れて持ち運ぶ際に画面を保護できるプラスチック製カバーが標準添付されるようになった。本製品を持ち運んで利用するユーザーにとっては大いにメリットがあるだろう。また、背面のチルトスタンドも本体内に収納できるので、持ち運び時にかさばらないのもメリットだ。


背面のスイッチはDVI-OFF-LCDの3段階。ちなみにOFFにするとPCからアンマウントされる輝度はロータリースイッチにより10段階で調整可能。輝度により消費電力が大きく異なるので、バスパワー給電不足時は、輝度を調整すると良いだろう持ち運びの際に画面を保護するはめこみ式の専用カバーが付属

DVI-Dコネクタ搭載で外部ディスプレイへの出力が可能

 冒頭で触れたように、本製品にはこれまでなかった新機能がいくつか搭載されている。順に紹介していこう。

 まず、DVI-D端子搭載による外部出力機能。これは本製品に外付ディスプレイを接続して、PCとのマルチディスプレイを実現できるという機能だ。通常はUSBサブディスプレイとして利用し、大画面テレビのある会議室などでプレゼン用途で利用する場合は、このDVI-D端子を使って大画面テレビに出力することが考えられる。早い話、USB-DVI変換アダプタを使うのと同じことが本製品で実現できるわけだ。


DVI-D端子から外部ディスプレイに出力した状態。外部ディスプレイは1600×1200ドット(フルHDでは1920×1080ドット)まで対応する。メーカーサイトではVGAおよびHDMIでの表示も可能とされているが、特に変換アダプタやケーブルは付属しない

 8型ディスプレイの表示と外部ディスプレイ出力は排他利用となるので、外部ディスプレイ接続時は本製品側の8型ディスプレイ側はなにも表示されない。つまり、本製品を介して外部ディスプレイをセカンダリとして使うか、もしくは本製品をセカンダリとして使い外部ディスプレイは使用しないか、どちらかを選べるというわけだ。これらのモードは本体背面のスイッチで切り替える仕組みになっている。

待望の画面自動回転機能を搭載。完成度はいま一歩

 もう1つの機能は、画面の自動回転機能だ。これは、本体の置き方を変更した場合、画面の向きも自動追従して回転するというものだ。従来製品では、本体を縦向きにしても画面は横向きのままで、タスクトレイから表示方向を手動で調整してやる必要があった。しかし、本製品であれば本体の置き方にあわせて自動的に変更されるので、手動調整の必要がないというものだ。

 この機能、独自ユーティリティによって実現されているのだが、実際に使用した限りでは、挙動がいまいち不安定な印象を受けた。例えば800×600ドットの画面いっぱいに最大化していたウィンドウを回転させると、回転後のウィンドウは600×600ドットの正方形に縮小され、かつ画面中央に表示されてしまう。また、回転する際に画面が一瞬ブラックアウトし、プライマリ側のディスプレイ表示も乱れてしまった。


フォルダを画面いっぱいに最大化した状態で、画面自動回転機能を試したところ。横表示を縦表示にした時点で、800×600ドットに最大化されていたフォルダが600×600ドットの正方形に縮小される。さらに横表示に戻すと600×600ドットのまま左寄せで表示される

 iPhoneやiPod touchのように、最大化の状態を保持したままアニメーション効果でクルリと回転するのはさすがに難しいにせよ、プライマリ側のディスプレイまで表示が乱れてしまうのは気になった。説明書には「全画面表示をしない状態で向きを変更してください」と注意書きがあるのだが、むしろこの機能のメリットを否定しまいかねない。自動回転機能自体はユーザーが待ち望んでいたものだけに、今後のブラッシュアップに期待したい。

 また、前述したように本製品はその機構上、縦横の置き方を変更する際は背面のスタンドをいったん抜いて再度差し込む必要がある。このため、せっかく画面が自動回転しても、背面のスタンドを取り外してまた差し込む手間がかかるため、画面が自動的に回転してくれるメリットが薄れてしまう。

 例えば、アーム式を採用してワンタッチで回転できるバッファロー製品や、スタンド自体が90度回転するアイ・オー製品であれば大いに意味があっただろう。本製品に関しても、LCD-8000U用のホルダースタンドを用意すれば自動回転機能のメリットが出てくるかもしれないが、現時点では今後の課題と言えそうだ。


USBケーブルは、横置き時には左上、縦置き時には上から伸びる格好になる高さ調節機能はないので、キーボードの向こう側に置いた場合は下端が見えなくなるユーティリティはおなじみDisplayLink社製

USB-DVI変換アダプタ機能に魅力を感じるなら買い

 800×600ドットへの対応、またMacintoshをサポートする点など、USBサブディスプレイとしては高い優位性を持つ本製品だが、今回のバージョンアップについては主にビジネスユースを中心とした機能強化と言える。画面の自動回転機能は、その方向性は評価できるが、現状の完成度では少々厳しい感もある。

 従って、本製品をチョイスする動機は、USB-DVI変換アダプタとしての機能に魅力を感じるか、この1点に尽きると言える。この機能を活用できるのであれば、十分にメリットがある買い物になるだろう。それ以外の場合は、直販価格で1万5800円の本製品と、1万2800円の従来モデルとの価格差を考慮しながら、製品購入の検討をお勧めしたい。


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(山口 真弘)
2009/9/9 11:00