USB機器をつなぎ放題! 10ポート搭載のUSBハブ2製品


(写真上から)エレコムの「U2H-Z10Sシリーズ」と、サンワサプライの「400-HUB008」

 これまで2ポートもしくは4ポートがメインだったUSBハブ製品だが、ここ最近は7ポートや10ポートといった多ポートハブが相次いで登場している。いずれもUSB給電によるバスパワーと、ACアダプタなどを利用したセルフパワーの双方が利用でき、消費電力が大きいHDDの対応をアピールするなど、幅広い使い方を前提にしているのが特徴だ。

 こうした多ポートハブは、従来も品揃えの一環としてはラインナップされていたものの、USBハブとしては割高で容易に手が出せるものではなかった。例えば、16ポートを搭載したセンチュリーの「16ポート Hub名人(CHM-16P)」は、切り替え機能という付加価値はあるものの、メーカー直販価格は9800円であり、一般的なセルフパワーの4ポートUSBハブが2000円前後で入手できる点を考えると、やや割高な感は否めなかった。

 その点、昨今登場してきている7~10ポートの多ポートUSBハブは、多くの製品で実売価格が5000円を切っており、ポート単価という点でも普及品の4ポートハブに近づきつつある。今回はこうした多ポートハブの中から、最近になって発売された10ポートタイプの2製品を比較してみよう。

スリムデザイン&マグネット装備の「U2H-Z10Sシリーズ」

エレコムの「U2H-Z10Sシリーズ」。直販サイト価格は4998円だが、量販店では3000円台まで値下がりしている場合もある

 最初に紹介するのは、エレコムの「U2H-Z10Sシリーズ」だ。セルフパワーとバスパワーの両方に対応した10ポートのUSBハブで、本体色はシルバーのほか、ブラック、ホワイトの3色をラインナップしている。

 製品自体は、エレコムがすでに販売している7ポートタイプの「U2H-Z7Sシリーズ」の流れを汲んでおり、ほっそりとした筐体にUSBポートが整然と並ぶ、シンプルな外観が特徴だ。

 USBポートの配置は、上面に9ポート、先端に1ポート。ポートの間隔は約10mmとかなり余裕があるため、隣接したポートに干渉する心配が少なだろう。ただ、ポート番号のシルク印字がないため、頻繁に抜き差しをする場合、どの機器を何番ポートにつないでいたのか見分けがつきにくいのがやや難点だ。


製品パッケージ。今回紹介取り上げたシルバーのほか、ブラック、ホワイトをラインナップする筐体はかなりスリム。上面に9ポート、先端部に1ポートを備える電源ジャックが側面にレイアウトされている点は、好みが大きく分かれそうだ

 電源スイッチは装備しておらず、常時全ポートに給電される仕様となっている。側面には通電していることを示す赤色のLEDを装備する。ACアダプタを利用したセルフパワー接続時は、PCの電源がオフでも給電が可能なので、ケータイやモバイルガジェットを充電したい場合には威力を発揮する。ちなみにセルフパワー時の給電能力は10ポート合計で4700mA以内とされている。こうした数値がきちんと公開されていることは安心感があって良い。

 底面にはマグネットを装備しており、スチール面に取り付けることができる。エレコムのUSBハブに備わっているマグネットは他社製品に比べて磁力が強い感があるが、本製品も例に漏れず強力で、いったんスチール面に取り付けると、垂直方向に引っ張って取り外すのは至難の業だ。もっとも、横方向に倒すような力のかかり方には弱いので、過信は禁物だ。

 標準価格は7035円と高価だが、実売価格は3000円台とかなりこなれているのも魅力だ。1つ難点があるとすれば、ACアダプタのサイズが巨大なことだろう。給電能力が高いことは評価できるが、ここまで大きいサイズというのは昨今なかなかお目にかからない。本体がスリムなこともあるがどうしても目立ってしまう。

 また、電源ジャックが本体側面にレイアウトされているのも、好みが分かれるところだろう。これは配線をした際、電源ジャックを抜けにくくするメリットをもたらしているが、人によっては見た目が不格好であると感じるかもしれない。


10ポートすべてにケーブルを接続したところ。本体の固定には内蔵のマグネットを用いる同梱品一覧。手前がUSBケーブル、奥がACアダプタパッケージから出してまず驚くのがACアダプタの巨大さかもしれない

集中スイッチ装備で接続ポートも見分けやすい「400-HUB008」

サンワサプライの「400-HUB008」。直販サイト「サンワダイレクト」の販売価格は4980円。本体は黒とシルバーのツートン

 続いて紹介するサンワサプライの「400-HUB008」は、集中スイッチを装備したセルフパワー/バスパワー両対応の10ポートUSBハブだ。直販サイト「サンワダイレクト」で販売されている商品で、本体色は黒とシルバーのツートン。カラーバリエーションは用意されていない。

 10ポートはすべて本体上面にレイアウトされている。ポートの間隔は約8mmと、先のエレコム製品より2mmほど狭いが、標準的といっていい幅だ。

 ポートの横には「USB1」「USB2」といった具合に番号が印字されているため、どのポートにどの機器をつないでいるかの見分けがつきやすい。Windows環境では、以前つないだことのあるUSB機器であっても、異なるポートにつなぐと再度ドライバのインストールを要求されてしまう。その点、ポートの見分けがつきやすいことはメリットだろう。先のエレコム製品に対する本製品のいちばんの優位性は、実はここではないかと思うほどだ。


パッケージは黒箱筐体はエレコム製品と比べるとやや幅がある集中スイッチが付属し、7~10番ポートの給電をオン/オフできる

 本体には集中スイッチが装備されている。これは単純な電源オン/オフではなく、「1~10番ポートの電源をすべてオン」と「1~6番ポートのみオン」の2択という役割である。つまり、7~10番ポートの給電をオン/オフするためのスイッチというわけだ。そのため、あまり利用しない機器は7~10番ポートにつなぎ、こまめに電源をオフにするといった使い方ができる。通電状況についても1~6番ポートと7~10番ポートの2つに分けたLEDが用意されており、目視で確認しやすい。

 また、メーカーサイトなどには明記されていないが、実際に筆者が試した範囲では、PCの電源をオフにした状態でも、接続した機器のUSB充電が確認できた。利用可能なポートは先の集中スイッチで指定した範囲(1~10番ポート、もしくは1~6番ポート)に依存する。

 前述したエレコム製品のように固定用マグネットは装備せず、壁面などに固定する際は底面のフック穴を用いてひっかける。スチール面以外に固定するのであれば、こちらのほうが便利だろう。電子機器のまわりにマグネットを置くのはどうも抵抗があるという人にも向いている。

 サンワダイレクトでの販売価格は4980円。ACアダプタに関しては、エレコム製品ほどの巨大さはないものの、そこそこ大きなサイズ。USBのアップストリームポートと電源ジャックはいずれも断面にレイアウトされており、スッキリした配線が可能な反面、引っ張った際に抜けやすいことは否めない。また、先のエレコム製品のように給電能力が明記されていない点は、HDDなどのように消費電力が大きい機器をつなぐ際の不安要素といえそうだ。


10ポートすべてにケーブルを接続したところ。本体の固定にはフックを用いる同梱品一覧。手前がUSBケーブル、奥がACアダプタACアダプタ。そこそこ大きいが、エレコム製品ほどではない

ポートの見分けやすさと固定ギミックが多ポートハブ選びのポイント

 以上、2製品を試用してきたが、多ポートハブでは4ポートなどのUSBハブとは異なる製品選択のコツがあることがよくわかった。1つはポート番号の判別のしやすさ。文中でも書いたが、Windowsでは異なるポートにつなぐたびにドライバインストールを要求されるので、極力同じポートに接続したほうがストレスがたまらない。ポート数の多さゆえにこの問題に直面しやすい多ポートハブだが、各ポートに番号が書かれたサンワサプライの製品は、その点で使い勝手に優れていると言える。

 また、これは使い方にも依存するが、本体をどれだけしっかり固定できるかもポイントの1つになりそうだ。10ポートすべてにケーブルを挿した状態ともなるとハブにかかる力はかなり強力であるため、弱いマグネットではしっかりと固定できず、ハブ本体がケーブルに引っ張られてしまう場合も少なくない。マグネットやフックなど、固定用のギミックが付属するのは当然として、これらが実用に値するレベルなのか、口コミやレビューなどでしっかりと確認するのが望ましいといえるだろう。

 なお、今回紹介した2製品にはポート数で及ばないものの、バッファローやサンワサプライ、シグマAPOからは7ポートハブ製品が発売されている。上記のようなポイントを製品選びの一助としていただければ幸いだ。


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(山口 真弘)
2009/10/7 11:00