USBストレージをNAS化できる!
プリンストン ネットワークプレーヤー「PAV-MP1」
今回ご紹介するのは、プリンストンテクノロジーのネットワークメディアプレーヤー「デジ像メディアプレーヤー PAV-MP1」。直販サイト価格で1万4800円という比較的手ごろな価格で、HDMI接続による高品位な映像再生も楽しめる製品だ。
また、PCに保存した映像や音楽をネットワーク経由で再生できるだけではなく、USBポートに接続したストレージをNASとして使えるという一風変わった機能も搭載している。
■小型筐体にHDMI&USBポート×2を搭載
プリンストンテクノロジーの「PAV-MP1」。直販サイト価格は1万4800円 |
「PAV-MP1」の本体サイズは約171×115×37mm(幅×奥行×高)で、重量は約264g。手に取ってみるとかなり小ぶりで、ハードカバーの書籍くらいのサイズ感だ。テレビラック周辺のちょっとした空きスペースに気軽に設置できるだろう。
本体デザインは直線を基調とした箱状で、いかにもPC周辺機器的なシンプルなもの。正面には電源ボタンや通電状況を確認できる2つのLEDに加え、USBポートも2個搭載されている。背面には映像・音声端子類があり、HDMI、コンポジット端子、光デジタル音声端子が並ぶ。なお、コンポーネント映像端子は専用ピン形式になるため、本体同梱ケーブルしか利用できない点は注意しておきたい。このほか、10BASE-T/100BASE-TX×1ポートの有線LAN、ACアダプタ接続口も背面にある。
付属品はリモコン、単4形電池2本、ACアダプタ、コンポジットケーブル、コンポーネントビデオケーブル。取扱説明書は2種類付属するが、より詳細な内容を記述したPDF形式の「ユーザーズガイド」が製品情報サイトにて公開されている。
製品のセットアップ自体も、AV機器の接続に慣れている人であれば特に難しい部分はない。映像ケーブルとACアダプタを接続し、あとは電源スイッチをいれるだけでよい。なお、HDMIケーブルは同梱されていないので、必要であれば前もって用意しておこう。
本体正面 | 本体背面。コンポーネント映像端子は独自形状のため、同梱の専用ケーブルしか接続できない |
付属リモコン | 同梱品。ACアダプタのプラグの向きが独特 |
「PAV-MP1」の電源を入れると、テレビ画面にはホームメニューが表示される。基本的な操作はすべてこの画面を見ながら、リモコンを使って行う。操作自体も難しいことはなく、上下左右のカーソルキー、決定キー、戻るキーでほとんどの操作が可能になっている。また、表示した画面によっては、赤/緑/黄/青ボタンにショートカット機能が割り当てられており、青ボタンでホームメニューに戻るといったこともできる。
「PAV-MP1」をもっとも手軽に利用する方法としては、USB接続したストレージ内のコンテンツを再生する方法だろう。本体正面のUSBポートにフラッシュメモリやHDDを接続し、ホームメニュー上から「USB」の項目を選択する。フォルダ構造がそのまま再現されているので、目的のファイルも簡単に探せるはずだ。
「PAV-MP1」で再生できるファイル形式はかなり多い。映像はH.264やDivX、Xvid、MPEG-1/2/4、Quick Time、Flash Video、WMV9など。音声はLPCM/MP3/AAC/WMA9など、画像はJPEG/BMP/PNG/GIF/TIFFとなっている。なお、著作権保護されたコンテンツの再生には対応していない。
ホーム画面。再生操作や設定などができる | 映像選択時にはプレビューが画面右に表示される |
映像の早送り・巻き戻しなどは問題なく可能だ。また音楽ファイルの再生は1度実行すると、ホーム画面に戻ったり、画像を表示しながらバックグラウンドで音楽を再生することもできる。このほか、1つのフォルダに音楽・映像・画像が混在してファイル数自体が多くなってしまった場合は、ホームメニューからの選択もしくはリモコンの専用ボタンを押すことで「MUSIC」「PHOTO」「MOVIE」に絞り込んで表示できる。
音楽再生画面 | 写真選択画面。サムネイル表示も可能 |
1度再生したファイルは「再生履歴」に登録されるため、繰り返し再生時などには便利だ。また再生停止した時間軸からつづき再生するためのレジューム機能も搭載している。
ちょっと注意しておきたいのが音声の出力方法だ。標準ではデジタル音声は光デジタル端子に対して出力されるため、HDMI接続時は音声が出ずにとまどってしまうかもしれない。HDMI接続する際には、ホームメニューから設定を変更すれば、HDMIでの音声出力が可能になる。
■USBストレージをNAS化できる機能を搭載
ネットワークの設定画面。NAS機能のオン/オフ、IPアドレス確認などが行える |
「PAV-MP1」ならではの機能としてぜひ使ってみたいのが、USB接続したストレージをNASとして使える機能だ。設定も難しくはなく、LANケーブルでネットワーク接続した上で、ホームメニュー「設定」内の「ネットワーク」で「NAS」の項目をオンにし、「PAV-MP1」に割り当てられたローカルIPアドレス(同じ画面上に表示されている)をメモしておけば準備完了だ。
あとはPCのWebブラウザから先ほどメモしたローカルIPアドレスを入力すれば、「PAV-MP1」に繋いだUSBストレージへのアクセスが可能だ。もちろん、PCからのファイルの書き込みにも対応する。
「PAV-MP1」に大容量のストレージを常時接続してファイルを保存しておけば、PCの電源が入っていない場合でも自由にコンテンツを楽しめる。最近では16GB程度のUSBメモリも安価になっているので、見る可能性のあるファイルをとりあえず保存しておくのもいいだろう。
NAS機能を利用する上で注意したいのはDHCP環境での運用だ。「PAV-MP1」の電源をオン/オフしたりネットワーク機器が増えたりすると、IPアドレスが変わってしまう可能性がある。とはいえ、本体設定でIPアドレスを固定化することもできるので、ネットワーク運用状況にあわせて選択するといいだろう。
なお、筆者の環境だけかも知れないが、NASへアクセスする際のWebブラウザがFirefox 3.5では上手くいかなかった。Internet Explorer 8では問題は生じなかったので、Webブラウザ自体のセキュリティ設定やウイルス対策ソフト導入状況が影響している可能性もある。問題があった場合はまずはWebブラウザを変えて試してみるのも良いかもしれない。
■ネットワーク再生にチャレンジ
ネットワーク接続したPCの共有フォルダを参照しているところ。ワークグループ選択などがあるものの、基本的にUSBストレージのコンテンツを再生する際と手順はほとんど変わらない。 |
一方のネットワーク再生機能はどうだろうか。こちらは「PAV-MP1」側で準備できることは少なく、コンテンツを保存しているPC側でファイル共有設定を済ませておくことが最重要となる。ただし、共有に関する方法は取扱説明書ではそれほど言及されておらず、PCに慣れた中・上級者向けの機能と言える。
今回は手持ちのデスクトップPC2台でそれぞれ共有設定および再生を試してみたが、スムーズにいったのはログオンパスワードを設定していないWindows XP上のコンテンツを再生するケースだ。
「PAV-MP1」では通常のファイル共有と、UPnPによる共有(Windows Media Player 11を使った方法が代表的)にそれぞれ対応しているが、どちらも特に問題なく再生できた。トレンドマイクロの「ウイルスバスター2010」を標準的な設定でインストールしていたので、ファイアウォール問題も特になかったと言えそうだ。
一方で、パスワード保護共有設定などをオンにしていたWindows 7に保存したファイルに関しては、筆者環境では「PAV-MP1」から上手く再生することはできなかった。「PAV-MP1」に限らず、ネットワークメディアプレーヤー全般を使うつもりであれば、この類のトライ&エラーは覚悟しておいたほうがよいだろう。
設定さえ完了していれば、USBストレージを活用したコンテンツ再生とほぼ変わらない方法で映像・音楽を楽しめる。映像の早送りや巻き戻しでさすがにラグが発生している感はあるが、USBストレージと比較して極端にレスポンスが劣る印象はない。
■NAS機能を有効活用しよう
「PAV-MP1」は“ネットワークメディアプレーヤー”と呼ばれる製品だが、USBストレージ上のコンテンツも再生できるため、スタンドアローンでの用途にもじゅうぶん耐えうる。もともと、車載用のシガーソケット変換アダプタをオプションで用意するなど、単独使用があらかじめ考慮された製品であるとも言えそうだ。
特にNASとしても使える機能は応用範囲が広い。せっかく大量のコンテンツを保存しているPCがネットワーク接続されていても、省エネのために電源を切っていてはその利便性が半減する。それであれば「PAV-MP1」に接続したUSBメモリに必要なコンテンツをコピーしておき、PCの電源投入状況に関わらず、思い立ったときに楽しめるようにしておいたほうが賢明かもしれない。その意味において、NAS機能は“ネットワーク”と“スタンドアローン”の間を埋める魅力的な機能と言えるだろう。
USBストレージ上のコンテンツ再生機能は、ネットワークメディアプレーヤーとしてはもはや当たり前の機能だが、NAS機能までをサポートした製品は数がグッと限られる。より柔軟なコンテンツ再生を楽しみたい人は、「PAV-MP1」を購入候補に加えてみるといいだろう。
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