SATAドライブに加えてIDEドライブにも対応!
「裸族のお立ち台IDEプラス」


「裸族のお立ち台IDEプラス」の直販サイト価格は4980円。対応OSはWindows 7(32/64bit)/Vista/XPおよびMac OS X 10.4以降

 センチュリーの「裸族のお立ち台IDEプラス(CROISU2)」は、HDDやSSDをPCにUSB接続するためのスタンド型クレードルだ。従来製品で対応していたSATA接続型ドライブに加え、本製品ではIDE接続型ドライブについても接続が可能になっている。

 IDE接続型のHDDをUSBに変換するアダプターは、PCパーツショップでよく見かける存在だ。いまや、IDE接続型のHDD自体は市場からは姿を消しつつあるが、長らく市場を寡占してきた規格ということもあり、今後もデータ移行のためにこうした変換アダプターの需要はそれなりにあるものと考えられる。

 今回紹介する「裸族のお立ち台IDEプラス」は、従来モデルと同じくSATA接続型に対応するのはもちろんのこと、IDEコネクターを搭載することで、IDE接続型HDDの読み書きも可能にしている。早速、その詳細を見ていこう。


製品本体。正面のフロントパネルは開閉が可能。下部にはIDEスロットを備える同梱品一覧。右上から時計回りと反対に、製品本体、USBケーブル、ACアダプター、ACケーブル、IDEケーブル、IDE電源ケーブル、2.5インチIDEドライブ用変換基板

従来モデルの構造を踏襲。やや軽量な点が気になる

従来製品に比べてやや軽い。デザインの関係もあってか、本体の重心の位置も高めであるように感じられる

 まずは外観を見ていこう。筐体色は黒。デザインこそ従来製品と若干異なるが、スタンドタイプのクレードルであるという基本的な構造はこれまでと同一だ。サイズは137×65×100mm(幅×高×奥行)と、初期モデルの130×68×90mmと比べるとやや大型化しているが、カードリーダライターやUSBハブ機能を備えた最近の多機能モデルに比べて大きな違いはない。見た目の印象からも、特に大型化したという感はない。

 一方、本体重量は約467gと、初期モデルの約630gと比較して軽くなっている点は多少気になった。というのも、本製品はそのコンセプトからして、軽量であることは設置時の安定性の面からも都合がよろしくないからだ。実際使っていても、あまりどっしりしているという印象がない。不安定というわけではないのだが、やや気になるポイントではある。

 本体上部にあるSATA接続型ドライブのスロットは、3.5インチドライブのほか、2.5インチドライブにも対応する。取り外しの際は、右側にあるイジェクトレバーを押し下げながら持ち上げるという仕組みだ。レバーが本体正面ではなく、スロット側面にレイアウトされている点は、従来の2スロットモデルに近い。


背面。電源ボタン、電源ジャック、USB Bコネクターが並ぶ側面。イジェクト用のレバーを上面に備える上部SATAスロットは3.5/2.5インチドライブの両対応

SATA接続型ドライブは本体上部から挿入するSATA接続型ドライブを装着した状態取り外す際は側面のレバーを押しながら引き抜く

 「裸族のお立ち台」シリーズの最新モデルではUSB 3.0対応品もラインナップされたが、本製品は従来モデルと同様、PCとの接続インターフェイスはUSB 2.0だ。ちなみに本製品のほかに、USB 2.0/eSATA接続に両対応したモデルも用意されている。

 なお、IDEに対応することから、HDD以外のIDE機器、例えば光学ドライブなども利用できそうだが、メーカーサイトでは対応不可とされている。ノンサポートというだけで例外はあるのかもしれないが、後述するようにIDE接続では机上に直置きになってしまうこともあり、どちらにせよ常用には向かないと思われる。

IDEドライブは本体手前からケーブルで接続

IDE接続型ドライブを取り付けた状態。ジャンパはドライブに合わせて個別に設定する必要がある

 本製品最大の特徴は、製品名にあるようにIDE接続型ドライブの利用に対応していることだ。もっとも、SATA接続型ドライブのように上部スロットに差し込むわけではないことは、購入前に理解しておく必要がある。

 IDE接続型ドライブを利用したい場合は、まず本体下部にあるゴムキャップを外し、そこにIDEコネクターおよび4ピンの電源コネクターにケーブルを差す。その上で、IDE接続型ドライブをつなげるという格好になる。つまり、SATA接続型ドライブのように“お立ち台”に立たせることはできないのだ。IDE接続型ドライブを接続するという命題はなんとかクリアしたものの、外観が犠牲になってしまったという感もないではない。


本体前面下部にIDEスロットを備える。通常はゴム製のキャップで覆われている

 もっとも、IDEコネクターはSATAのコネクターのように容易に抜き差しできる規格ではなく、装着時および取り外し時にかなりの力を必要とするため、この構造はやむなしといったところだろう。ただ、本体手前にそこそこの設置スペースを要するため、本体前部に取り付けるという構造を知らずに購入してしまうと、設置スペースを確保するのに苦労する可能性もありそうだ。

 また、本製品に接続したIDE接続型ドライブはダイレクトに机上に置くことになるため、振動および放熱面を考慮すると、長期間の継続使用はあまりおすすめできない。あくまで一時的な利用を前提としたものであり、継続使用が主用途になるのであれば、別途ケースなどを買い求める方が賢明だろう。どうしても本製品と接続して長期間使用したいのであれば、シリコンジャケットなどと組み合わせることを検討したい。

 ちなみに接続に利用するIDEフラットケーブルおよび電源ケーブルは、本体内に収納が可能だ。前面のパネルをプッシュして開くことで、それぞれのケーブルを収納する空間が用意されているのだ。パッケージを処分しても付属品が散逸しないように工夫してある点は評価できる。


フロントパネルを開けると、IDE接続用のフラットケーブル、電源ケーブル、2.5インチ変換基板を収納できるスペースがある

SATA-IDE間の転送速度はやや遅めだが、実用上は支障なし

IDE接続型ドライブとSATA接続型ドライブを同時に取り付けた状態。かなりの設置スペースを必要とする

 細かい使い勝手、および転送速度についても見ていこう。本製品をPCに接続すると、USBの外付型ドライブとして認識される。SATAとIDEの2台のドライブを接続すると、マイコンピュータ上ではそれぞれ異なるドライブとして表示される。

 2台の同時利用も可能だが、消費電力の大きいドライブをつないだ場合、スピンアップに失敗する可能性もあるとされている。今回試用した限りでは特に問題はなかったが、本製品はホットスワップに対応しないため、仮に2台接続して起動できなかった場合でも、1台をあとから接続するといった使い方はできない。どのくらいの頻度でこの種の問題が発生するかはわからないが、2台を接続した際はスピンアップに時間差を設けるといった仕様面での工夫があってもよかったかもしれない。

 また、本製品はホスト機能は持たないので、製品単体でSATA→IDEもしくはその逆にデータをコピーすることはできない。SATA-IDE間のデータコピーは、PC内蔵のHDDとの間でコピーする場合と同様、PCのエクスプローラー上で操作することになる。

 データの転送速度は、約700MBのAVIファイルをエクスプローラー経由でコピーした場合、SATA→IDEが約52秒、IDE→SATAが約48秒でコピーが完了した。これに対し、本製品のSATA接続型ドライブ→PC内蔵のSATA接続型ドライブへのコピーが約21秒、本製品のIDE接続型ドライブ→PC内蔵のSATA接続型ドライブへのコピーが約20秒と、約半分の時間で転送が完了する結果になった。この結果だけで判断するのはやや性急だが、SATA-IDE間のデータコピーは、PCのHDDとの間で実行するコピーに比べてやや遅くなると見てよさそうである。各ドライブの性能のほか、1本のUSBケーブルで送信/受信を同時に行うため転送レートが半減している影響が大きいのかもしれない。

 もっとも、大容量HDDへの乗り換えに伴うデータの移し替えといったレベルであれば、それほど大きな問題はないだろう。一般的にSATA接続型ドライブに比べてIDE接続型ドライブの容量が小さいことを考えると、なおさらだ。

価格的にはリーズナブルで、いざという時に頼れる商品

 以上見てきた通り、IDEに対応したことは評価できるものの、IDE接続時に必要となる設置スペース、さらに直置きであることなどを考慮するに、常用には向かないというのが率直な感想だ。メインはやはりSATAで、IDEはあくまで一時的に使うだけという位置づけだろう。

 もっとも、だからといって本製品に価値がないかというとそんなことはない。身の回りにまだIDE接続型ドライブが現存しているのであれば、SATA接続型ドライブにだけ対応したモデルを買うよりも本製品を買っておいたほうが、データ移行時のコピーなど、いざという時に重宝することは間違いない。

 メーカー直販サイトの価格は4980円で、SATA接続ドライブにのみ対応した標準モデル(3480円)と1500円の価格差はあるが、IDEをUSBに変換するデータケーブルが単体で2000円ほどの実売価格であることを考えると、この価格差はじゅうぶんに納得できる。今後、IDE接続型ドライブを利用する可能性が残っているのであれば、本製品の購入を検討してみるのもいいだろう。


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(山口 真弘)
2009/12/16 06:00