“花火オタク”の店長がオススメ花火を厳選!
人形・クリスマス・花火の「ダイジロウ」(後編)


シチュエーションに合わせたインパクトのあるネーミング

 節句人形と花火、クリスマス関連商品の3ジャンルを柱に展開する「人形の大二朗」は、量販店にはない品揃えと接客の細やかさで、地元である千葉の鎌ヶ谷市で人気を呼んでいる。その「人形の大二朗」が運営するインターネットの通販サイト「ダイジロウ」もまた、他店にはないユニークな商品を販売している。

 中でも人気なのが、店オリジナルの花火セットだ。「ダイジロウ」のサイトを見ると、「ちょい悪オヤジセット」とか、「キャンプ場で愛を語る」セット、「パパが留守でも大丈夫!」セット、「真夏のナンパ花火セット」など、さまざまなセットが並んでいる。いずれもかなりインパクトのあるネーミングで、目的が非常にわかりやすい。

 「ちょい悪オヤジセット」は、別名「飛び道具満載!男の花火セット“炎の砲撃手”」という名が付いていて、「ボウヤ禁止」という一言まで付いている。セット内容は、ロケット花火および筒物連発花火だ。

 「パパが留守でも大丈夫!」セットは、手持ち花火が60%、噴き出し花火が35%、おもしろ花火が5%という割合で、父親がいなくても手軽に遊べるように配慮されたセットだ。「キャンプ場で愛を語る」セットも割合は同じで、こちらには女性ウケする線香花火などが入っている。

 「真夏のナンパ花火セット」は、手持ち花火が40%、噴き出し花火が20%、打ち上げ花火が30%、パラシュートやおもしろ花火が10%とバラエティーに富んだセットで、5250円と1万500円のセットがある。

 このほか、「“スベらない”最強の花火セット!」というキャッチコピーが付いた「極選セット」もある。これは評判のいい花火ばかりを集めた鈴木さんオススメの商品だ。いずれのセットも、各花火の割合を好みで変更できる。

チョイ悪オヤジセットパパ留守でも大丈夫!セット


下手な商品は入れられない! 良い物ばかりのお得なセット

 これらのセットは、実店舗には用意していないインターネットならではの商品だ。セットに含まれている花火は店に訪れる客の評価が良かったものばかりで、量販店やコンビニで売っている袋詰めのセットとは明らかに異なる。手持ち花火をひとつ見ても、バラ売りしているものと袋詰めに入っているものとでは火薬の量が全然違うので、持続時間も段違いだ。

 しかもこのオリジナルセット、価格のほうもかなりお得だ。単品の花火を組み合わせて同じ量を揃えるよりも、合計金額はずっとお安くなっている。目的別に用意されているので、あれこれ迷うことなくシチュエーションに合った組み合わせを選ぶだけでいい。

 「常連さんと話をすると、『あれが良かった』『これが良かった』と色々な感想が返ってきます。それを反映して作ったのがインターネット通販のセットですね。お客さんの顔が見えないインターネットだからこそ、このような商品が必要だと思いました。」

 「セット商品の場合、商品の選択はすべて自分に任されているわけですから、下手な商品は入れられません。良い物ばかりを選んで入れてあるから、かなりお得だと思いますよ。」(鈴木さん)

 最近はWebページの上のほうに、「人数、場所、ご予算に合わせて花火のプロがオリジナルの花火セットをお作りします」という一文も入れている。メールでも電話でもいいので、とにかく問い合わせてもらえれば、要望に合ったセットを作ってくれるそうだ。言わば花火のオーダーメイドである。

真夏のナンパ花火セット“スベらない”最強の花火セット


花火の打ち上げ順序までアドバイス

 ちなみに実店舗の「人形の大二朗」でも、学校や幼稚園、老人ホームのイベントで行われる花火大会に花火セットを納品する際には、さまざまなアドバイスをしている。

 「最初にこの花火を点けて、次はこれ、締めの一発はこれ、というような感じで、仕様書を書いてお客さまに渡しています。イベントのオープニングに適した花火とか、コンサートに合う花火とか、色々な種類があるので、それを踏まえてアドバイスするわけです。」

 「これは店で直接お客さまと対面しながら接客するからこそできることなんです。最近は大学のサークルの合宿とか、学生さんからの引き合いも多いですね。中には、音楽をかけながらそれに合わせて花火を打ち上げるような場合もあって、お客さんと一緒に話し合いながらどんな順番にするのかを練っていきます。ぼくもそういうイベントって大好きだから、話が盛り上がるんですよね。」(鈴木さん)

 単に花火を売るだけでなく、打ち上げる順番や仕掛ける位置まで、詳しくアドバイスする。そんな花火大会のプロデュースのようなことまでできるのが「ダイジロウ」の強みだ。このようなアドバイスは、今まで実店舗での販売に限られていたが、インターネットでも相談をもらえれば対応することは可能だそうだ。

 「以前、『ダイジロウ』のサイトを見た長野県のペンションから電話がかかってきたことがありました。泊まりに来る予定の学生さんが花火を欲しがっているんだけど、そのオーナーは花火のことが全然わからないから、『ウチは花火を打ち上げる順番までアドバイスできますよ』と言ったら喜んでもらえて。仕様書を作ってお送りしました。」(鈴木さん)

 このようなキメの細かいサポートもあり、「ダイジロウ」のリピーターは着実に増えつつある。それは、オリジナルの花火セットの内容が確かだという証しでもある。

 「この仕事をしていて良かったと思うときは、やっぱりお客さんから何らかの反応が返ってきたときですね。ネットでも、買っていただいた方からの感想コメントが付いたり、メールで喜びの声が寄せられたりすると、それを励みにがんばろうという気になります。」(鈴木さん)

店長の鈴木大二朗さん手持ち花火の種類も豊富に用意


学割あり! 3項目を選ぶだけのオーダーサービス

 今の課題は?と聞いたところ、「オリジナリティのあふれる商品を提供すること」と鈴木さんは語る。

 「ほかの店と同じものを売っても価格競争になるだけなので、値段ではないところで勝負したいですね。それは人形やクリスマスに関しても同じです。専門店でしかできないことをしたいと思っています。」

 その一貫として作ったのが、学生サークルの幹事に向けた花火セットのオーダーサービスだ。注文時に人数と場所、要望の3つの項目をプルダウンメニューから選ぶだけで、そのシチュエーションに合わせた花火セットをコーディネートして届ける。

 場所の項目としては、「校庭」、「公園」、「河川敷」、「海辺」、「キャンプ場」の5項目、要望の項目としては、「打ち上げ花火中心」や「手持ち花火中心」、「音の少ない花火中心」、「派手な花火中心」、「お任せ(全てバランスよく)」と計8項目の中から選べる。さらにこのセットは、なんと“学割”も利くという。「限界ギリギリまでおつめいたします」と銘打っているだけあって、かなり充実したセットのようだ。

 また、同じようなセットとしてファミリー向けの「パパとママが選ぶ花火セット!」というものもあり、こちらでは人数や場所のほか、「パパ目線」か「ママ目線」かを選べるようになっていたり、「だれを一番楽しませたいですか?」という項目を用意したりしている。スピードくじも付いていて、当たるとプレゼントがもらえるのも楽しい。

 インターネット上でも実店舗と同じ水準のサービスを提供できるように、鈴木さんは日夜、知恵を絞っているのだ。

学生さん向けスペシャルセット


細かい点まで気を配ったコーディネート

 「たとえば最近のキャンプ場では、打ち上げ花火が禁止されているところも多いので、場所に合わせたコーディネートが必要です。あと、花火を子どもに見せたいのか、それとも大人同士で楽しみたいのか、という点も重要ですね。子どもが喜ぶ花火と大人が好む花火は違うんですよ。」

 「子ども向けには、動きが面白い花火とか、風船が入っている花火とか、ユニークな“からくり花火”がたくさんあります。また、手持ち花火にしても、小さな子どもの場合は火が点いている時間が長すぎると飽きてしまうこともあるので、年齢に応じて最適なものを選んであげたほうがいいです。」(鈴木さん)

 花火のセットをコーディネートするのに、ここまで細かい点を考えているとは驚きだ。さすが“花火オタク”を自称するだけのことはある。

 「インターネット通販で花火の注文をいただいたとき、注文された商品をなにも考えずに納めればいいのかもしれないけど、実際に発送するときに『この人はこの花火をどこで、どういうシチュエーションで遊ぶのかな?』とつい考えてしまうんですよね。」と語る鈴木さん。お客のことをもっとよく知りたい、知った上でその人に合った最適な商品を提供したいという思いを常に持ちながら商売をしている。

 鈴木さんにとってインターネット通販は、あくまでも実店舗での接客の延長であり、そのような細やかな姿勢こそが『ダイジロウ』の魅力なのだ。

子どもに人気の“おもしろ花火”

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2009/7/24 11:00  
碓氷 貫
フリーライター/編集者。Eコマースや地図サービス、データベース・コンテンツなど、Webサイトの価値を高めるさまざまなサービスをテーマに活動している。地図やハンディGPSを片手に街や山を徘徊する一方で、通販サイトでお買い得品をチェックすることにも余念がない。