ツンデレ系フィギュアが得意!? なアキバ系ホビーショップ
「ホビーストック」(後編)


送料がオトクになるユニークな便利機能

各商品には取り置きの期限が記載されている

 ショップサイトやブログなどを通じてユーザーからの声に耳を傾けて、通販サイトの運営に役立てているホビーストック。とくにマイページの機能はかなり多機能だ。

 ほかのホビーショップサイトと違う点としてまず挙げられるのは、配送する商品群(商品グループ)の組み替え機能だ。1つの配送グループにまとめられた商品を、分割して時期をずらして配送したり、複数の配送グループの商品を1回に統合したりすることで、送料やシステム手数料を節約できる。ホビーストックでは、代金の合計が1万円以上の場合は送料無料になるので、違う時期に購入した商品の配送をまとめればオトクだ。

 「基本的に予約商品が多いので、発売時期が微妙にずれたりすることがよくあります。そんなときに、同月のものを1回の配送にまとめられるようにしてほしい、という要望をお客さまからいただいたので、それを自由にできるようにしました。ホビー関連の通販サイトの中では、弊社のシステムはもっとも多機能だと思います。」(メカシマゾウさん)

 「フィギュアという商品は、発売が延期になってしまったり、そもそも発売日が決まっていなかったりすることが多いんです。そういう事情に合わせて、お客さまが使いやすいように少しずつ機能を改善してきました。今では、商品ごとに異なる発売日を管理しやすい高度なシステムになっていると思います。言わば、“玄人向け”のシステムですね。」(部長Kさん)

 もう1つ大きな特長として、商品の取り置きサービスが挙げられる。これは、注文した商品を一定期間出荷せずに、ホビーストックの倉庫で取り置くサービスだ。予約商品の場合は、商品が入荷した日の翌月末日まで取り置きが可能で、入荷済み商品の場合は注文日の翌月末日まで取り置いてくれる。たとえば予約した商品が10月1日に入荷した場合は、11月30日まで取り置きが可能だ。

 この機能を使えば、「商品が売り切れてしまうか心配だけど、今は現金がなくて買えない」という場合でも、給料が振り込まれる前に確保できるわけだ。また、配送グループの組み替え機能と組み合わせることで、送料もリーズナブルに済ませられる。

 また、取り置き可能な期間が終了している商品を、毎月末日の深夜に1つの配送グループにまとめる「月末自動組み替え」機能なども搭載している。発売日が変わりやすいフィギュアでも、これならストレスなくショッピングを楽しめる。

ホビー雑誌よりも早い!? ホビーイベントのレポート記事

 このような便利機能が充実していることに加えて、もうひとつ注目したいのが「シマゾウ・レポート」というオリジナルコンテンツだ。これはショップサイトの製品レビューとは別に用意してあるコンテンツで、発売前のフィギュアの商品紹介や、アニメやゲーム会社などの企業訪問レポート、イベントレポートなどを届けるコーナーである。

 「初めはメーカーさんへの訪問レポートが多かったのですが、最近は1アイテムごとに商品を紹介するのがメインになりつつありますね。また、ホビー系のイベントレポートとしては、弊社のサイトが一番早いのではないでしょうか。」(メカシマゾウさん)

 「とにかくスピード感を大事にしていて、商品レビューもサンプルが出た時点ですばやく載せているので、ホビー専門誌よりも情報を掲載するのが早いこともあります。これからも速報性を大事にしつつ、できるだけマニアのツボを押さえた記事作りをしていきたいですね。」(メカシマゾウさん)

 「注目されている商品のレビューが載ったときなどは、サーバーが落ちる寸前になるほどアクセス数も上がりますね。海外のお客さまからのアクセス数もすごいです。大手メーカーの情報などは海外からも注目されているので、海外の方の情報ソースにもなっているのではないかと思います。」(部長Kさん)

 このほか、ランキングが充実しているのもホビーストックならではの特長だ。ホビーストックには、「萌え系フィギュア」やヒーローもののフィギュアを扱う「燃え系フィギュア」、「プラモデル」、「ドール」、「キャラクターグッズ・雑貨」など、計9種類ものジャンルを揃えているが、9ジャンルそれぞれのランキングと、総合ランキングを掲載している。

 ランキングは「予約ランキング」と「お気に入り登録数ランキング」の2種類で、それぞれ50位まで表示される。これらのランキングを見れば、各ジャンルでどんな商品が注目されているのかが一目瞭然だ。

 最近ではTwitterを利用したコンテンツも公開した。新着商品について“つぶやき”が投稿されているので、最新情報をチェックできる。ホビーストックは従来から、コンテンツのRSS配信やブログによる情報発信にはいちはやく取り組んでおり、最新技術の導入にはかなり積極的だ。

「シマゾウ・レポート」のコーナー写真を多用した丁寧なサンプルレビュー

オリジナルのラバーキーホルダーに注目!

 フィギュアのほかにもさまざまなジャンルを扱うホビーストックだが、とくに充実しているのは「キャラクターグッズ・雑貨」コーナーだ。アニメやゲームのキャラクターグッズを幅広く取り揃えており、ここでしか買えないホビーストックのオリジナルグッズも少なくない。

 オリジナルグッズで最近のヒットしたのは、マンガやアニメ、小説などで展開している作品「ストライクウィッチーズ」のラバーキーホルダー。「ストライクウィッチーズ」のキャラクター(2~3頭身にデフォルメされたデザイン)が描かれたアクセサリーで、第1弾として4キャラがラインナップされている。現在、第2弾の商品化も進行中だ。

 このほか、ホビーストックではSUICAやPASMOに貼れるカードカスタムジャケットや、抱き枕、立体マウスパッドなど、さまざまなオリジナル商品をリリースしている。

 「新しい商品の企画はいつも考えていて、お客さまに期待の“斜め上”を行くようなユニークな商品企画をしたいな、と思っています。やはりヒット商品が出たときは、この仕事をしていて良かったな、と思いますし。」(部長Kさん)

ラバーキーホルダー

ホビーストックのサイトを「ドアラ」がジャック!

 最近では、通販サイトとは別に、「ソーシャルゲーム Synthe(シンセ)」というサービスをオープンした。これはアバターを自由にカスタマイズできるオンラインコミュニティサービスで、オリジナルのアバターやゲームの制作・配布・販売が可能だ。

 このサービスは、アバターに「ねんどろいど」のキャラクターデザインが採用されている。「ねんどろいど」特有のデフォルメされたデザインをアバターに使えるので、「ねんどろいど」が好きなファンにはぜひオススメだ。将来的には通販サイトとの連携もありうるという。

 商品企画力もさることながら、このような新たなサービスを生み出す力を持っているのがホビーストックの強みといえる。

 「インターネット通販というのは、お客さまからの反応がダイレクトに伝わってくるので面白いですね。もちろん売り上げを向上させることが一番の目標なんですけど、それだけではないんです。」

 「たとえば以前、中日ドラゴンズのマスコットキャラクター『ドアラ』のフィギュアで、『figma ドアラ ホームVer.』という商品を販売したときに、ホビーストックのサイトのデザインをドアラ一色にしたことがあります。ロゴの上にドアラが寝ていたりして(笑)。」

 「そのときは、アクセス数はとにかくすごかったですね。弊社は、ホビー系の通販サイトとしてはちょっと変わったサイトだとお客さまには思われているようなので、たまにはこのような変わったイベントもやって、そういうイメージを維持していきたいと思います。」(メカシマゾウさん)

「Synthe」のトップページドアラ一色となったホビーストックのサイト

 「プラモデルについても、弊社ではガンダムのような有名な作品のプラモデルよりも、どちらかというとガンダムよりもさらに濃い、キャラクターもののプラモデルのほうが売れたりします。だから、コアなホビーユーザーに支持していただいてるのではないかと思います。今後もこのようなマニアの方のご要望にどんどん応えていきたいですね。」(部長Kさん)

 オリジナル商品を初めとした商品の品揃えと、数多くの便利機能、そして読み応えのあるコンテンツと、さまざまな点でほかのホビー通販との差別化を図っているホビーストック。ディープなマニアはもちろん、アキバ系グッズに興味のあるライトなファンも、一度訪れてみてはいかがだろうか?

たくさんのフィギュアが飾ってあるメカシマゾウさんのデスク

関連情報
2009/10/2 11:00  
碓氷 貫
フリーライター/編集者。Eコマースや地図サービス、データベース・コンテンツなど、Webサイトの価値を高めるさまざまなサービスをテーマに活動している。地図やハンディGPSを片手に街や山を徘徊する一方で、通販サイトでお買い得品をチェックすることにも余念がない。