ドラクエやスーパーマリオなど名作ゲームに注目!
「ファミコンデパート」(前編)


 今回ご紹介するのは、中古ゲームソフトを扱う「ファミコンデパート」。ファミコンやスーパーファミコン、Nintendo64など、任天堂のゲームに対応したさまざまなソフトを扱うこの店では、ゲーム内容の詳しい解説や、ユーザーのレビューを投稿できるコーナーなども用意している。

 レトロゲームのファンから幅広い支持を集めているこのサイトの魅力について、運営会社であるファーストドアの代表取締役である佐藤大介さんに話をうかがった。

レビューが充実したレトロゲーム通販サイト

 「スーパーマリオ」や「ドラゴンクエスト」などレトロゲームのタイトルを聞くと、名作ゲームの攻略に燃えた昔を思い出して懐かしさを感じる人も多いではないだろうか。3Dを駆使した最新ゲームに比べるとグラフィックは見劣りするし、ネットワーク対戦なども行えないが、そこには昔ながらの素朴な味わいがある。

 このようなレトロゲームの中古販売を行っているのが、今回紹介する「ファミコンデパート」だ。運営会社のファーストドアの代表取締役である佐藤大介さんが、およそ3年前にアパートの1室から始めたこのショップは、今や2万点のもの在庫を誇る人気のショップへと成長した。

ファミコンデパート
http://www.famicomdepart.jp/
代表取締役の佐藤大介さん

 佐藤さんが開業した当時は、まだ中古ゲームを扱うネットショップは少なかったそうだが、現在では同様の店は珍しくない。そんな中で「ファミコンデパート」の特徴としてまず挙げられるのが、レビューコーナーの充実だ。

 「ファミコンデパート」ではゲームタイトルごとにユーザーがレビューを投稿できるようになっており、これを読めばどのような内容のゲームなのかがわかるようになっている。最新ゲームと違って情報が少ないレトロゲームの場合、このようなレビューが読めるとかなり重宝する。事前にここをチェックしておけば、未知のゲームにも手を出しやすいだろう。

 「昔のゲームって、友だち同士でテレビの前に座ってワイワイいいながら遊ぶことが多かったと思うんですが、大人になると仕事で忙しいので、なかなかみんなで集まってゲームやる機会も少なくなりますよね。だからゲームの感想をネット上に一言、書き込める仕組みが必要だと思ってレビューのコーナーを設けたんです。」(佐藤さん)

ゲームだけでなく“思い出”も一緒に販売

 佐藤さんは、ゲームが友人同士のコミュニケーションツールとして大きな役割を果たしていたかつての時代を、インターネット上で再現するためにレビューのコーナーを提供している。中古ゲーム販売のサイトで、このようなコーナーを提供しているサイトは貴重だ。まだユーザーからの書き込みは多くないが、これから書き込みが増えていくにつれて、データベースとして充実していくだろう。

 「レトロゲームというのは、商品だけでなく、商品と一緒に思い出も買っていただくものだと思うんですよね。それぞれのゲームに、子どものときに遊んだ思い出が残っていると思うんですが、そういう思い出に浸れるような、お客さまにとって居心地のいい場所にしていきたいと思っています。」(佐藤さん)

 レビューについてはユーザーからの投稿だけでなく、佐藤さんやほかの運営スタッフも「名作ゲームピックアップ」というコーナーを設けてゲームの紹介記事を書いている。

 「少なくとも週に1回くらいのペースで更新しています。私以外のスタッフもレトロゲームが好きな人ばかりなので、みんな楽しんで書いていますね。」(佐藤さん)

 ちなみに10月から11月にかけて取り上げたゲームは、「ファミリージョッキー」や「マイティボンジャック」、「ナムコクラシック」、「ドクターマリオ」、「ロードランナー」など。どれも往年の名作ばかりだ。

 レビューではゲームの内容紹介だけでなく、ちょっとしたテクニックや裏技なども織り交ぜている。ゲーム画像も豊富に掲載しているので、このコーナーを見ているだけで実際にゲームしているかのような気分に浸れる。どんなゲームを買おうか迷っている人は、まずはこのコーナーをチェックしてみるといいだろう。

注文ページでは、ゲーム内容がわかる画面を多数掲載スタッフによる詳細な解説が書かれた「名作ゲームピックアップ」

社長自らが独断と偏見でオススメを紹介

 「名作ゲームピックアップ」とは別に、「注目のゲーム★イチオシコーナー」という記事もある。これは佐藤さんが独断と偏見でおすすめの作品を紹介するコーナーだ。たとえば11月中旬にアクセスしたところ、ここでは「トランスフォーマー コンボイの謎」と「モグラーニャ」いうゲームが紹介されていた。

 「トランスフォーマー コンボイの謎」はその名の通り、変形ロボットの「トランスフォーマー」を題材にしたゲームで、難易度の高さで知られている。実はこれは佐藤さんが初めて手に入れたファミコンソフトで、思い入れがあるそうだ。対する「モグラーニャ」は、「倉庫番」などのパズルゲームが好きな人にはたまらないゲーム。ルールは簡単なのに“やりこみ度”が高く奥が深いゲームだ。

 ちなみに「ファミコンデパート」で扱っているレトロゲームは、ファミコンやファミコンディスクシステム、スーパーファミコン、ゲームボーイ、Nintendo64など任天堂のものに限っており、メガドライブやPCエンジンなど他メーカーのものは扱っていない。

 「以前はほかのメーカーも扱った時期もあるのですが、やはり流通しているゲームは圧倒的にファミコン系が多く、ファンも多いということで、任天堂さんのゲームに絞ることにしました。私自身もファミコンを中心にやり込んでいたから、ということもあります。」(佐藤さん)

 トップページの右側を見ると、「現在の注文状況」と題して、何時にどんなゲームが売れたのかがリストとして表示される。懐かしいゲームが次から次へと売れていく様子を見ると、ファミコンというのは1つの文化として日本に定着していて、今もなお高い人気を維持していることがよくわかる。

トップページ下部にある「注目のゲーム★イチオシコーナー」カテゴリ別にゲームのリストを掲載

発送前には端子クリーニングと電池チェック

 そのような“ファミコン文化”を支えている店の1つが「ファミコンデパート」だといえるが、その人気の秘密は、やはり商品の品質へのこだわりだろう。中古ゲームというのはカセットが痛んでいるものが多いが、それでもユーザーとしてはできるだけきれいなものを手に入れたいものだ。

 「ファミコンデパート」ではそのようなユーザーの思いに配慮して、ゲームカセットの徹底したクリーニングに取り組んでいる。使用する薬剤は無水エタノールや家庭用の中性洗剤などを用いており、人体に有害なものは使用していない。

 カセットだけでなく、端子のクリーニングにも力を入れている。ファミコンのカセットはDVD-ROMなどの光学ディスクと違って、経年劣化によって接触面が酸化して、ゲームのプレイ中にリセットしたりと、トラブルが起こる場合がある。そのようなことがないように、「ファミコンデパート」ではアルコールを含ませた綿棒で端子部分を丁寧にクリーニングしている。

 また、セーブ機能のあるゲームの場合、カセットの内部に電池を内蔵しているものがあるが、これが切れてしまっていることも多い。「ファミコンデパート」ではすべてのカセットの起動チェックを行った上で、バックアップ電池が切れてセーブできない場合は、新品の電池に交換してから出荷することにしている。

 万が一、商品がユーザーに送られてきた時点でバックアップ電池が切れてしまっていても、無償で電池交換に応じるというから安心だ。中古ゲームショップでバックアップ電池まで保証しているところは珍しい。これだけでも購入に対する不安はかなり減るだろう。

 このように品質の高い中古ゲームを販売する「ファミコンデパート」だが、その一方で、「お買い得セット」と題して“訳あり・難あり”商品をまとめたセットも期間限定で売っている。多少カセットが痛んでいてもかまわないという人は、「お買い得セット」の売り出し時期をチェックしてみるのもおすすめだ。

 中古品でありながらも、できるだけ品質の高いものをユーザーに提供しようという心意気が感じられる「ファミコンデパート」。後編では、オープン当時から今日までの話や、このほかの取り組みついてご紹介しよう。

品質についてのこだわりもWebサイトに掲載数量限定で「お買い得セット」も不定期で販売




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2009/11/26 06:00  
碓氷 貫
フリーライター/編集者。Eコマースや地図サービス、データベース・コンテンツなど、Webサイトの価値を高めるさまざまなサービスをテーマに活動している。地図やハンディGPSを片手に街や山を徘徊する一方で、通販サイトでお買い得品をチェックすることにも余念がない。