エンジニア御用達のケーブル専門ショップ
「ケーブルダイレクト」(後編)
■他店にはないユニークなオリジナル商品
ケーブルの特注を1本からでも注文できる「ケーブルダイレクト」だが、複数の顧客から同じような注文が重なった場合、既製品として商品化してしまうことも少なくない。
「同じような要望を多くのお客さまからいただくと、すぐに商品化して新しい商品として出したりしています。結果的に、市販されている商品とは違ったものが数多くあります。」(田中さん)
特注品は法人からの注文しか受け付けていないが、それらの注文からフィードバックされて生まれたオリジナルの新商品は、個人でも購入できる。中には他店ではまず見られないようなユニークな商品も多い。
その1つが、パネルマウント形状のコネクタを採用したUSBケーブルだ。壁面などに取り付けられる中継ケーブルとして便利な製品で、AメスとBメスの両タイプが用意されている。コネクタの両端に取り付け穴が装備されたこのケーブルは、ふつうの店はまず見られないようなユニークな商品だ。最近はUSBから電源を取る機器も増えているので、家庭でもUSBの差し込みコンセントなどがあれば重宝するのではないだろうか。
「LANケーブルについても、同じようなコンセプトの商品があります。もちろん弊社で企画する場合もありますが、最近はお客さまのほうから『こういう商品はないか』という相談が毎日のように来ますので、そのようなご要望を蓄積していくと、このようなユニークな商品ができるわけです。」
パネルマウントのコネクタを使ったUSBケーブル | LANケーブルも用意 |
■自由にカスタマイズ可能なAVコンセント
もう1つ注目したいのが、ケーブル付きのAVコンセントだ。BNCメスコネクタを3個装備したものや5個装備したもの、RCAメスコネクタを5個装備したもの、S端子1個とRCAメスを2個装備したものなど、多彩なラインナップとなっている。これらはコネクタがモジュール化されており、ユーザーが使いたい端子だけをピックアップしてカスタマイズできる。
このほか、HDMIやDVI-D端子のコンセントも用意している。これらは住宅内配線のほか、デジタルサイネージ(電子看板)の設置にも利用できるコンセントだ。
「このような商品は日本にはほかにないと思いますね。LANのコンセントは増えてきましたが、AVケーブルを接続するためのコネクタは他店ではあまり手に入らない商品だと思います。弊社のAVコンセントなら、USBやHDMI、光ファイバーなど、さまざまな端子が出たコンセントを自分で組み合わせて作れるわけです。」
「たとえばホームシアターを楽しむ場合などは、オーディオとケーブルと映像用のケーブルがどうしてもゴチャゴチャになってしまうので、このような配線をきれいに整理したいというニーズは十分にあると思います。あとは会社の会議室用にもいいでしょう。最近はプロジェクターとPCを使って会議することも増えてきましたので、そういう意味でも便利な商品だと思います。」(田中さん)
企業だけでなく、学校などに導入する設備としても最適だと田中さんは語る。
「教育の現場でも、大きなディスプレイを使うことで、生徒1人1人の書き込みを表示することが考えられます。経済状況が厳しい世の中ですが、このような用途は今後も増えていくと思います。」
「これは壁に取り付けるタイプですが、いずれは配線ボックスのようなものを用意して、ワンタッチでつなぎ替えられるようにしたいですね。ケーブルに限らず、“配線”ということで広くとらえて、いろいろと便利な商品を出していきたいと思います。」(田中さん)
田中さんは「ケーブルダイレクト」を始める前は電子部品の通販を扱っていたので、自ら売れそうなオリジナル商品を作ることもあるが、ユーザーからのリクエストによって生まれた商品のほうが圧倒的に多いそうだ。
ケーブル付きAVコンセント | HDMI用のコンセントもある |
■サイト上で設計図を作成できるプロ向けサイト
一方で、特注ケーブルの中でもD-Subに特化したオンラインショップとして、「CABLING ONLINE」というサイトも提供している。ここではD-Subケーブルの結線や長さを自由にオーダーできるほか、異芯数同士の組み合わせや、MILソケットコネクタとセントロニクスコネクタとで組み合わせたケーブルなど、特殊なケーブルを自由に設計できる。
ユニークなのは、Webブラウザ上で設計図を描ける点だ。トップページから「1対1ケーブルを設計」もしくは「1対2ケーブルを設計」のいずれかのボタンをクリックすると、設計画面が表示される。右側のメニューからコネクタや電線の種類を選んでいけば、自分に最適なケーブルを設計できるという便利なツールだ。コネクタの選択はカタログの写真を見ながら選べるので非常にわかりやすい。
また、長さも自由にカスタマイズできるし、オプションにフェライトコアも装着できる。はじめから新しくケーブルを設計する「新規設計」と、過去に自分が設計した履歴を検索して、アレンジし直すことができる「改造設計」の2種類から選べるので便利だ。
「AVケーブルの場合は、結線は決まっていて長さを変えるだけの特注が圧倒的に多いので、わざわざこのような専用サイトを立ち上げる必要はありませんが、工業系のケーブルだとお客さんによって結線なども違うので、このように簡単に設計できるツールを提供することにしました。」(田中さん)
作成した設計図は、PDFファイルとしてダウンロードできる。見積書の印刷や注文書の作成なども可能なので、企画書などに添付する資料としても使える。D-Subケーブルを多用するエンジニアにとっては、要注目のサイトといえるだろう。
CABLING ONLINE https://www.cabling-ol.net/cablingonline/ | Webブラウザ上で設計図を作成可能 |
■宅内配線の専門ショップを新たにオープン予定
実は現在、田中さんは「ケーブルダイレクト」と「CABLING ONLINE」のほかに、もうひとつ新たなサイトを立ち上げようと計画中だ。サイト名は「ホームワイヤリング」。その名の通り、宅内配線を扱う専門サイトだ。
「ホームワイヤリングの商品は、すでに『ケーブルダイレクト』の中で販売をしているのですが、わかりにくいのでサイトをわけて提供しようと準備中です。」
「ホームワイヤリングの分野は、これからどんどん伸びていくと思われます。これだけフラットパネルのディスプレイが安くなって、しかも大量に使われる時代ですからね。やはり、そのようなディスプレイをうまく配置して見せようとすると、配線をどうするかという問題は出てきますので、ケーブルを含めた配線器具を提案していけば、お役に立てるんじゃないかと思いました。」(田中さん)
前述したような、自由にカスタマイズできるAVコンセントなどは、まさにこのような分野には最適の商品だ。
「弊社のAVコンセントなら、お客さまが自由にコネクタを選んで組み合わせられます。さらにその上で、ひとつのソースから多数のディスプレイに分配したりするようなケースは今後ますます増えることが予想されます。『ホームワイヤリング』としてサイトを独立させることで、そのような次世代に合った商品を提供していきたいですね。」(田中さん)
接続ケーブルは、ネットワーク回線の容量アップや、AV機器やPCの規格の変化に合わせて、常に進化を続けてきた。「ケーブルダイレクト」はこのような変化にいち早く対応することで、幅広い層の顧客のニーズに応えている。エンジニアはもちろん、ケーブルや配線にこだわっている個人ユーザーも、覚えておいて損はないサイトだといえる。
提供準備中の「ホームワイヤリング」 |