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[2004/03/05]
第2回:「ブログ」が「日記」じゃない理由
[2004/02/27]
第1回:みんながハマる理由は舞台裏にある!!
[2004/02/19]

今こそ始めよう! 春からのブログ入門

第2回:「ブログ」が「日記」じゃない理由

山田貞幸

 「ブログは日記だ」と、非常にざっくばらんな解説をされることがあります。あながち間違いともいえないのですが、例えるならば「犬はチワワだ」といっているようなもので、これだけでは、チワワよりもずっと大きなセントバーナードや、愛玩用としてだけでなく人間のパートナーとして働いてくれるドーベルマンのような存在を見落としてしまう可能性があります。


「フィルタ」というブログのスタイル

 じゃあ一体ブログと日記はどこが違うのさ? という疑問をお持ちの方のために、ひとつのブログのスタイルを紹介します。

 「フィルタ」と呼ばれるスタイルは、じつにブログらしい特徴を持った書き方だといわれます。フィルタ型ブログの記事は、Webサイトの紹介と、そこに添える簡単なコメントで構成されます。例えばこんな感じです。


(ジョンのブログ)

タイトル:やっぱり日本人にヤンキースの4番は無理さ

ヤンキース敗れ、ワールドシリーズ優勝を逃す(日刊ニューヨーク新聞より)
レギュラーシーズンではそこそこの結果を残したマツイだが、ワールドシリーズにおいては4番に座っても無安打だった。やはり日本人に伝統あるヤンキースの4番は無理さ。トーリ監督は日本人ファンへのサービスが過ぎる。

 日刊ニューヨーク新聞のサイトにある記事を紹介し、自分の意見をコメントとしてつけています。今度はこのブログを見た他の人が自分のブログでこの記事を紹介するとひとつの話がどんどん繋がっていきます。


(マイケルのブログ)

タイトル:マツイはよくやった

ジョンのブログでやっぱり日本人にヤンキースの4番は無理さという記事があったが、オレはそうは思わない。ワールドシリーズではたまたま打てなかっただけだ。そしてヤンキースが負けたのは投手力の差が原因だった。マツイやジーターはじめヤンキースナインには、来年また頑張ってほしいね。

 また、別の例として、


庭に塀を作りました(田中さんの日記より)
へぇ~。

 ……と、こんなのでも一応「フィルタ型ブログ」ではあります。読者の反応は冷たいでしょうが。


自分のサイトだけで完結しない、Web上の広がりが「ブログ」

 この「フィルタ型ブログ」と、いわゆる「ホームページの日記」には、こんな違いがあります。

1:日々の出来事や思ったことなどを書くのが日記の基本だが、フィルタ型ブログは「Webで見つけたこと」を書くのが基本

 フィルタ型のブログでは、根本的に書くことが日記とは違うわけです。「毎日変わりのない暮らしをしてるから、ホームページに日記なんか作っても書くことないんだよね」とか、「わざわざプライベートをネットで公開するなんてイヤだわ」と思っていた人も、仕事に関係のある情報を集めてみたり、気になるニュースに対して自分の考えを書いてみたりと、日記とは違う目的を持って始められると思います。

2:日記は基本的に自分のサイト内で完結するが、フィルタ型ブログは、紹介したサイトや、自分のブログを紹介するサイトとの繋がりがある

 日記は、基本的には紙に書いていた日記をそのままWebに載せ替えたものです。これ対してフィルタ型ブログはWeb上の繋がりを前提として作られるもので、Webだからこそ可能な表現形態といえます。

 従来の日記ホームページによるコミュニケーションの形は「自分のページの日記を見に来てくれた読者とのコミュニケーション」が主でした。ブログの場合はこれに加えて、サイト(ブログ)間の繋がり、ブログの書き手同士のコミュニケーションも大きな比重を占めるようになります。

●ブログとサイトを繋げる「トラックバック」

「サイト間の繋がり」について詳しく理解するために、サイトとサイトを繋げるシステム「トラックバック(track back:リンク経路をさかのぼる、というような意味)」について説明しましょう。

 先に挙げた例を見ると、マイケルのブログからジョンのブログを紹介するためリンクを張っています。これによってマイケル側の読者はジョンのブログを読めますが、残念ながらジョン側の読者は、マイケルの存在を知ることができません。

 ジョンのブログからマイケルのブログを知ることができれば、双方向のコミュニケーションが成立します。これを実現するのが「トラックバック」です。

 マイケルがジョンのブログを紹介するとき、記事を書き込むのと同時にマイケルのブログツールからジョンのブログツールに向けて「紹介したよ」と知らせる信号(「トラックバックping」と呼びます)を送ります。するとジョンのブログツールでは「マイケルのブログがこの記事に言及した」ということを記事の後ろに書き足し、自動的にマイケルのブログへのリンクを張ります。こうすると両方のブログ間で相互リンクが成立し、互いの読者(作者も)は互いの記事の存在を知ることができるようになります。

トラックバックはブログツールと一緒に登場した特徴的な機能のひとつであり、今後さまざまな場面で応用されるようになるでしょう。

すでにトラックバック機能を装備したWebサービスがあります。ビデオレンタルサービスのlivedoorぽすれんでは、各作品の紹介ページにトラックバックが送れるようになっています。あなたがブログでビデオのレビューを書いたときに(もちろん、livedoorぽすれんで借りた作品でなくてもかまいません)作品紹介ページにトラックバックを送れば、livedoorぽすれんでビデオを探している人があなたのレビューの存在を知り、その作品を借りるか借りないかを判断する参考にするかもしれません。

 Webでコミュニケーションをするシステムといえば従来は「掲示板」が主でしたが、トラックバックは、新しい考えによるコミュニケーションシステムであり、Web上の人の流れを変える可能性も持っています。

 たとえば、ある映画についての口コミ情報を集めたいと思った場合、今までなら検索エンジンで「ラストサムライ 感想」のようなキーワードで検索するのが一般的でした。でもトラックバックが広く普及すれば、映画の公式サイトからトラックバックによって皆の感想を読むことができるようになるかもしれません。それは難しいとしても、有名な映画ファンのブログからトラックバックを辿って、たくさん人の感想を集められるようになるでしょう。こうなると「何かを知りたいときは、まず検索」という現在のWeb利用法が、少し変わってくるかもしれません。


自分のスタイルで書けるのもブログ

 今回は「フィルタ」というブログのスタイルと、それを支える「トラックバック」を紹介しました。前回簡単にお話ししたように、この連載では、ブログという記事は「日記」の上位概念だと捉えています。

「ブログ」とは「Web上に日々つけられていく記録」というような意味の言葉です。上の画面写真にあるページのように、日々(毎日とは限らなくても)更新されていくウェブページであれば、あらゆるものがこの定義に入るといえます。 (前回の記事より)

 つまり、図のような感じです。ブログのスタイルはさまざまで、フィルタ型だけがブログというわけではありません。日記とフィルタの混合体のような書き方をしている人もいますし、カメラつき携帯電話から写真と短いコメントを投稿するブログは「モブログ(モバイル+ブログから生まれた言葉)」と呼ばれています。

 いつもはフィルタで出張のときはモブログにしてみたり、あえて従来の日記風に書いてみたり、自分の好きなスタイルで自由に書けるのも、ブログのおもしろいところです。

(2004/02/27)
山田貞幸
 ホームページを作ったり、ホームページ作りに関する原稿を書いたりしています。近刊「低予算で「効く!」Webサイトの作り方
ホームページ:http://www.heartlogic.jp/
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