ブログは「個人のジャーナリズム」だといわれることがあります。これはブログの一面を現わしたもので、実際に、個人のブログに書かれた記事が大手新聞社のニュースと同じように世論を動かす影響力を持つこともあります。
また別の面から見れば、影響力はさておき個人的な日記やちょっとした思いつきなどを何でも自由に書いておける、とにかく気楽なメディアである、という特徴もあります。
今回は後者の「いかにブログが簡単で気楽なものか」をお話ししたいと思います。今までホームページのコンテンツを作るのは難しいというイメージを持っていた方も、ブログはもっと高尚なものだと思っていた方も、これを読んだら「これなら私にもできそうだ」と感じていただけると思います。
■記事を書くだけで、ツールが自動的にサイトを整理!
多趣味な人が作るホームページによくある失敗パターンとして「コンテンツが多すぎるが、どれもあまり更新されていない」というものがあります。
読書が好きで映画も好きでサイクリングも好き、というような人は「ブックレビュー」、「映画の感想」、「サイクリング日記」と多数のコンテンツを作ってしまいがちですが、ページが多いためにメンテナンス性が悪く更新作業が大変になります。読者としても多数に分かれたページの更新をチェックするのは大変で、だから人気も出ないという「がんばって作っているわりに報われないサイト」の典型的なパターンになってしまいます。
ブログツールは、こんな人にこそ打ってつけです。すべて同じ編集フォームに書き込めばいいので更新は簡単になり、メンテナンス性が大いに向上。どんなカテゴリも最新記事はひとつのページにまとめて表示されるので、読者としても更新がチェックしやすくなります。ツールが自動的にカテゴリごとのアーカイブ(バックナンバー)を作ってくれるので、多趣味な人でもきちんと整理されたコンテンツを持つことができます。
また、ホームページで日記を書いた経験のある方なら、バックナンバー整理の面倒さは身をもって実感されていることでしょう。単純にこの作業から解放されることだけでも、ブログの意義は十分にあると思います。
■出先からでも鮮度を逃がさずすぐブログ!
あらゆるネタには「旬」があります。たとえば旅行に行ったら、ホームページに旅行記のコーナーを作りたいと考える方は多いでしょう。しかし従来の手法では、ページのデザインや構成を考え、さらにメニューの中でどこにリンクを置くか、画像を使うならどの素材にしようか……などと面倒なことが多くて、肝心の旅行記を書く前に飽きてしまったり、記憶が新鮮さを失ってしまったり、ということがよくありました。ただでさえ旅行中や旅行後は忙しいですから、面倒になって旅行記作りは断念してしまった、という経験をお持ちの方も多いでしょう。
ですがブログツールを使っていれば、旅行記用に新しいカテゴリ(「2004年3月沖縄旅行記」のような)を作って、記事を書いていくだけでOK。モブログ機能を持ったブログツールに携帯電話からメールを送れば、リアルタイムの旅行記だって可能になります。
ブログツールを使えば記憶が新鮮なうちにすぐ記事にでき、作業にとられる時間が短いため、そのぶん旅行も満喫できます。また読者としても、新鮮な写真やレポートが見られるため楽しみを共有しやすくる、という効果もあります。
|
Kung-Fu[モブログ・カンフー]
http://www.m-kungfu.com/
携帯からブログに投稿された写真を一覧で見られるサイト。リアルタイムで更新されるため、リロードのたびに次々と新しい写真が表示されます。これだけたくさんの写真が投稿されるのも、モブログという手軽なシステムがあればこそ。もっと面倒なシステムだったら、私たちが見ることはできなかったかもしれません
|
◇ 作り込み重視の人も、速報ツールとしてブログを! ◇
|
ブログツールは便利なものですが、そのかわり各ページのデザインにはあまり凝れない(同じフォーマットを使うだけ)という欠点もあります。とはいえブログツールの「簡単に記事が書けて、すばやく公開できる」という速報性は大きなメリットです。Webでは「デザインはきれいだが情報が遅い」より、デザインは簡単でも情報が公開されていることに大きな意義があるのです。
そこで、デザインを作り込める従来の作成手法と、速報性が高いブログのいいところをミックスして、自分のサイトに取り込むことを考えてみましょう。新しい記事はブログに書き込み、作り込んだ美しいデザインで残したい記事については、ブログの記事データを再加工して、あらためてHTMLを作るのです。
こうすると記事に2回手が入るため、記事のクオリティが上がる効果も期待できます。ブログに書いた新鮮な記録を読み直して、後になっても記憶に残っている部分をクローズアップした補足を加えることで、記事に深みが出るはずです。
|
■気まぐれ不定期更新だって、みんな読みに来てくれる!
従来のホームページでは「定期的に更新する」ことが、読者を掴むために重要なポイントでした。ホームページに実際にアクセスしないと更新されたかどうかがわからない→アクセスしたときに更新されていないとガッカリして読者が定着しない→定期的に更新していれば読者が定着しやすい、というわけです。
ところが前回も紹介した「ブログロール」や更新通知システムを持つブログでは、定期的な更新が、今までほど重要なポイントではなくなりました。不定期に更新しても、気にしている人はすぐに発見して見に来てくれるでしょう。更新通知があることで「更新しなくちゃ」というプレッシャーは、ずっと軽くなります。
■コミュニティの「つながり」に期待して、気軽に話題を振ってみよう!
ホームページに載せるひとつの記事は、導入から結論まで、いわゆる「起承転結」が揃っているのが基本です。でも、時には結論が簡単に出せない疑問や断片的な思索、ふとした疑問など、完結しないことが思い浮かぶこともあるでしょう。
こんなときにも記事として完成されていないことを気にせず、とりあえず書いてみることで新しい展開があるかもしれません。ブログツールには、コメントやトラックバックという強力なコミュニケーション機能があるため、普通のホームページよりもコミュニケーションが広がりやすいという特長を持っています。興味を持った人が関連する情報や意見を寄せてくれ、そこから結論が得られる可能性もあります。
アクセス数の少ないブログでも、悲観する必要はありません。みんなが興味を持つ話題だったら、多くの読者を持つ人気ブログの書き手が取り上げてくれる可能性もあります。逆に誰にも興味をもたれなかったら、やっぱり無視されてしまうわけですが……。
過去に自分が書いた疑問に、自分で答えを出す、というパターンもあります。ちょっとした疑問や断片的なことは、記録しておかなければそのまま忘れてしまい、何も残らなくなってしまうもの。それでもブログに書けば、何かに繋がる可能性があるのです。
◇ 酔っぱらってもブログは書ける!? ◇
|
ちょっとした思いつきも、旅先のスナップもその場で書けるのがブログの魅力。では酔っぱらっているときにも書けるかな? というのが「泥酔ブログ」。前回紹介したBlogPeopleの運営者としても知られる、Modern Syntaxのnagasawaさんがときどき書いており、最近はほかにも泥酔ブログを書く人が増えているようです。
|
「泥酔ブログ」とは、その名の通りお酒を飲んで酔っぱらった状態で書くブログ。nagasawaさんがこれを始めた理由は、ブログは難しいものだと思われないよう、「こんな記事もアリなんだ」と思ってもらえるように、ということがひとつ。「誤字、脱字、文脈、テーマと、そういったことはどうでもいい。まずは書いてみようよ」という提案として書いてるそうです。
酔っぱらった状態で書いたことは自分でも覚えていないので、翌日に読み返すと自分でも楽しめる、というのがもうひとつの理由で、一読者としてしみじみ「ああ、モダシンっておもしろいなあ」と実感することもあるとか。
ただ、翌日読んで青くなるような記事を書いてしまわないよう、酔い加減をコントロールをするテクニックも「泥酔ブログ」には必要なようです。
|
■とにかく書かなければ始まらない!
おそらく、私たちがブログを運営することの最大の意義は「書きたいことをいつでも気軽に書ける場を持つ」ことです。いつもは誰も興味を持たない独り言ばかりのブログでも、ある日書かれた記事のひとつが、大きな波紋を呼ぶことになることがあるかもしれません。また、備忘録がわりにちょっとメモしたことが、他の人にとっては大発見となるかもしれません。それをきっかけにして有名人になったり、新しい友達が増えたり、といったことも起りえます。
しかし、こうしたことも、まずブログを始めて、続けていかなければ絶対に起らないのです。ブログの記事は玉石混淆でOK。大事なのは、ブログを始めて、気負わずに続けてみることです。
(2004/04/02)
|