今回はRSSリーダーの紹介の続きです。それから、RSSの応用テクニックをいくつかご紹介します。基本的にはニュースサイトやブログの更新チェックとして使えるRSSですが、たくさんのRSSを集めて加工することで、さらに便利な使い方が考えられます。
■ツールバー型
Webブラウザのツールバーとして機能するタイプです。RSSリーダーでは記事の概要を読むことができますが、記事そのものを読むためにはWebブラウザを立ち上げて記事本文にアクセスする必要があります。いつも記事本文にアクセスしたい方なら、ツールバー型が最適だといえます。
見出しの一覧性はメーラー型ほどではありませんが、チェックするサイトがそれほど多くない人なら、不満を感じることはないでしょう。
|
ReadOne IE版
http://www.readone.net/
フリーソフトウェア
IEのエクスプローラーバーとして起動するRSSリーダー。ユーザーがどの記事をクリックしたかを記憶して興味があるニュースを分析し、ユーザーが読み込んでいないRSSにも「興味のありそうなニュース」を発見した場合は自動的に表示してくれるのが特徴。Web版もあり、同等の機能が利用できます。
|
■Webサービス型
Webブラウザで、サービスを提供しているサイトにアクセスしてRSSを読むタイプです。Webサービスなので端末の環境に依存せず、会社からも家からもモバイル環境からでも、MacOSでもWindowsでも同じRSSリーダーが利用できるのが利点で、多数の端末を使い分けている方には便利です。ただ、サーバーが重くなると使いにくく、落ちてしまうと使えない、という欠点もあります。
|
|
パイポリーダー
http://www.paipo.cc/
フリーソフトウェア
ブログサービス「JUGEM」を提供しているpaperboy&co.社長の家入氏が作ったRSSリーダー。いくつかのユニークな機能をもっており、「パイポティッカー」は自分のサイトにRSSティッカーを設置できる機能。「パイポメール」は指定されたメールアドレスにメールを送ると、それをRSSに変換してくれます。たとえばメールマガジンの受け取りアドレスをパイポメールにすれば、RSSリーダーを使ってメールマガジンが読めるようになります。
|
【参考】Bloglines
http://www.bloglines.com/
フリーソフトウェア
Bloglinesは、海外のWebサービス型RSSリーダーです。もちろん英語です。しかしユニークな機能で日本でも人気の高いサービスなので、ご紹介しておきます。
さまざまな機能がある中でも、もっとも魅力的なのが「Notifier」機能。トップページ下部にある「Download Notifier」をクリックすると、Windows/MacOS用の更新通知ソフトをインストールできます。このNotifierはタスクバーのインジケーター領域(Windows XPの場合)に常駐し、新しい記事があるとすぐに知らせてくれます。いちはやく最新情報をチェックしたい人にはもっとも強力で、デスクトップ領域も圧迫しません。
|
■RSSを加工したRSSを読む
ここからは、いくつかRSSの応用例を紹介しましょう。
RSSの使いみちは、そのまま読むだけではありません。たとえばBlogPeopleでは、更新通知が送られてきたブログの情報や、バースデーブログ(その日、誕生日を迎えた書き手のブログだけをピックアップしたもの)のRSSが提供されており、例えば更新情報をティッカー型RSSリーダーに登録すれば、デスクトップに次々と新しいブログの見出しが表示されることになります。
Myblog japanでも同様に更新情報が提供されているほか、気になるニュースをクリップするサービス「MyClip」でクリップされたニュースのRSSもあります。
FeedBackはブログのRSSを集めてキーワード検索ができるサービスですが、最新の検索結果をRSSとして取得できます。これを応用して、たとえば「『インプレス』の検索結果のRSS」をRSSリーダーに登録しておくことで、RSSリーダーを開くたびに常に最新の「インプレス」というキーワードを使った記事を読めるようになります。
このように、RSSを集めて加工し、別の意味を持ったデータに加工して再利用しやすいことも、XMLがベースになったRSSというメディアの大きな特徴です。
■RSS非対応のニュースもRSSに
このように急速に普及するRSSですが、Web全体から見れば、まだRSSを提供しているサイトは少数派です。非対応のサイトもRSSリーダーで読みたい! というときに役立つのが、こちらのMyRSS。あらかじめ登録しておいたサイトの更新をチェックし、それをRSSにしてくれます。またメールとして送ってくれる機能もあり、最新ニュースのチェック用にたいへん重宝します。
■RSSからAtomへ
最後にRSSの将来について、少し触れておきましょう。実は、RSSは背後にかなり複雑な事情を抱えています。
RSSにはいくつかのバージョンがあり、日本ではRSS 1.0がもっとも普及しています。最初に「RSSは『RDF Site Summary』の略である」と説明しましたが、実はこれはRSSの数あるバージョンのうち、1.0と0.9だけを指すもので、ほかのバージョンでは「Rich Site Summary」や「Really simple Syndication」の略とされています。海外のニュースなどでときどきRSSの解説が異なるのは、このためです。
RSSはもともと「サイトの概要」をシンプルに記し、さまざまなアプリケーションで利用できるようにためのものでしたが、便利に使うためにはたくさんの情報が入った方がいいとか、いやいや本来の書式でシンプルに書くべきだとか、さまざまな考えを持った人たちが独自に拡張し、バージョン番号もそれぞれがつけたため、各バージョンの仕様が互換性を持っておらず、このように名前すら統一されていないのです。
とはいえ、多くのRSSリーダーは各バージョンのRSSそれぞれに対応しているため、実際には私たちがこのような複雑な問題を意識する必要は、ほとんどありません。
RSSは仕様のばらつきがあるとはいえ、基本的にはサイトの「概要」を作るための言語です。この「概要」とはつまり、何千、何万文字もあるデータを扱うのは大変だから要点だけ抜き出してデータ容量を減らしましょう、という意味があるわけですが、ブロードバンドの普及やコンピュータの高機能化に伴い、別に「概要」である必要はないのではないか、コンテンツをそのまま持ってきてもいいのではないかという、根本的な部分でRSSの存在意義を揺るがす疑問が浮き上がってきました。
こうした中で「概要ではなくコンテンツそのものをXMLで提供する」、そして「統一された書式を開発する」という目的から、新しい「Atom」というものが生まれています。日本のブログサービスでもlivedoor Blogやココログ、JUGEMがAtomの提供を初めており、1年後、または数カ月後には、AtomがRSSに取って代わっているかもしれません。
とはいえ、そうなったらそうなったで、現在の多くのRSSリーダーは自動的にAtomにも対応してくれるでしょうから、私たちはAtomとRSSの違いについても、それほど気にする必要はないでしょう。ただAtomが主流になることで、RSSリーダーの表現力が向上する、といった違いが生まれることは考えられます。
(2004/04/23)
|