【CEATEC JAPAN 2009】
DLNA講演、Windows 7で強化されたホームネットワーク機能を解説


 CEATEC JAPAN 2009で9日、「ホームネットワークで更なる融合を遂げるDLNA」と題した基調講演が開催された。講演では、各種コンテンツをPCや家電でネットワーク共有する「DLNA」の位置づけに加え、10月22日に発売する「Windows 7」が持つDLNA関連機能が紹介された。

DLNA認証機器は5500種類以上に増加

パナソニックの安部美乃夫氏

 基調講演ではまず、パナソニックのプラットフォーム開発センター ソフト要素開発グループに所属する安部美乃夫氏が登壇。規格策定当初から携わったDLNAについて、その概要を改めて解説した。

 DLNAの規格策定は、2003年6月の団体設立に合わせてスタートした。翌2004年6月には「DLNAガイドライン 1.0(DLNA 1.0)」を発表。その後、DLNA対応機器向けのロゴ認証プログラムの開始を経て、「DLNAガイドライン 1.5(DLNA 1.5)」を公開した。そして、現在は「DLNAガイドライン 2.0(DLNA 2.0)」の正式策定に向けての作業を進めている段階という。

 「DLNA 1.0」の段階では、サーバー上のデータをプレーヤー側で参照する「2-Box Pull」という仕組みを策定していたが、「DLNA 1.5」ではモバイル機器にも対応範囲を拡張。さらにサーバー側の操作でプレイヤー機器へコンテンツをプッシュ配信するための「2-Box Push」、メディアの複製や移動を規定する「Upload」や「Download」などの用途をサポートした。

 ロゴ認証プログラムの実施機関は米国や日本(横浜市)、ベルギー、台湾の4カ所に設置されおり、これまでに「DLNA 1.0」と「DLNA 1.5」の機器を合わせて5500以上の機器がロゴを取得したという。安部氏は「認証を取得する機器の約半分が『DLNA 1.5』に対応している」と説明。また、「DLNAの目的である『つながることによって広がる楽しさ』がより身近になった」と補足した。

 現在策定作業中の「DLNA 2.0」では、リモートユーザーインターフェイス機能、コンテンツ同期機能などに関する審議が終了済みという。安部氏は、番組表機能や録画機能に関する審議を残すのみとなっていることを明かした。


DLNA 1.5の使用例。「2-Box Push」を含む4種類の用法が規定されたDLNA 2.0で拡張される予定の機能。番組表および録画機能以外はすでに審議が終了したという

Windows 7はDLNA 1.5対応。外出先からのメディア利用がより簡単に

マイクロソフトの森洋孝氏

 講演の後半では、マイクロソフトのコンシューマー&オンラインマーケティング統括本部に所属する森洋孝氏が、10月22日に発売予定の最新OS「Windows 7」を紹介。この中で、「DLNA 1.5」への対応など、従来OSから強化されたホームネットワーク機能に関するデモを実施した。

 ホームネットワーク機能に関して森氏は、「Windows 7」で標準搭載するメディアプレーヤー「Windows Media Player 12」で、メニュー内のわかりやすい位置に共有切替ボタンを配置するなど、映像や音楽コンテンツの共有がより手軽に利用可能になったと紹介した。

 また、DLNAに対応したAVアンプなどで再生したい音楽ファイルを、PC上から選択できる「リモート再生」に関しても、マウスの右クリック操作で簡単に実効できるという。森氏は、ネットワーク接続したオンキヨー製のAVアンプを例に、PCから数クリックの操作で音楽再生を指示できるデモを披露した。また、「Windows 7」では標準でサポートするメディアフォーマットも拡大し、これまで専用デコーダのインストールが必要だった「DivX」などの再生にも標準で対応したという。

 新機能の中で、森氏が特に利便性を強調したのが「リモートメディアストリーミング」だ。これは、自宅に保存している映像コンテンツなどを、外出先からインターネット経由で再生できる機能で、森氏は「これまでもルータの設定などをすれば利用できたが、Windows 7では『Windows Live ID』のIDとパスワードを入力するだけで設定が完了できる」と説明。聴衆に対して、「ぜひ1度試して欲しい」と呼びかけた。

 「Windows 7」で大幅に利用しやすくなったDLNA機能だが、それらをフル活用するためには連携機器側が機能用件を満たしている点も重要となる。森氏は具体的な製品選びの際には、DLNAとWindows 7双方の認証ロゴが取得されているかを参考にして欲しいとアドバイスしていた。

 最後に森氏は、「Windows 7の登場によって、PCでより多くの“体験”が可能になるだろう」とコメント。その上で、「DLNA 1.5への対応で、PC以外のさまざまな機器と連携できる世界がさらに身近になるはず」と述べ、新しいOSがもたらす可能性を強調し、講演のまとめの言葉とした。


Windows 7で目指した機能DLNA1.5に対応。ホームネットワーク機能が強化された
「リモートメディアストリーミング」によって、ルータ設定の手間なく、外出先からコンテンツを楽しめるWindows 7を実際に操作してのデモも行われた

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(森田 秀一)
2009/10/9 19:55