Webサーバー機能入りで、実売8000円の130万画素Webビデオカメラ


「ServersMan Scooop by EXEMODE」の前面(左)と背面(右)

 フリービットは8日、130万画素の低価格Webビデオカメラ「ServersMan Scooop by EXEMODE」を、エグゼモードから発売すると発表した。フリービットが開発した“何でもサーバー化ソフト”である「ServersMan mini」をバンドルしており、撮影した動画をWebサイトにアップロードすることなく、カメラ内から即座にインターネットに公開できるのが特徴。オープン価格で、予想実勢価格は8000円前後。発売日は7月下旬ごろの予定。

 「ServersMan Scooop by EXEMODE」は、ストレートタイプの携帯電話をひとまわり大きくしたようなサイズ(具体的なサイズ、重量は追って発表)で、前面に2インチTFT液晶やコントロールボタン、背面に130万画素のCMOSカメラを備え、縦に構えて撮影するスタイル。動画は、VGA(640×480ピクセル)/30fpsのMotion JPEGでSDカードに記録され、最大8GBのSDHCカードに対応する。「ServersMan mini ver.2」が入ったSDカードが付属しており、これを使うことでカメラのストレージがWeb上に公開される仕組みだ。

 具体的には、動画撮影後、インターネットに接続したWindows PCに「ServersMan Scooop by EXEMODE」のUSB端子を接続すると、SDカード内の「ServersMan mini」ソフトウェアが立ち上がり、Webサーバーが起動。PCに表示される同ソフトの管理画面で公開したいフォルダなどを設定することで、SDカードに保存されている動画ファイルがインターネットから視聴できるようになる。

 なお、このWebサーバーにはIPv6アドレスと、「http://serversman.net/<アカウント名>/」というURLが割り当てられており、フリービットが運営するゲートウェイを介して、通常のIPv4インターネットからアクセスできるようになっている。そのため、「ServersMan mini」でWebサーバーを公開するにあたってはアカウント登録(無料)が必要で、製品購入後、最初に「ServersMan Scooop by EXEMODE」をPCに接続した際にアカウント登録ページに誘導される。

 動画は、「ServersMan mini」で公開する方法のほか、YouTubeなどにアップロードする機能も用意する。ただし、「ServersMan mini」での公開に比べてアップロードに時間がかかるほか、YouTube側でフォーマットを変換するタイムラグも考慮しなければならない。その点、「ServersMan mini」では撮影したばかりの動画を即時公開できるのがメリットとしている。YouTubeのほか、PicasaやFlickrなどへの対応も予定している。


USB端子はスライド式になっており、本体内に格納できる(写真はモックアップ)「ServersMan Scooop by EXEMODE」をPCに接続すると、「ServersMan mini」が起動し、サーバー管理画面が開く

「ServersMan mini」のサーバー管理画面公開するフォルダの確認画面YouTubeへの同時アップロードも可能

 インターネットでの動画共有を想定して機能を絞ったビデオカメラは“ウェブカムレコーダー”などと呼ばれ、米国のブロガーに人気で、メディア配信のあり方を変えつつあるという。フリービットでは、ウェブカムレコーダーと「ServersMan mini」を組み合わせることで、「世界一シンプルなWeb放送局」が実現するとしている。

 フリービットは3月、デジタルカメラなどを開発するエグゼモードと資本・業務提携を行った。フリービットのIPv6仮想ネットワーク技術をデジタル家電に応用することで、“ユビキタス家電”化する取り組みを推進している。エグゼモードの既存デジタルビデオカメラ製品に「ServersMan mini」入りのSDカードをバンドルしたセットを、一部チャネルですでに販売していた。

 今回の「ServersMan Scooop by EXEMODE」は、本体の開発段階からフリービットがかかわったという。フリービットが基本方針の1つとして掲げる「ソフトウェアのハードウェア化」をかたちにしたものだとしており、こうしたデジタル家電を通じて、IPv6と仮想ネットワークによるクラウド技術を幅広いユーザーに普及させたい考えだ。

ServersManとNASを組み合わせ“プライベートクラウド”に

 ServersManシリーズは、デジタル家電用の「ServersMan mini」のほか、iPhone用とWindows Mobile用がすでにリリースされているほか、Android用の提供も発表されている。8日に開催されたフリービットの事業戦略説明会では、これに加えてNAS用プロダクトの投入も発表された。

 「ServersMan for NAS」は、LANに接続されたNASをIPv6仮想ネットワーク技術を用いてインターネットに公開できるものだ。Webサーバーだけでなく、メールサーバーやその他のサーバーの機能も持つという。ディスク容量は1TB~3TBで、RAIDのホットスワップにも対応。通常のNASとしてLANファイルサーバー機能と併用できるため、ファイルサーバーに置いたファイルをそのままWebで公開するといった使い方も可能だ。


「ServersMan for NAS」の試作機とロゴフリービットの石田宏樹代表取締役社長

 フリービットの石田宏樹代表取締役社長は、現在のクラウドサービスは「データがどこに保存されているかわからない怖さがある」と指摘し、「ServersMan for NAS」では、こうした問題を解消できるとした。すなわち、クラウドのメリットを保ちつつ、データの保有者と保管場所が一致した“プライベートクラウド”を、個人で構築できるソリューションだという。

 石田社長は、大容量と言われるGmailでも5GB程度にとどまるのに対し、「ServersMan for NAS」では、集中的なデータセンターモデルではなかなかできないテラバイト規模のディスクスペース拡張が、ユーザー側でHDDを買い足していくだけで、安価で容易に可能であることを強調。UPSと組み合わせれば、市販されている製品だけで「データセンターのいらない、ハウジング/ホスティング/コロケーションサービス」が実現するとしている。

 「ServersMan for NAS」は、一般的なNAS製品にファームウェアなどでインストールすることで利用可能。すでにメーカー1社から引き合いが来ているという。


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(永沢 茂)
2009/6/9 13:51