日銀調査、電子マネー発行枚数が1億枚突破。決済額は8172億円


電子マネーの発行枚数等

 日本銀行決済機構局は10日、2008年度における主要電子マネーの利用動向に関する調査結果を発表した。2007年度に続く2回目の調査で、今回対象とした電子マネーは、EdyとSuica、ICOCA、PASMO、SUGOCA、Kitaca、nanaco、WAONの合計8種類。

 調査によれば、電子マネーの発行枚数は2009年1月に1億枚を超え、3月末には前年度比30.3%増の1億503万枚。このうち、携帯電話搭載分は27.9%増の1205万枚になる。また、小売店等に設置された決済端末台数も増加し、2009年3月末で前年度比34.1%増の48.0万台だった。

 決済件数は前年度比37.8%増の11億1600万件で、決済金額は45.0%増の8172億円。1件あたりの平均決済金額は5.2%増の732円。また、月間決済件数・金額を電子マネー発行枚数で割ったカード1枚あたりの平均利用状況は、2009年3月中は月に0.98回、734円程度利用された計算になるという。ただし、発行済み電子マネーの中には退蔵・休眠状態にあるカードも少なくないと見られることから、日本銀行決済機構局では実際に利用されているアクティブなカード1枚あたりの決済金額はこの数倍の利用状況にあると推察している。

 電子マネーの発行残高(未使用残高計)は、2009年3月末で前年度比18.0%増の912億円。一方、カード1枚あたりの平均残高は9.2%減の868円と計算する。平均残高の減少に関しては、発行枚数の増加により退蔵・休眠状態にあるカードの比率が高まったことが考えられるとしている。

 発行残高を現金通貨と比較すると、電子マネーの発行残高は現金通貨全体(貨幣流通高+銀行券発行高)の0.11%に相当。また、民間銀行の預金を含めたマネーストックに対する比率は0.009%に相当するという。

 また、クレジットカードやデビットカードの利用状況とも比較された。それによれば、電子マネーの決済件数である11億1600万件は、クレジットカードの45億4700万件に及ばないものの、デビットカードの126万件を大きく上回る規模という。ただし、1件あたりの決済金額732円は、クレジットカードの7600円、デビットカードの6.1万円に比べて少額だとした。


電子マネー決算件数・金額推移小口決済手段の利用状況の比較

 日本銀行決済機構局は調査要旨として、IC型電子マネーの決済件数・金額は「電子マネー元年」と呼ばれた2007年度以降も、増加を続けていると分析。また、主要な電子マネーが利用可能な地域も全国的に広がっており、電子マネーが小口決済手段の1つとして一定の地位を占めつつあるという。

 ただし、電子マネーの発行残高は現金やマネーストックと比べてきわめて低い水準にとどまっており、電子マネーの動向が決済システムや金融システム全体に大きな影響を与えるに至っていないとした上で、電子マネーの動向は国内決済に占める位置づけを含めて、今後も注目していく必要があるとした。


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(村松 健至)
2009/7/13 13:14