Cerevo、ネットと連携するデジカメ「CerevoCam」を年内に発売
株式会社Cerevo(セレボ)は、無線LAN機能を持つデジタルカメラ「CerevoCam」の製品仕様と、同製品と連携する写真管理サービス「CerevoLife」を発表した。Amazon.co.jpや楽天市場、直販サイトを通じて2009年内に発売する考えで、価格は2万円前後を予定する。
■写真投稿は11n無線LANに加えて、イー・モバイルにも対応
「CerevoCam」のモックアップを手に持つ岩佐代表取締役 |
Cerevoは、インターネット接続に対応した家電の企画や開発、販売を目的に2007年に設立された企業。今回製品仕様を発表した「CerevoCam」は、同社第1弾製品として開発が進められており、2009年3月にはプロトタイプを公開していた。
「CerevoCam」は、IEEE 802.11n ドラフト2.0およびIEEE 802.11b/gに準拠し、理論値で最大150Mbpsの通信が可能な無線LAN機能を搭載。撮影した写真は、CerevoCamユーザー向けに無料提供される写真管理サービス「CerevoLife」への自動アップロードが可能で、「CerevoLife」から他のWebサービスにアップロードできる機能も用意する。
カメラ部には、900万画素のCMOSイメージセンサーを搭載。画角は左右55度、絞り値はF3.2の固定焦点。倍率は未定だが、デジタルズーム機能も用意する。また、キセノンフラッシュも搭載した。当初はJPEGによる静止画撮影のみ対応するが、後日のファームウェア更新で動画撮影にも対応させたい考え。加えて、利用者からの要望があれば、RAW形式への対応も検討する。本体ディスプレイには480×240ドット表示が可能な2.4型液晶を搭載。保存メディアはmicroSDカード。
撮影した写真の自動アップロード機能は、事前に登録した無線LANアクセスポイントを周囲にあることを確認した上で実行。「CerevoCam」では、デジタルカメラの利用状況や周囲に事前登録した無線LANアクセスポイントの有無を学習する機能を備えており、「CerevoCam」を利用していない時間帯に写真をアップロードするようになるという。なお、手動操作によるアップロードにも対応する。
無線LANアクセスポイントの設定は、「CerevoLife」と連携。「CerevoLife」上でSSIDや無線LANセキュリティを設定して生成されるコードを「CerevoCam」で撮影すると、無線LANアクセスポイントの登録が完了。複数の無線LANアクセスポイントの登録も可能だ。無線LANセキュリティは、64/128bitのWEP、WPA/WPA2(TKIP/AES)をサポートした。
本体色はホワイトとブラック(限定色)の2種類 | 手に持ったところ | 背面には液晶ディスプレイや十字キーボタンなどを備える |
シャッターボタンなどを備える本体上面 | 底面部にある溝は、製品版ではUSBポートとなる | 無線LAN機能を持ち、側面部には「HIGH SPEED Wi-Fi CONNECTION」との記載も |
左側面にmicroSDカードスロット | ストラップホールも | モックアップの試作版 |
本体にはUSBポートを備え、イー・モバイルのUSB接続型データ通信アダプタを接続が可能。これにより、イー・モバイル回線を経由して、リアルタイムに写真をアップロードできる。Cerevoでは、「D21HW」などHuawei Technologies社製の通信アダプタを動作確認を進めている。また、将来的にはイー・モバイル以外の通信アダプタへの対応も検討するという。なお、本体仕様上、無線LANと通信アダプタによる通信は排他利用となるため、「CerevoCam」を無線LANアクセスポイントとして動作させることはできないという。
本体背面に備えるボタンは、上面にあるシャッターボタンや背面にある十字ボタンや2つの操作ボタンなどシンプルな構成。特に背面ボタンは、液晶ディスプレイの左側に十字ボタン、右側に2つのボタンと携帯ゲーム機のような雰囲気を持つ。Cerevoでは今後、本体仕様の一部を開示する考えで、CerevoCamを使った外部開発者によるゲームアプリケーションなどの登場も期待しているという。また、本体にはマイクやスピーカーも内蔵する。
本体電源は950mAのリチウムポリマーバッテリーを採用。詳細な充電時間や連続撮影可能枚数は現時点で決定していない。なお、本体にはメインCPU(Texas Instrument社製「DM355」)に加えて、省電力動作が可能だというサブCPU(同「MP430」)を搭載。サブCPUは本体操作時や無線LANアクセスポイント経由での自動アップロード機能を利用する際に、メインCPUを起動させるなどの動作を担当しており、非利用時の消費電力を抑える仕組みとなっている。
本体色はホワイトに加え、限定色のブラックを用意。ブラックの限定台数は未定だが、両カラーを合わせた初回台数は数千台レベルを予定している。なお、製品開発にあたっては、量産・製造でエグゼモードが協力し、無線LANモジュールはプラネックスコミュニケーションズから提供を受けた。
「CerevoCam」のGUI画面。当初は英語と日本語表示に対応 | 撮影写真のサムネイル | 一覧表示も可能だ |
「CerevoCam」の開発機 | 本体正面部 | (右から左の順)開発機の変遷 |
■「CerevoLife」のディスク容量は5GB。連携サービスは15~20を予定
「CerevoLife」の画面。右上にはアップロード時に取得した「CerevoCam」のバッテリー残量などが表示される |
写真管理サービス「CerevoLife」のディスク容量は5GBで、「CerevoCam」からアップロード作業が完了すると、その旨を記載したメールを事前登録したメールアドレス宛に通知する。「CerevoLife」自体はPCと携帯電話の双方からアクセスが可能なため、Cerevoでは外出先でアップロードが完了した写真を確認するなどの利用シーンも想定する。
機能面ではまた、切り取りやボカシなどの画像エフェクト機能も用意する。メールを利用した友人との写真共有機能、アップロードした写真のアルバム単位での一括ダウンロード機能も備え、「CerevoLife」上からの印刷操作にも対応させる予定だ。
「CerevoLife」で連携を予定する当初のWebサービスは、FlickrやPicasaウェブアルバム、フォト蔵、Tumblr、Twitterなど15~20程度。各Webサービスへのアップロードにはそれぞれのアカウントが必要になるほか、公開設定は各Webサービスの設定状況に準じる。また、Twitter投稿時の写真アップロード先にはPicasaウェブアルバムを利用するという。
Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏は、開発段階から情報を開示する点に関して「ものづくりの面白さを公開するのも、我々のミッションと考えているため」とコメント。また、「CerevoCam」の本体デザインについては、「これまでのデジタルカメラとは違うと感じてもらえるデザインを目指した」と述べた。
まずは2009年内の「CerevoCam」と「CerevoLife」のリリースを目指す同社だが、自社独自の製品開発・展開に加え、サーバーシステムやハードウェアシステム、カメラソフトウェアのOEM提供も進める考え。岩佐氏によれば、すでに企業からの引き合いもあるという。
他のWebサービスに自動または手動でアップロードが可能 | 簡単な編集機能も備える | 「CerevoLife」で使用するサーバー。シャーシは自社設計 |