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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
Cerevo、ネットと連携するデジタルカメラのプロトタイプを公開

 株式会社Cerevo(セレボ)は、同社第1弾製品として、2009年夏に発売を予定する無線LAN機能を持ったデジタルカメラと、連携するWebサービスのプロトタイプを公開した。3月29日に日石横浜ホールで開催した「gooラボ:ネットの未来カンファレンス」にも展示された。


Webサービス連携が前提のデジタルカメラ。各種サービスに簡単投稿

公開されたプロトタイプ。製品版は他社のコンパクトデジタルカメラと同等サイズになる
 デジタルカメラのプロトタイプは、Texas Instruments社の評価用キット「DM355 EVM」を使って開発。カメラや液晶ディスプレイ、IEEE 802.11b/gの無線LANを搭載し、同時に公開したWebサービスと連携するソフトウェアがインストールされている。また、保存メディアにはmicroSDを採用。製品化時の本体サイズは、各社が発売するコンパクトデジタルカメラの大きさを予定する。

 撮影した写真は、無線LAN機能を持つSDカード「Eye-Fi」と同様に、自動でWebサービス側にアップロードできる。Cerevo製品では、デジタルカメラ側の電源オン操作をする必要なく、アップロードできるのが特徴という。そしてアップロードが終了すると、登録メールアドレスにその旨を通知。Webサービスは、PCに加え、iPhone 3Gや携帯電話などからのアクセスもサポートし、トリミングや色調整など簡単な写真加工も可能だ。

 自動アップロード機能では、電池の持ちも気になる点だが、開発中の製品ではメインのCPUに加え、サブCPUを搭載して対応を図る。サブCPU側は省電力で動作可能なため常時動作させ、例えば、時間帯など見て、メインCPUを起動させ、無線LANアクセスポイントを検索。アップロード先に登録した無線LANアクセスポイントを見つけると、アップロードを実行させる仕組みとなっている。なお、最終的な動作方法は今後決定する。

 メインCPUの駆動速度は、一般的なコンパクトデジタルカメラと同等の210MHz前後。カメラのGUI画面にも力を入れ、他社よりも快適な操作性を目指している。また、本体操作も十字ボタンと中央ボタンのみで、削除操作を含めて簡単な操作性を実現したいという。


カメラ部。製品化時には500万画素クラスを予定する 無線LAN部 十字ボタンと中央ボタンの組み合わせで操作する

メニュー画面 アップロードは自動に加え、手動操作にも対応する プロトタイプではスムーズなスクロール操作が可能だった

Webサービス画面
 Webサービス側では、FlickrやPicasaウェブアルバム、Twitter(写真はPicasaに投稿)といった他のWebサービスへの投稿機能を用意。一度、CerevoのWebサービスを介することで、その時々に人気を集めるWebサービスに迅速に対応できるという考えだ。また、構想の中にはプリント注文やアルバム化といったサービスへの対応も含まれている。

 サーバーには、1ユーザーあたり数千枚程度の写真を保存できるようにする予定。また、Webサービス利用にあたっての課金は考えておらず、デジタルカメラの購入費用のみで利用できる予定だ。


ここから各種サービスへ投稿できる トリミングなど、画像加工もできる Flickrへ投稿したところ

自動アップロード後はメールで通知する(画面は携帯電話) iPhone 3GでWebサービスにアクセスしたところ Twitterにも投稿できる(写真自体はPicasaウェブアルバムに投稿)

Cerevo代表の岩佐氏「ネットと家電を組み合わせ、生活を豊かにしたい」

Cerevoの岩佐代表取締役
 Cerevoは、インターネット接続に対応した家電の企画や開発、販売を手がける企業で、2007年設立。代表取締役の岩佐琢磨氏は、Cerevoの設立以前には松下電器産業(現パナソニック)でネット家電の商品企画を担当。また、個人でもブログ「キャズムを超えろ!」を開設し、ネット家電に関するエントリーなどを投稿している。

 岩佐氏によれば、現在は製品の本体デザインを調整している段階。「メーカーロゴを外してしまえば区別がつかなくなるデザインではなく、面白いけれど、多くの人に気に入って貰えるようなデザインを目指したい」という。

 価格は1万5000円から3万円程度で、エントリークラスのコンパクトデジタルカメラの価格帯を想定している。販売はオンラインショッピングサイトを予定し、日本に加えて、米国での販売も視野に入れる。また、販売予定台数は数万台規模を見込んでいる。

 Webサービスで課金しない点に関しては、サーバー代を安価に抑えた点に加え、マーケティング費用を考慮した点も含まれる。岩佐氏は「Webサービスと連携することで、実際にユーザーが利用しているメールアドレス情報が集まる」と語り、「これにより多額のマーケティング費用をかけることなく、新製品のプロモーションやバージョンアップ告知などが確実にできる」と、その理由を説明した。

 なお、Webサービス側では画像加工処理にも対応している。この画像処理に使用するのはLinuxをインストールした「プレイステーション 3(PS3)」で、サーバーシステムに対してPS3を数台接続する形になる。PS3を採用した点に関して、「マルチコアCPUの処理能力を考えると、約4万円という価格は非常に安価」と岩佐氏は述べた。本格運用時には、5~10台のサーバーを組み合わせてサービスを提供する予定だ。

[お詫びと訂正]
 初出時、サーバーとPS3の組み合わせ台数について誤りがありました。お詫びして訂正いたします。


プロトタイプから省電力性を向上させる試作版も ハンダなどの作業場も設けている 秋葉原に近い場所に会社を構えたほか、ネットを通じたパーツ注文も活用しているという

試作中のサーバー 画像処理にはPS3を使う

 岩佐氏は「通常の家電メーカーでは、ターゲットとするユーザー層の幅が広く、その中にはネットを使ったことのない人も入ってくる」とコメント。「Cerevoでは、ネットと家電を組み合わせて生活をより便利に豊かにしていきたい」と述べた。

 Cerevoでは、画質競争ではなく、写真を撮影したあとに友人とやり取りできるような「共有性」に主眼を置き、製品の開発を進めた。岩佐氏は「カメラ側のソフトウェアとWebサービスを組み合わせて、“撮る”“保存する”“共有する”までを垂直統合し、新しいマーケットを切り開けていければ」と抱負を語った。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://cerevo.com/archives/71
  Cerevo
  http://cerevo.com/
  関連記事:「日本発、デジタル家電のファブレスメーカー」Cerevo岩佐社長[Enterprise Watch]
  http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/ogawa/2008/10/21/14088.html


(村松健至)
2009/03/30 11:59


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