インターネット経由でアクセス可能な「ServersMan」搭載のNAS


 フリービットは28日、インターネット経由でのアクセスやファイル共有が可能な「ServersMan」シリーズの新製品「ServersMan@CAS」を発表。「ServersMan@CAS」対応の個人向け製品として、プラネックスコミュニケーションズがLAN接続型HDDを11月6日に発売する。当初はプラネックスの直販サイトとAmazon.co.jpを通じて販売され、直販価格は1TBモデル「MZK-NAS01SGS」が2万6040円、2TBモデル「MZK-NAS02SGS」が4万1790円。

データ共有やWebサーバー機能を持った「ServersMan@CAS」

(左から)「ServersMan@CAS」に対応した個人向け製品と法人向け製品

 「ServersMan@CAS」は、フリービットがiPhoneやWindows Mobileなどをサーバーとしてインターネット上に公開できるアプリケーション「ServersMan」を、個人および法人用のネットワーク対応ストレージ製品向けに機能強化して提供するもの。「CAS」は「Cloud Attached Server」という意味で、フリービットでは「ServersMan@CAS」に対応した製品を「CAS」と呼んでいる。

 「ServersMan@CAS」の個人向けバージョンでは、最大32人分のIDとパスワードを使ってデータ共有が可能な「Share機能」、管理者のみがアクセス可能な「MyStorage」機能、「public_html」フォルダ内に保存したHTMLファイルなどをWebページとして公開できる「Webサーバー機能」が利用できる。

 Webサーバー機能では、「http://serversman.net/(個別の機器名)」がURLとして自動的に割り当てられ、機器名の部分は任意の英数字に変更できる。また、フリービットグループのドリーム・トレイン・インターネット(DTI)が提供する独自ドメインサービス「UbicName」にも対応しており、独自ドメインの設定も可能だ。ドメイン取得費用は1800円からで、月額料金は無料。なお、DTI接続会員以外が「UbicName」を利用する場合は、月額210円の「Ubicプラン」に加入する必要があるが、本製品購入者は1年間無料で同プランを利用できる特典を付与する。

 「ServersMan@CAS」では、プライベートIPv4アドレスとグローバルIPv6アドレスが機器ごとに割り当てられる。通信には従来の「ServersMan」シリーズと同様に、フリービットのVPN技術「Emotion Link」とともに、「ServersMan」用のゲートウェイ「ServersMan SuperNode」を利用するため、自宅に設置したルータの設定などを変更することなく、IPv4環境の状態で「ServersMan@CAS」の機能が利用できる。


「ServersMan@CAS」個人版の機能概要ファイル共有やWebサーバー機能などの利用が可能利用イメージ

「ServersMan SuperNode」は日米英に加え、新たに中国にも設置された「ServersMan」シリーズのラインナップダウンロード数の累計

プラネックスが対応製品を発売。BitTorrentやDLNA機能も搭載

 プラネックスが今回発表した「MZK-NAS01SGS」と「MZK-NAS02SGS」では、「ServersMan@CAS」以外の機能として、BitTorrent機能やiTunesサーバー機能、DLNAサーバー機能を用意。加えて、USB 2.0インターフェイスを2ポート備え、プリントサーバー機能のほか、USB接続型のストレージを繋いで本体にファイルをコピーできる機能も搭載する。

 また、2TB容量の「MZK-NAS02SGS」は1TBのHDDを2台搭載しており、RAID機能として「ミラーリング(RAID 1)」と「ストライピング(RAID 0)」が利用できる。

 有線LANインターフェイスは、10BASE-T/100BASE-TX/1000BASET-T×2ポートを搭載。本体サイズと重量は、「MZK-NAS01SGS」が50×188×165mm(幅×奥行×高)で約1.6kg、「MZK-NAS02SGS」が77×188×165mmで、約2.6kg。


(左から)「MZK-NAS01SGS」と「MZK-NAS02SGS」本体背面

法人向けサービスも展開。連携アプリもiPhoneや携帯向けに提供

フリービットの石田社長

 フリービットとプラネックスでは、「ServersMan@CAS」に関する発表会を28日に開催。「ServersMan@CAS」の概要を説明したフリービットの石田宏樹代表取締役社長CEOは、「大学に入学した1993年からインターネット人生を送ってきたが、今回の『ServersMan@CAS』はその中でも大きな一歩になる」と述べた。

 「ServersMan@CAS」では、プラネックスが販売する個人市場向けの製品とともに、フリービット自身が展開する法人向けサービスも用意。法人向けサービスでは、個人向け製品で提供するファイル共有やWebサーバー機能などに加えて、イー・モバイルのデータ通信アダプタを利用したアクセス回線の冗長化、UPS(無停電電源装置)の利用に対応。また、遠隔操作によるリモートメンテナンス、ハードウェアの不調を遠隔で調査するリモートサポートサービスも提供する。

 提供形態は、初期費用が1万9800円、月額基本料金が6300円の月額レンタル方式を採用。当初はプラネックスが開発協力した1TBのHDDを2台搭載して、RAID 0/1に対応した製品を用意するが、将来的には他社とのパートナーシップも視野に入れたラックマウント型の製品なども提供したい考えだ。


法人版ではアクセス回線の冗長化やリモートサポートも提供するイー・モバイル回線を利用して回線を冗長化リモートサポートではDTIで提供するサポートツール「SiLK Touch」も使用する

 フリービットでは当初、従業員50人未満の企業を対象に法人向けサービスを展開したい考えで、石田社長は「2010年4月期で3000万円の売上げが目標」とした。また、個人向け製品の販売目標に関しては、プラネックスコミュニケーションズ親会社であるプラネックスホールディングの久保田克昭代表取締役社長が「2009年12月期で1万台、2010年12月期で6万台を販売したい」と説明した。

 このほか説明会では、「ServersMan@CAS」と連携して、データ共有や撮影写真のアップロードが可能なiPhone用アプリケーションやNTTドコモの「iアプリ」を紹介。また、アイファイジャパンの無線LAN機能搭載のSDカード「Eye-Fi」を使って、デジタルカメラで撮影した写真を「ServersMan@CAS」機能も紹介された。いずれも無料で提供される見込みだが、具体的な提供時期は現時点で未定となっている。


「ServersMan@CAS」法人版がターゲットとする市場レンタルサーバーやストレージなど他社サービスとの比較「ServersMan@CAS」と連携したアプリも提供する

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(村松 健至)
2009/10/28 16:50