アンテナ部を上下左右に可動できる! USB無線LANアダプタ
バッファロー「WLI-UC-GNHP」
バッファローの「WLI-UC-GNHP」は、可動式アンテナ構造が魅力のUSB接続型の無線LANアダプタだ。今回は、デスクトップPCとの接続を想定し、その使い勝手や隣接USBポートへの干渉度合いを実際にチェックしてみた。
■円筒状デザイン&アンテナ可動なUSB接続型の無線LANアダプタ
バッファローの「WLI-UC-GNHP」。標準価格は3329円で、対応OSはWindows Vista/XP |
WLI-UC-GNHPは、IEEE 802.11b/gに加え、IEEE 802.11nの技術を利用して、理論値で最大150Mbpsの無線LAN通信が可能な製品だ。また、無線LANの電波出力を強化した「ハイパワーモデル」で、無線LANルータの設置場所から離れていて、電波が届きにくい部屋でも本製品を利用することで通信状況を改善できるとしている。
外観にも目を向けてみよう。USB接続型の無線LANアダプタと言えば、板ガム状のフラットな筐体を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、本製品は円筒上の筐体を採用しており、第一印象は太めのサインペンを思わせる。本体サイズは15×15×112.5mm(幅×奥行×高)、重さは15g。USBコネクタをカバーするキャップ部は、取り外し時には本体反対側に装着できるので、紛失する心配は少ないだろう。
構造上の大きな特徴は、やはり可動式のアンテナ部分だ。実際に可動する方向は、ノートPC側面のUSBポートに接続した場合で、上方向に最大90度折り曲げられる。この状態で左右にそれぞれ135度、合計で270度の回転が可能だ。
アンテナを回転させる場合は、いずれの方向も45度単位の位置で固定される構造になっている。5~10度だけ回転させることも可能だが、安定感はないので利用時には注意したい。
付属品はドライバなどを収録したユーティリティCDやポート干渉防止コネクタなど。ちなみに、本製品は単体モデル(標準価格3329円)に加えて、無線LANルータ「WHR-HP-GN」とのセットモデル「WHR-HP-GN/U」も1万605円でラインナップしている。
USBメモリとのサイズ比較 | 可動式アンテナを採用。まず90度持ち上げた状態 | さらに左へ90度曲げた状態。ここからさらに45度曲げられる |
ルータ「WHR-HP-GN」ともセット販売される | ポート干渉防止コネクタが付属 | コネクタを実際に接続した状態 |
■デスクトップでの利用は? 隣接ポートへの干渉をチェック
本製品は主にノートPCでの利用を想定した製品と位置づけられているが、スマートな筐体や稼働できるアンテナ構造から、デスクトップPCで利用したいという人もいるのではないだろうか。その際に気になるのは、隣接するUSBポートなどに干渉しないかという点だ。そこで、筆者の自作デスクトップPCを使って実際に検証してみた。なお、自作PCで利用するPCケースはアビーのミドルタワーケース「METHOD」で、マザーボードはASUSTeKの「M4A79T Deluxe」になる。
まず、背面部への接続だが、結論から言えば、本製品をそのままUSBポートに接続すると干渉が発生してしまった。今回の場合では、上下に隣接した2つのUSBポートが、少しずつ離れた場所に3組配置されている。このため、左右の干渉はないのだが、上下ポートではどうしても干渉してしまうのだ。もちろん、合計2ポート占有を承知の上であれば、接続自体は問題ない。
しかし、本製品にはポート干渉防止コネクタが同梱されているため、これを活用しない手はない。製品自体もかなり軽量なため、アンテナの回転方向を工夫すれば、配置の自由度が高くなるはずだ。
自作PCのバックパネルに接続した状態。隣接ポートにUSBメモリなどを挿すのは難しい | 干渉防止コネクタ利用状態。アンテナの向きは変わってしまうが、2ポートそれぞれ利用できる |
一方、フロントパネル部のUSBポートは、比較的接続しやすい場所と言えるだろう。今回使用したPCケースでは、USBポートの配置に比較的余裕があり、上下左右の干渉がない。ただ、USBポートの上にメモリカードリーダーライターなどが備わっているPCケースの場合には、アンテナ部が少々邪魔になってしまうかもしれない。
拡張パネル部のUSBポートへ接続した際の様子。この場合、下方向にアンテナが回転する形にはなるが、左右に回転させることができるので床面への接触は防げた | フロントパネル部に接続したところ |
以上のようにデスクトップPCとの接続は、実際に利用するデスクトップPCのケース形状などに依存する場合があるため、向き不向きを一律に語るのは難しい。ただし、製品に付属するポート干渉防止コネクタを併用し、接続場所にこだわらなければ、「まったく接続できない」という事態は発生しないと思われる。
また、接続場所をフロントパネル部やバックパネル部などに変えて無線通信の安定度も試してみたが、筆者宅の環境ではその差異を体感できるレベルではなく、いずれも十分快適なネットワークアクセスが可能だった。こちらこそ周辺環境に左右される部分だが、念のため申し添えておこう。
■「親機モード」対応でマルチに使える
「ソフトウェアルータ(親機モード)」が利用可能。OS上から動作切替が可能だ |
本製品の設定作業は、他のバッファローの無線LAN製品と同様に「クライアントマネージャ」を使用する。無線LAN接続設定は「AOSS」と「WPS」をサポートしているため、1タッチで無線LANセキュリティも容易に設定できるだろう。
ソフトウェア面ではまた、「ソフトウェアルータ(親機モード)」機能も利用できる。これは本製品を無線LAN子機ではなく、親機として使用できるモードで、携帯型ゲーム機を無線LAN接続する際に活用される例が多い。また、有線LAN環境の家庭で、ゲーム機用無線LANを安価で導入する際にも便利な機能だろう。なお、製品自体はPSPを使ってオンライン対戦できる「XLink Kai」の動作確認済みとなっている。
子機モードと親機モードの切り替えは、ドライバと同時にインストールされる「親機子機切り替えツール」から選択できる。その際、WLI-UC-GNHP自体をPCから抜き差しする必要がある。また、無線LAN設定はタスクトレイに常時表示されている「ソフトウェアルータ設定ツール」から変更できる。
■ここまで手軽になった無線LAN
以上、本製品を試用してきてが、利用して感じたのはその手軽さだ。USB接続型の無線LANアダプタが普及して久しいが、サイズ感や価格ともに着実に進化していることが実感できた。
デスクトップPCのネットワーク接続と言えば、有線LANが中心だと思われるが、最大150Mbpsの通信が可能な本製品であれば、無線LANへの移行も現実的と言えるだろう。なにより、有線LANケーブルを敷設することなく、自宅のネットワークを構築できるのは見た目にも良いはずだ。
バッファロー製品の中で見ると、本体のコンパクトさや価格面で「WLI-UC-GN(2205円)」が勝っている。しかし、本製品は角度調整が可能なアンテナに加えて、通信でもハイパワーモデルといったメリットもある。今回、主に取り上げたデスクトップPCでの利用はもちろん、ノートPCを含めたそれぞれの利用シーンや居住環境などに応じて、最適な製品を選んでみると良いだろう。
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