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第355回:11a/b/g/n同時通信に加えDLNAにも対応した無線LANルータ

コレガ「CG-WLR300NNH」


 コレガから2.4GHz帯と5GHz帯の同時通信が可能なIEEE 802.11n ドラフト2.0対応の無線LANルータ「CG-WLR300NNH」が発売された。最大の特徴は前面に搭載されたUSBポートで、ファイル共有やDLNAサーバーとしての利用が可能な点だ。その実力を検証してみた。

フルスペック製品をお手頃価格で

 「スーパーウルトラハイパワー」「スペシャルプレミアムモデル」。パッケージに謳われているコピーを見ると、ちょっとやりすぎではないかと思えなくもないが、コレガから新たに登場した無線LANルータ「CG-WLR300NNH」は、なかなかの実力を備えた製品だ。

 コレガが発売する無線LANルータの中で、ハイエンドに位置する製品となっており、IEEE 802.11n ドラフト2.0およびIEEE 802.11a/b/gの同時通信が可能な点に加え、有線LANインターフェイスもギガビット化。さらにUSBストレージを繋いでデータ共有が可能なUSBポートも搭載した製品となっている。


コレガの「CG-WLR300NNH」。IEEE 802.11a/b/g/nの同時通信に対応したほか、USBポートも搭載するフルスペック機

 IEEE 802.11nの標準化もようやく見えてきて、全体的な規格が固まってきた無線LANだが、ここ最近発売される11n対応製品は2.4GHz帯にのみ対応したモデルが多く、5GHz帯は忘れ去られてしまったのかと思えるほど寂しい状況が続いていた。

 そんな中、久しぶりに登場したのが2.4GHz帯と5GHz帯の同時通信に対応した本製品というわけだ。本体単体モデルの実売価格が1万3800円前後、USB無線LANアダプタのセットモデルが1万8800円前後と比較的リーズナブルな価格を実現しながら、ほぼフルスペックの機能を搭載しており、なかなかお買い得感が高い製品となっている。

5GHz帯の安心感

 アンテナレス、鏡面仕上げでなかなか高級感のあるデザインが採用されている本製品だが、特筆すべきはやはり5GHz帯が使えるという安心感だ。


本体正面 側面

背面 セットモデルに付属のUSB子機「CG-WLUSB300AGN」。こちらもIEEE 802.11a/b/g/nに対応している

 本コラムでもたびたび触れているが、もはや2.4GHz帯は干渉を避けた通信が不可能になりつつある。特にチャネルを2つ利用する300Mbpsや150Mbps(MIMOなし)対応機が普及しはじめてきてからの状況はより厳しく、利用環境によっては高速通信性能を発揮できない場合も少なくない。

 これに対して、本製品では2.4GHz帯と5GHz帯の同時通信に対応しているため、もし2.4GHz帯で十分なパフォーマンスが得られなくても、5GHz帯を利用することができる。実際、木造3階建ての筆者宅にてFTPによる速度を計測してみたのが以下のグラフだ。


子機には「CG-WLUSB300AGN」を利用。クライアントは富士通の「LOOX R/A70(Core 2 Duo L7100/RAM4GB/OCZ Vertex 120GB/Windows Vista)」

 5GHz帯を利用した場合、2.4GHz帯と比較して1.6〜1.8倍程度も高い速度が実現できている。特に筆者宅の3階の場合、見晴らしが良いこともあり、2.4GHz帯では周辺に多数のアクセスポイントが見つかるのだが、5GHz帯は1つも見あたらず、かなり良好な通信環境が実現できている。


筆者宅3階での計測時の様子。11aの場合、安定した通信が可能

 このため、ゲーム機やネットブックなどは2.4GHz帯で利用し、速度が必要なPC、ネットワークプレーヤーなどは5GHz帯を利用するといった使い分けが手軽に可能となる。現状、筆者はこうした使い分けを2台のアクセスポイントを設置することで実現しているが、本製品の場合はそれを1台で、しかも1万3000円強の投資で可能になるのだから有り難いところだ。

マルチAP時は接続に注意

 ゲーム機の接続という点では、複数のSSIDを設定できる「マルチAP」機能も搭載している。初期設定では「000Axxxxxx_na」、「000Axxxxxxxx_ngb」という5GHz帯、2.4GHz帯のSSIDに加え、「CG-Guest」というSSIDの3つが利用可能となっている。

 このうち、「CG-Guest」は2.4GHz帯に割り当てられた2つ目のSSID(セカンドSSID)となっており、主にゲーム機などの接続に利用することができる。ただ、このSSIDは恐らく接続の手間を省くためと考えられるが、セキュリティ設定がなされておらず、誰もが自由に接続可能となっている。

 もちろん、不正アクセスへの対策は講じられており、このSSIDで接続した場合、LANポートや他の無線クライアント、アクセスポイントの設定画面への接続が制限されるようになっており、WANポート、つまりインターネットへの接続のみが可能となっている。WEPはもはや安全ではないのだから、いっそのこと暗号化なしでという考え方なのかもしれないが、わざわざハードルを下げてやる必要はないので、購入後は必ず暗号化の設定をしておこう。


5GHz帯と2.4GHz帯のSSIDに加え、ゲーム機用の「CG-Guest」の3つのSSIDが表示される CG-Guestは暗号化が設定されていない。購入後に必ず暗号化の設定しておこう

 なお、前述したようにCG-Guestからの接続は、WANポートへのアクセスのみが許可される点に注意が必要だ。例えば、本製品を無線LANアクセスポイントモードで利用する場合、以下のような形態で接続する場合が考えられるが、この場合、CG-GuestからLANポートへの通信ができないため、DHCPサーバーによるIPの割り当てやインターネット接続ができないことになる。


 かといって以下のようにWANポートを使って既存のネットワークに接続すると(同様にアクセスポイントモード時)、今度はCG-Guestからのアクセスが既存のネットワークにそのまま通ってしまうことになる。


 このため、ルータとして利用する場合は問題ないのだが、アクセスポイントとして利用する場合は以下のように接続することが推奨される。接続方法によっては、うまくつながらなかったり、セキュリティが意味を持たなく可能性があるので注意しよう。


WPSプッシュボタンで手軽に設定

Windows 7を利用すればWPSプッシュボタンでの設定も可能。OS標準でここまでできると非常に便利だ

 使い勝手も悪くない印象だ。設定方式としては「WPS」に対応している。このため、付属のユーティリティを利用する方法に加え、Windows 7のようなWPSに対応したOSを利用すれば、プッシュボタンでワンタッチで接続設定ができる。

 筆者が試してみた限り、クライアントにWindows 7を利用した場合、5GHz帯でプッシュボタン設定がうまくできず、PINコードでの設定をすることになったが、2.4GHzは問題なく接続することができた。

 無線LANの設定は、Windows 7の登場でかなり楽になると思われる。これまで国内では複数の設定方式が存在したが、今後は一気にWPSへと主流が移り変わりそうな印象だ。

 アクセスポイント側の設定に関しては、飾り気はないが比較的オーソドックスな構成で悪くない。ヘルプもきちんと用意されているので、設定に関しても困ることはないだろう。

 なお、出荷時状態では無線LANの設定でダブルチャネルが無効になっている。この状態では、無線LAN通信速度は最大150Mbpsでしかリンクしないので、300Mbpsで通信したい場合は忘れずにダブルチャネルを有効にしておこう。

 このほか、設定面で目についたのは、最近流行のエコ機能も備えている点だろう。設定場所はわかりにくいが、LEDを消灯したり、スケジュールによって起動時間を設定することもできる。LEDに関しては、省電力というよりは、夜間の点滅なくすことができるので、地味ながら便利な機能の1つだ。


標準ではダブルチャネルが無効になっている。高速な通信がしたい場合は有効に変更しよう LEDを消灯することもできる。点灯するのは電源ランプだけになるので、夜間などに気になる点滅から解放される

USBポートでメディア共有も

USBメモリやUSB接続型のHDDを接続してファイル共有やメディア共有が可能。プリンタなどストレージ以外の機器は利用できない

 最後に最大の特徴でもあるUSBポートについて検証しよう。本製品の前面にはUSBポートが用意されており、ここにUSBメモリやUSB接続型のHDDを繋ぐことで、ファイル共有やメディア共有をすることが可能となっている。

 同様の機能は、コレガが発売する他の無線LANルータでも採用されているが、本製品では「DLNAガイドライン 1.0」の認定を受けている。接続したUSBストレージに画像や映像、音楽などのファイルを保存し、設定画面からDLANサーバー機能を有効にして、公開するフォルダを選択する。すると、ネットワーク上のDLNAクライアントから、これらのファイルを参照することができるというわけだ。

 残念ながら、本製品がサポートするファイル形式に関する記載は取扱説明書やWebサイトで見つけられなかったのだが、JPEGの画像、MPEG-2やWMV/MP4/MOVの映像、WMA/MP3などの音楽ファイルなど、一般的なファイル形式は参照することができた。このあたりは、クライアント側の対応もあるので、組み合わせ次第といったところだろう。

 なお、音楽についてはiTunesサーバー機能も搭載しているので、iTunesで音楽を管理している場合はこちらの機能も便利だ。


標準ではファイル共有のみが有効。iTunesサーバーやDLNAサーバー機能も利用できる Windows 7の「Windows Media Player 12」を利用してDLNAサーバーにアクセス。一般的なフォーマットのファイルは参照可能だ

 一方、ファイル共有機能だが、ネットワークドライブとして割り当ててしまえば使い勝手は悪くないものの、パフォーマンスに関してはNASなどと比べると若干劣る印象だ。

 また、繋いだストレージがNTFS形式でフォーマットされている場合、アクセスが読み込みのみに制限され、書き込みができない。HDDの場合、容量の関係でNTFSでフォーマットすることが多いので実用性にやや難がある。ファイル共有というよりは、USBメモリに保存したファイルの取り出し、他のPCにファイルを移動するためのテンポラリ的な使い方が適していると言えそうだ。


4GBのUSBメモリを共有した際のベンチマークテスト。速度としてはさほど高くない

 以上、コレガの「CG-WLR300NNH」を実際に利用してみたが、USBポートによるファイル共有やメディア共有ができるのが特徴の製品だが、個人的にはやはり2.4GHz帯と5GHz帯の同時通信に対応している点をもっとも評価したい。アンテナレスの筐体にしてはパフォーマンスも高いので、長距離や遮蔽物のある環境でも問題なく使えるはずだ。

 この製品の登場をきっかけに、同時通信機が多く登場し、さらにリーズナブルな価格で提供されるようになるとうれしいところだ。


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2009/8/18 11:00  

清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ

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