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[2001/08/24]
NEC Aterm WB65DSL
[2001/07/31]
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NEC
Aterm WB65DSL

問い合わせ先:
Atermインフォメーションセンター
Tel: 0120-36-1138

実売価格:
3万5千円前後(PA-WB65DSL1、8月上旬より発売)

 Aterm WB65DSLは、NECから発売されたADSLモデム内蔵のルーターだ。同社のWARPSTAR Σシリーズは、ローカルルーター機能のみのAterm WB45RL、TA/DSUやアナログポートを搭載したISDN用のAterm WB55TLシリーズなどが販売されている。これに加えて、いよいよADSLモデムを内蔵したモデルが登場したわけだ。

 パッケージを開いてみると、まずWB65DSLの多機能さに驚く。ADSLモデム、ルーター、スイッチングハブ、ワイヤレスLANベースという構成だが、ADSLモデムを使ってダイレクトにADSL回線に接続することはもちろん、単独のローカルルーターとしても使用できる。このほかにも外部のADSLモデムを使用してのPPPoE接続、CATVモデムやルータータイプのADSLモデムを使った外部接続、そして外部TA/アナログモデムを接続してのダイヤルアップルーター機能までもサポートしているのだ。

 本体の接続ポートはADSL回線用のモジュラージャック、LAN用の10BASE-T/100BASE-TXポートが4つ、パソコン接続用のUSBポート、TA/アナログモデム接続用のシリアル(LINK)ポートだ。なお、LAN用の10BASE-T/100BASE-TXポートの1つは外部ADSLモデム用にWANポートとして切り替えて使用できる。本体はTA内蔵のWB55TLと同様の筐体のため、バックアップ用とみられる電池ボックス跡もあり、中にはリセットや診断モードのためのDIPスイッチがある。

 WB65DSLのポイントはADSLモデム内蔵という点だ。方式はG.lite AnnexCで、PPPoEとPPPoAに対応するもの。接続が認定されているのはアッカとイー・アクセスだ。フレッツ・ADSLとも方式的には接続可能だが、動作保証はされていない。

本体背面。上から順にLAN側用10BASE-T/100BASE-TX×4ポート、RJ-45×1ポート(スプリッタから接続)、USBポート、LINKポート(TAなどを接続)
スプリッタからのモジュラーケーブルとLAN配線、電源ケーブルを接続するだけで使用できる
無線LANカードが2枚同梱されたセットモデルも用意されている

WB65DSLのインストール

 箱には、ADSL接続に必要なものが一通り入っている。ADSL回線が開通しており、イーサネット接続が可能なWindowsマシンがあれば、これだけでADSLによる高速インターネットが可能になる。

 設定は、多機能ゆえに簡単とは言い難いが、ダイヤルアップでのインターネット接続設定を何度か経験したユーザーならば、なんとか設定できるレベルだろう。

 説明書は内蔵のADSLモデムを使った設定のほか、外部のADSLモデムやCATVのケーブルモデム、そしてTAやアナログモデムを接続してのダイヤルアップ接続まで記載がある。このため、説明書には○○モデムという記載が多くあって混同しやすい。自分がどのような接続方法でインターネットにつなぐかを十分認識した上で作業にあたらないと間違えてしまう。

 多くのユーザーは内蔵ADSLモデムを利用するために購入すると思われるので、「内蔵ADSLモデム」という記載を追いかけながら説明書を見ることだ。

CD-ROMから起動するユーティリティ集
 インストールでは、まず付属のCD-ROMをパソコンにセットする。「ユーティリティ集」が起動するので、そこの「らくらくアシスタント」のインストールから進めていく。「らくらくアシスタント」を起動すれば、順番に各種設定ができる。

 最初は「導入ウィザード」から始めていく。まずWB65DSLとの接続方法を聞かれるので、イーサネット、USB、無線LANなどから選択する。デフォルトはUSBとなっているため、最初はUSB接続で設定するのが確実だ。無線LANはほかと比べて設定が難しいため、いきなりこれを使って設定を始めると、もしつまずいたら泥沼にはまってしまう。

 次に動作モードを選択する。ここで内蔵ADSLモデムを選択すると事業者メニューになる。アッカとイー・アクセスの設定があらかじめ入っているので、それらの加入者は、項目を選ぶだけで難しい通信パラメータが自動で設定される。

内蔵ADSLモデムや外付けモデム、TAのどれを使うかの設定
接続方法と接続先を選ぶ。アッカとイー・アクセスはプルダウンで選択可能だ

 その後で「らくらくアシスタント」から「インターネット接続設定ウィザード」を起動、プロバイダからの情報をここで入力する。接続名はプロバイダ名など、分かりやすい名称を入力しておくとよいだろう。続いてID、パスワード、必要ならDNS情報を入力する。また、ついでにOutlook Expressのメールの設定も可能だ。必要のない人はスキップすることもできる。

 これで、ADSL接続に関する設定はひとまず終了した。「アクセスマネージャ」でインターネットに接続すれば、もうADSLでブロードバンドを体感することができる。

「らくらくアシスタント」。ここからさまざまな設定が可能

 この設定作業でインストールされるユーティリティソフトは4つ、全体的な設定を行なう「らくらくアシスタント」、無線LANや動作モードなどWB65DSL本体の設定をする「ベースマネージャ」、インターネットに接続する際に必要な「アクセスマネージャ」、無線子機を使用する場合に必要な「サテライトマネージャ」の4つだ。

 普通のルーターと違い、WB65DSLを使ってインターネットに接続するPCには必ず「サテライトマネージャ」をインストールしておく必要がある。サテライトマネージャによって、自身のPCがインターネットへ接続されているかどうかを制御するようになっているからだ。

アクセスマネージャから接続しないとルーターから外にはいけない
無線LANクライアントのサテライトマネージャ
 セキュリティの観点からみれば便利な機能だが、WB65DSLが対応しているOS以外のマシンからは、インターネットにアクセスすることができない。対応OSは現在のところWindows Me/98/2000となっており、バージョンアップ時にMacOSも対応予定という。購入の際に十分注意しておく必要があるだろう。

 2台目以降のPCからインターネットに接続する際も、必ずユーティリティのインストールが必要になる。WB65DSLのLAN側に接続すると、WB65DSLのDHCPサーバー機能で、IPアドレスなどの情報は与えられるものの、実際にルーターを通過してインターネットのWebサーバーなどにアクセスする権利は与えられない。

 もっとも「アクセスマネージャ」を使わないとインターネットへ接続できないが、LAN内のファイル共有などはまったく問題なく行なえるので、セキュリティの観点から見ると有効な制約なのかもしれない。

 これは、内蔵のADSLモデムを使った場合に限らず、外付けのADSLモデムやケーブルモデムを使ったローカルルーターモードでも同様なので注意が必要だ。

 同様に、無線LANのクライアントとして利用する場合もユーティリティのインストールが必要である。無線LANを利用したパソコンから利用する場合は、無線LANで接続するための「サテライトマネージャ」、インターネットへ接続するための「アクセスマネージャ」の2段階の手続きを踏む。

Aterm WB65DSLのルーター機能

アプリケーションプロファイルの構成
使用するパケットフィルタの設定
 次にルーターとしての機能を見ていこう。WB65DSLは、一般的なルーターとしての機能は装備している。WAN側のDHCPクライアント機能、NAT+IPマスカレード機能とLAN側のDHCPサーバー機能はもちろんだ。

 ネットワークゲームで必要な、WAN側からのパケットを特定のLAN側クライアントに通す機能は「アプリケーションプロファイル」から自由に設定できる。デフォルトで装備しているのは「BitArena」「ICQ」「RealPlayer 8」の3つのみだが、同社のWebサイトからプロファイルのダウンロードが行なえるなど便利にできている。

 また、このほかにIPマスカレードを使用しない単独のNATとしての設定も可能だ。グローバルIPアドレスが割り当てられるプロバイダの場合は、セキュリティは落ちるがモデムやTAをパソコンに直結してダイヤルアップ接続しているときと同様に、ネット上でさまざまなアプリケーションを使用することができる。

 パケットフィルタ機能も装備している。フィルタエントリは30個。ヘルプファイルにフィルタ設定の説明があるが、設定方法だけで、実際にどのポート番号をどうフィルタすればいいのかの説明はないため、初心者は設定はいじらないほうが無難だろう。

 これらの機能は、内蔵のADSLモデムを使った場合はもちろん、外部のADSLモデム/ケーブルモデム、TAやアナログモデムを利用した場合でも同様に利用できる。

想定するユーザーは

 非常に多機能なWB65DSL、そしてADSLモデム内蔵の初のルーターだ。しかし、まだADSLモデム内蔵の恩恵は受けにくいというのが正直なところだ。その理由は現在のところフレッツ・ADSLに正式対応していない点だ。規格の上では接続できそうだが、NECもWebサイト上では「接続できません」としてフレッツ・ADSLユーザーには購入しないように呼びかけているくらいだ。

 しかし、モデム、ルータと配線がごちゃごちゃにならずに、費用の面でも現時点では別々に購入するより安いとう意味ではWB65DSLを購入する価値はある。WB65DSL単体の実売価格は3万5千円ほどで、ローカルルータとADSLモデムを別々に購入するよりは安い。そして将来的にFTTHなどに乗り換える場合でも、ローカルルータとしてや、無線ハブとしての利用が可能なので、いきなりWB65DSL全部がムダになるわけではない。

 現時点で正式に動作が認定されているアッカやイー・アクセスのADSL接続を利用する人には、購入を検討する価値のあるルーターである。


□Aterm WB65DSL
http://aterm.cplaza.ne.jp/product/warpstar/wb65dsl.html
□接続確認済みCATVインターネット/ADSL事業者リスト
http://aterm.cplaza.ne.jp/topics/catv_adsl/builtin-adsl.htm
□AtermStation
http://aterm.cplaza.ne.jp/
□NEC
http://www.nec.co.jp/

田中 章
通信が大好き。今でもNTTドコモよりNTT東日本やNTTコムに払う金額が多いという固定通信の鬼。最近は通信速度も速くて定額でないとイヤというブロードバンド中毒になった。ライターで儲けたら(絶対ムリ!)1日も早くBフレッツ対応地域に引っ越したいと願う。
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