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個人情報漏えいの事後処理に! 「あ!漏〜レ」

 A.F.ソフトから発売されている「あ!漏〜レ」は、本日、4月1日から施行される「個人情報保護法」対策のセキュリティソフトだ。個人情報漏えいを予防するために暗号化を行なったり、認証によってアクセスを制限するソフトは数多く発売されているが、本製品は個人情報が漏えいした際に「こりゃアンタ、個人情報じゃねーよ」と言い訳することを目的とした、一風変わったソフトウェアである。

余計な情報を追加することで、個人情報らしからぬデータに

「あ!漏〜レ」のパッケージ。標準価格は1ライセンスあたり4,100円。ダウンロード販売については「申込者の個人情報が漏えいした可能性があるためサービス停止中」(同社)
変換方式は任意に設定可能。姓名はもちろんのこと、生年月日を宇宙世紀に変換したり、職業をRPG風に変換することも可能だ

 「あ!漏〜レ」は、平成16年度「前代未聞ソフトウェア創造事業」によって生まれたセキュリティソフトだ。個人情報漏えいを防止するのではなく、漏えいした場合にどう言い訳するか?という、事後処理に特化したコンセプトは、実際のトラブルに直面するまで決して対応しようとしない、順法精神を欠く企業人にぴったりのソリューションである。

 「あ!漏〜レ」の使い方は至って簡単で、個人情報ファイルが保存されているPCにインストールするだけ。ユーザーはソフトが常駐していることを意識せず、それまで通り個人情報ファイルを参照したり加工することができる。もし個人情報ファイルを別のPCにコピーして開こうとしたり、ソフトの常駐を解除したまま開こうとすると、氏名・住所・メールアドレスなどの個人情報に余計な文字列を追加することで、個人情報らしからぬデータに書き換えてくれる。

 例えば、姓名の後ろに(仮名)と追加することで匿名であるように見せたり、名前の後ろに「、」や「。」を追加して芸能人っぽくしたり、姓と名の間に「☆」を追加して元アフロのドラマー似にすることができる。

 また、姓名をギャル文字や暴走族風の族言葉に変換する機能、元データにない「かりそめの名」「前世の職業」「とっておきのギャグ」などの情報を自動的に付加する「ナンチャッテ機能」により、個人情報だったデータを得体の知れない内容に書き換えてしまう。万一、これらのファイルが外部に漏えいし、それを指摘された際も「これのどこが個人情報なんですか? 仮名って書いてありますね。それに前世は戦士でしたなんていう、この内容から個人を特定することができると本気でお思いですか? あ〜ん?」と、小一時間相手を問い詰め、開き直ることが可能になるわけだ。

 このほかにも本製品にはさまざまな変換・書換機能が搭載されており、設定画面から「ランダム」を選択すると、メニューにない隠し変換も行なわれる。確かにこれでは個人情報っぽく見えないが、「だからといってこれが個人情報漏えいの対策と言えるかは疑問」とする専門家の声もある。「むしろ余計な文字列を追加することで、組み合わせの例によっては、名誉毀損となる可能性が発生したり、あらぬ疑惑をもたらすなど、別の問題を誘発する危険性がある」との指摘もあり、導入前に慎重な検討が必要だろう。

 なお、「情報漏えいを感知していちいちデータを書き換えるくらいなら、個人情報データそのものを消去したほうが合理的ではないか」との指摘に対し、開発担当者は「見えそうで見えないドキドキ感を楽しんでもらうことが目的。それが男のロマン」とコメント。狭い業界で話題となったが、同社はのちにこのコメントを取り消し、開発担当者が長期休養中であることを明らかにした。そうした経緯から、残念ながら本誌が申し込んだ開発者インタビューは実現していない。

個人情報ファイルの例。このままの形で流出することがあれば、個人情報保護法に則って罰則が適用される危険性がある。ちなみにこのファイルは「にせ個人情報スクリプト」で作成したダミーデータ 「あ!漏〜レ」によって、姓名に(仮名)と追加された個人情報
某局バラエティ番組のスタッフロール風に、ミドルネームが追加された個人情報 設定画面から「ランダム」を選択してみた。この例では、姓名の後ろに文字列が追加されている


ユーザーへのお詫び支援機能など、後ろ向きな機能が満載

 本ソフトのもうひとつの目玉機能として「お詫び支援機能」が挙げられる。これは、必死の言い訳にもかかわらず、個人情報が流出したと認定された場合、ユーザーに500円分の商品券を発送するための宛名ラベルを作成する機能だ。さらに「その他」→「商品券選択」により、オンラインでお好みの商品券をチョイスできるなど、至れり尽くせりの仕様である。姿勢そのものに問題があるような気もするが、おそらく筆者の気のせいだろう。

 さらに、上位バージョンの「あ!漏〜レ Professional」へアップグレードすることにより、ユーザーへの詫び状やプレスリリースを作成するウィザードや、謝罪会見場のオンライン予約にも対応する。同社では「これでいつ個人情報が漏えいしても大丈夫」としているが、これに対して「“大丈夫”の意味を完全に履き違えているのではないか」との批判もあるようだ。


本格セキュリティソフト導入時の合見積に最適

 個人情報保護法の本格施行で、2004年度は情報漏えい防止セミナーなども盛んに開催され、対策ソフトウェアも各種リリースされた。明らかにバスに乗り遅れ、あるいはあまりやる気のない企業に向けた、事後セキュリティ対策ソフトとして本製品はごく一部で注目を集めている。

 「組織のトップは大きなコストをかけてまで本気で取り組むつもりはない。しかし万一の際に、社内で責任をなすりつけられないよう、言い訳が立つ程度の対策はしておきたい」という社内システム運用担当者にとっては、お守り代わりに導入する程度の効果はあるかもしれない。

 「あ!漏〜レ」をひと通り試用してみたが、筆者としては、情報漏えいを予防する本格的なセキュリティソフト導入時における合見積の対象として、あるいは職場の会話のネタとして、極めて限定的なユーザーにお勧めしたい。


関連情報

URL
  A.F.ソフト
  http://www.artificial_fool_software.orz/


(執筆:маU〃ма☆ма±ひ`⊂/制作協力:山口真弘氏@I-O DATA)
2005/04/01 00:05


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