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第17回:ブログってなんだろう?
[2004/06/25]
第16回:ビジネスの現場で使われるブログ その2
[2004/06/11]
第15回:ビジネスの現場で使われるブログ その1
[2004/06/04]
第14回:ブログの上にも3カ月!? 「ブログを続けるコツ」を考える
[2004/05/28]
第13回:知らない人は損してる! 便利なブックマークレットあれこれ
[2004/05/21]
第12回:ブログポータルをかしこく使おう!
[2004/05/14]
第11回:アフィリエイト広告でお小遣い稼ぎ
[2004/05/07]
第10回:RSSという新しいメディア その2
[2004/04/23]
第9回:RSSという新しいメディア その1
[2004/04/16]
第8回:みんなでトラックバックしよう!
[2004/04/09]
第7回:ブログでお気楽なホームページ運営を楽しもう
[2004/04/02]
第6回:ブログサービスに登録したら何するの?
[2004/03/26]
第5回:おすすめ無料ブログサービスはこれ! その2
[2004/03/22]
第4回:おすすめ無料ブログサービスはこれ! その1
[2004/03/12]
第3回:「ブログ向きの人・ブログに向かない人」適性チェック
[2004/03/05]
第2回:「ブログ」が「日記」じゃない理由
[2004/02/27]
第1回:みんながハマる理由は舞台裏にある!!
[2004/02/19]

今こそ始めよう! 春からのブログ入門

第15回:ビジネスの現場で使われるブログ その1

山田貞幸

 今週からは「ビジネスの現場で使われるブログ」について見ていきましょう。ブログというと個人が使うもの、というイメージがなんとなく強いのですが、ビジネスに利用してもおおいに役立つであろうことは想像がつきます。


ビジネスにも役立つブログツール

 まずは過去の連載を振り返りつつ、ビジネスサイトにも通じるブログの利点として、主なものを挙げてみましょう。

IEIRIBLOG
http://www.ieiri.jp/

ブログ界周辺で注目を集める「JUGEM」、「ロリポップ!」を提供しているpaperboy%co.社長・家入氏のブログ。Watch編集部でもしっかりチェックしているとか

 ブログツールは、工夫次第でいろんな形態のサイトを構築するツール(CMS:コンテンツ・マネジメント・システムと呼ばれます)として利用できます。従来のCMSは数百万~数千万円もする製品が一般的でしたが、Movable Typeなどのブログツールを使えば、ケタ違いに安い価格でCMSが導入できることになります(Movable Type 2.xの限定商用ライセンス料は150ドル。新しいバージョン3.0の料金は未定)。

 また、トラックバックやRSSの利用によって、今までにない新しい情報発信・共有のスタイルが生まれるかもしれません。

 もうひとつ、「個人が使うもの」というイメージが定着していることを逆手にとった利用も、企業としては可能かもしれません。どうしても企業が発する情報は堅苦しい印象のものになりがちですが、ブログの形態をとれば、雑談の中に会社の方針についての話を混ぜる、というような形も違和感なくできるでしょう。実際、企業の社長や広報担当者が書いているブログは多数あり、業界関係者の注目を集めています。


Movable Typeでサイトを構築している株式会社カレンの場合

 Eメールマーケティング総合支援企業の株式会社カレンは、3月8日にMovable Typeを利用して自社サイトをリニューアルしました(プレスリリース)。

 自社のメールマガジン「実践!Eメールマーケティング」のバックナンバーをブログのアーカイブとして公開したほか、広報室のブログ「ベスト・メッセージングBlog」も開始しています。今回は自ら「ベスト・メッセージングBlog」のライターも担当する、カレン広報室長の四家(しけ)さんにお話を伺いました。

◇    ◇    ◇


新しいメッセージ伝達手段としてのブログの可能性を確かめるために利用

株式会社カレン
http://www.current.co.jp/

 メール(Eメール)を通じて企業と消費者の良好な関係を築く手助けをすることが、現在のカレンの主な仕事です。これは消費者にメッセージを届ける方法として、現時点ではメールがベストな道具だと判断してのこと。ブログとRSSには、メールに並ぶ有力な道具となる可能性があると、カレンでは考えているそうです。

 「Webにはもちろん優れた面も多いのですが、ユーザーにアクセスしてもらうのを待っている(プル型)メディアなのでアクセスしてもらえないと意味がなく、そして複数回読んでもらうことが難しいです。また、どうしても企業サイト上のメッセージは企業からの『公式発表』と受け止められがちで、ユーザーとの間には距離があります。

 その点、メールはユーザーの手元に届けることのできる(プッシュ型)メディアであり、ほとんどの人にとってメールを読むことは習慣化しているため、確実にメッセージを届けることができます。そしてメールでは店長や会社の担当者といった個人の立場からメッセージを送ることが違和感なくできるので、親しみを感じてもらい、メッセージを強く印象づけることが可能になります。サイトにある『公式情報』とリンクしながら、親しみを込めたプッシュ型配信で定期的にメッセージを送る。これがいわゆる『Eメールマーケティング』の常套手段です。

 ブログはもともと個人の情報発信ツールですので、従来のWebにはない『個人からのメッセージによる親しみ』を演出できます。また、今後RSSリーダーが普及すれば、RSSはメールのように強力なプッシュメディアとなるかもしれません。こういった可能性を感じて、実験を兼ねてMovable Typeでサイトを運営している、というのが現在のところです。

 今まで、新しいサービスを始めたときには、1回プレスリリースを出して、あとは広告を出すくらい、というのが普通でした。しかしブログを使っていれば、裏話的なことを話したり、何か展開があった時など折りに触れて話題にすることで、自然な形で、何度もひとつのサービスを露出させられます。多くの人の目に触れる機会を増やすために、これは非常に強力ですね。

 また現在、当社では人材採用に力を入れているのですが、当社の仕事は一般の方には分かりにくいと思います。そこで、会社の雰囲気が伝わるようなことを社長がBlogに書いて、そこから理解を深めてもらおうとしています。始めたばかりでどのくらい効果があるか分かりませんが、今後の展開が楽しみです(四家さん)」


「FTPを使わないと、ここまで楽になるとは……」と実感

 Movable Typeを導入するまで、サイトを更新するときには各担当者がWebオーサリングソフト「Dreaweaver」を使ってページを制作し、サーバーにFTPでアップロードしていたそうです。これがMovable Typeでは編集フォームを開いて文章を入力するだけ。「FTPを使わないことでここまで楽になるとは……。特に複数の担当者での共同管理が非常に楽です」とのこと。

 「まだきちんと検証していませんが、ワークフロー(作業の手順、手続き)が楽になった分、作業に割かれる時間が減って、実質的な人件費は低下していると思います。特に、月1回配信するメールマガジンのバックナンバー管理が効率的になりました。記事ごとの検索・表示が可能になったため、ユーザーにとっても使いやすくなっています」

 今まで、メールマガジンのバックナンバーはテキストのままで、しかもフレームを使った構成になっていたそうです。それが今はフレームを使わずSEO(検索エンジン最適化。検索エンジンで上位ヒットしやすくなるよう、HTMLの構造を整えること)効果の高い構成で、バックナンバーのインデックスはMovable Typeが自動生成。制作側にも読者側にも、どちらにとっても効果の大きいリニューアルだったといえるでしょう。

 「従来のWebサイトはFlashなどで見た目は美しくても、肝心の情報がどこにあるかわからない、SEOがなっていない、ということが多かったわけですが、当社ではMovable Typeを活かしてサイトの機能性を最重要視し、『機能美』を追求していきたいと考えています。現在はまだテキスト主体ですが、今後、MTのデザインにマッチするような画像の使い方を試してみようとしているところです」

「実践!Eメールマーケティング」
http://www.current.co.jp/emm/

ベスト・メッセージングBlog
http://www.current.co.jp/blog/

ブログならではのコミュニケーションも試行中

 「(リニューアル後の)アクセスログを見ると、RSSの読み込みがかなりあります。また、『ベスト・メッセージングBlog』のアクセス増によって、全体のアクセス数も増加しています。会社の情報はそれほど頻繁に更新するわけではありませんが、ブログを細めにチェックしていただいたり、RSSをチェックしていただくことで、新しい情報が以前よりも早く浸透するようになったと思われます」と、ブログやRSSの効果によってアクセスも好調の様子。RSSに並ぶブログの特徴的な機能・トラックバックも活用しています。

 メールマガジンのバックナンバーからは、トラックバックを受け付けているニュースサイト『CNET Japan』にトラックバック。また、同じくトラックバックを受け付けているオンライン書店『bk1』に対して、「ベスト・メッセージングBlog」からトラックバック。社外取締役である久米信行氏の著書『メール道』の紹介ページに、カレン山内社長の書評からトラックバックを送りました。「いままでの企業広報とニュース媒体、ECサイトとの関係を考えると、これは画期的なことだと思います」。

 「『ベスト・メッセージングBlog』開始時にはあちこちのBlogで記事にしていただき、トラックバックもいただいたので、こちらからもトラックバックしたり、コメントを入れさせていただいたりしました。知名度の向上には大いに役に立ったと思われます」

◇    ◇    ◇


 ブログの活用で業界の先頭を走っていると見られるカレンでも、ほとんどの面はまだまだ試行錯誤中のようです。CMSとしての大きな効果は実感。情報発信・コミュニケーションツールとしては未知数だが、次々とおもしろい試みができ、効果も確認できてきた、というのが現在のところ。もっとも、リニューアルからたったの3カ月でこれだけの結果が見えたというのは、十分に大きな効果だといえるかもしれません。

 次回もいくつかの企業での事例を見て、また企業内部での情報ツールとしての可能性についても考えてみたいと思います。

(2004/06/04)
山田貞幸
 ホームページを作ったり、ホームページ作りに関する原稿を書いたりしています。著書は「低予算で「効く!」Webサイトの作り方」、「誰でもできる 無料ではじめるウェブログホームページ」など。
ホームページ:http://www.heartlogic.jp/
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