シャープ、A6サイズの小型モバイルネット製品「NetWalker」


 シャープは、IEEE 802.11b/g準拠の無線LAN機能を持ったモバイルインターネット製品「NetWalker(PC-Z1)」を9月25日から順次発売する。オープンプライスで、店頭予想価格は4万5000円前後の見込み。

無線LAN機能を搭載。データ通信アダプタの利用にも対応

NetWalker(PC-Z1)

 PC-Z1は、本体サイズが約161.4×108.7×19.7~24.8mm(幅×奥行×高)、重量が約409gと、A6サイズの小型筐体を採用した製品。1024×600ドット表示が可能な5型ワイドTFT液晶を採用し、タッチ操作にも対応。キーボードは約14mmピッチのQWERTYキーボードを搭載する。また、ポインタを操作できるオプティカルポインタやクリックボタンも備えた。

 本体にはリチウムイオンバッテリーを内蔵しており、連続駆動時間は約10時間。通常起動は約1~2分程度だが、サスペンド状態から復帰させる「クイック起動」は約3秒で起動が完了するという。

 通信機能はIEEE 8002.11b/gの無線LAN機能を用意し、セキュリティは64/128bitのWEP、WPA/WPA2(TKIP/AES)をサポート。また、USBポートに携帯電話各社が販売するデータ通信アダプタを繋いで、インターネット接続にも対応する。シャープでは、NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル、ウィルコムと協力して動作検証を進めており、動作確認が完了した製品は追って公表する。


ブラック系カラーレッド系カラーのみ10月下旬に発売する各社のデータ通信アダプタの利用にも対応

 OSは「Ubuntu 9.04(シャープカスタマイズ版)」で、CPUにはフリースケール・セミコンダクタの「i.MX515(800MHz駆動)」を採用。メインメモリは512MB、ストレージ容量は4GB(ユーザー領域は約2GB)。また、最大16GBまでのmicroSD/SDHCカードを装着できるカードスロットも備えた。

 本体には、Webブラウザ「Firefox」やメールソフト「Thunderbird」、オフィスソフト「OpenOffice.org 3.0」などをプリインストール済み。本体操作部には、Webブラウザやメールソフトをワンタッチ起動できる「クイックスタートボタン」も備えた。また、Ubuntuに対応したフリーソフトの利用も可能だ。

 再生可能なデータ形式は、動画がMPEG-4/H.264/WMV、音声がMP3/AAC/WMA、静止画がJPEG/GIF/PNG/BMPで、PDFやAdobe Flash Lite 3にも対応する。なお、フォントにはシャープの「LCフォント」を採用した。

 本体インターフェイスはUSB 2.0×1、miniUSB×1、ヘッドフォン出力を搭載。また、モノラルスピーカーも内蔵する。本体色はホワイト系/ブラック系/レッド系の3種類をラインナップ。製品にはスタイラスペンやACアダプタ、電源コードなど付属する。


タッチ操作に対応。ホーム画面にはTwitterへのリンクもあるが製品版で初期設定するかは未定というキーボードは14mmピッチVAIO type PやiPhone 3GSと比較したところ

本体右側面左側面付属のACアダプタと電源コード

「ケータイPlusOne」を狙った製品。電子辞書/書籍の提供も予定

シャープの松本副社長

 シャープの代表取締役 副社長執行役員で商品事業担当の松本雅史氏は、「インターネットは我々の生活に欠かせないであり、現在では多くの機器がシームレスに連携してインターネットサービスが利用できるクラウドコンピューティング時代が到来しようとしている」と語った。

 そうした中で、モバイルインターネット機器として携帯電話とノートPCをあげた松本氏は「携帯電話は軽く、長時間動作や常時起動が可能だが、画面サイズが小さく、文字入力は10キーである」と説明。一方、「ノートPCは画面サイズの大きさやフルキーボードではあるが重量がある」と述べ、「携帯電話とノートPCを双方持ち歩くよりも、最終的に携帯電話だけを持ち歩く人が多いのではないか」と指摘した。

 その上で、今回発表した「NetWalker」について、「ケータイPlusOne」の製品と位置づけ、「ノートPCの機能を損なわずにダウンサイズを図り、携帯電話の2台目需要として新たな市場を開拓していきたい」と抱負を語った。また、今後はmicroSDカードまたはインターネット経由で電子辞書や電子書籍コンテンツの販売も予定するという。

 製品概要を説明したパーソナルソリューション事業推進本部の新井優司副本部長は、「NetWalkerはインターネットを中心に据えた新しいモバイル製品」と紹介。シャープではPDA「ザウルス」シリーズを展開していたが、NetWalkerについて「スタンドアロンではない、まったく新しい概念を持った製品を出す時期だろうと判断した」と述べ、「ザウルスの時代からネットの時代に変わってきている」とした。

 松本氏は「久々のヒット商品になると期待している」とコメント。携帯電話の2台目需要に加えて、電子辞書やネットブックのユーザー層に対しても訴求していきたい考えで、「2009年3月末までに10万台を販売したい」と述べた。また、海外市場への展開も見据えるとした。


小型・軽量と長時間駆動、クイック起動、タッチパネルを特徴とする未開拓の「ケータイPlusOne」市場を狙う発表会場にはNetWalkerのデコレーション例も紹介されていた

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(村松 健至)
2009/8/27 16:23