パナソニックから、ネットワークカメラに対応した液晶テレビが登場した。これまでPCや携帯電話を使って見ていたネットワークカメラの映像をテレビで表示できる製品だ。早速、その機能をテストした。
■ リモコン操作ででカメラの映像をテレビで確認
「誰か来たのかな?」と思って、さっとテレビのリモコンを手に取る。なんだか「まちがいさがし」のような話だが、今回、新しく登場したVIERAの場合はこれが正解なのだ。
2月から発売されたパナソニックの新型VIERAシリーズ(液晶のTH-xxLX80シリーズ、およびプラズマのTH-xxPX80シリーズ)は、ネットワークカメラやドアホンなどの家庭用設備との連携機能を搭載しており、これらの映像を手軽にテレビで見ることができる。
これまでPCや携帯電話を使って見ていたカメラの映像、リビングのドアホンで見ていた映像をテレビでも確認できるというわけだ。
パナソニックの20型の液晶テレビ「VIERA TH-20LX80」。ネットワーク機能を搭載しており、アクトビラ(ビデオは未対応)の利用やネットワークカメラへの対応を実現している
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■ PoE対応ネットワークカメラ「VL-CM140KT」を利用
もちろん、ネットワークカメラやドアホンと言っても、汎用的なカメラを利用できるわけではない。今回のVIERAから利用できるのは同じくパナソニック製の製品であり、具体的にはネットワークカメラの「VL-CM140KT」および「VL-CM160KT」、ドアホンの場合はドアホン用PLCアダプタ「VL-SP880」が必要となる。今回は開発中のネットワークカメラ「VL-CM140KT」をお借りして、その機能を試すことができた(発売は4月予定、店頭予想価格35,000円前後)。
このVL-CM140KTは、32万画素の1/4型CMOSセンサーを搭載したネットワークカメラだが、最大の特徴はPoEによる給電に対応している点だ。本体に送電装置が付属しており、この送電装置にACアダプタとLAN側のネットワークケーブルを接続。もう1つのコネクタを利用して、VL-CM140KTへとネットワークケーブルを接続すると、LANに接続されると同時に電源も供給される。
VIERAに対応したネットワークカメラ「VL-CM140KT」。付属の固定用台座を装着することで壁や天井などに固定できる
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ネットワーク端子は防水などの意味もあり、カバーの奧に用意されている
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これにより、ネットワークケーブルが届く範囲であれば自由に配置することが可能となっている。従来のネットワークカメラの場合、設置したい場所で電源が確保できるとは限らないが、これなら場所を制限されずに済みそうだ。
また、JIS防水保護等級3相当の防雨性能を持つため、カメラ本体を家の軒下など風雨があたりにくい場所にも設置可能となっている。完全な屋外となると難しい場合もあるだろうが、玄関先やガレージなどの監視用に適していると言えそうだ。
なお、カメラには白色LEDライトを搭載し、内蔵センサー反応時に対象物を照らすことができるVL-CM160KT(50,000円前後)もラインナップされている。
■ ネットワークカメラを登録
具体的な使い方だが、VIERAからカメラの映像を見るにはまず設定が必要になる。と言ってもさほど難しい設定ではなく、以下のような4ステップの設定で利用可能だ。
- VIERAの設定画面から「くらし機器」の登録を実行
- ネットワークカメラを登録モードにする(ネットワークに接続して起動する)
- ネットワークカメラが発見され登録される
- ビエラリンクメニューにカメラを登録する
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「くらし機器の登録」でネットワークカメラの登録開始(1)
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ネットワークカメラを起動すると自動的に発見して登録される(2)(3)
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リモコンからすぐに利用できるようにビエラリンクメニューに登録する(4)
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PC向けのネットワークカメラでも、ユーティリティを利用してネットワーク上のネットワークカメラを検索して映像を表示することができる場合があるが、イメージとしてはこれに近い。
テレビでの利用となると比較的幅広い年齢層がターゲットとなるが、ここであまり難しい設定をユーザーに強いるわけにはいかない。その点、たとえばIPアドレスなどという言葉を一切知らなくても設定できるのは安心だろう。
唯一とまどうとすれば、機器側を登録モードにするための方法とタイミングと考えられるが、今回利用したネットワークカメラ(VL-CM140KT)の場合、本体が起動するタイミングが登録モードとなる。前述したように、VL-CM140KTはPoE給電のため、VIERA側の設定に合わせてネットワークに接続すれば、すぐに登録できるというわけだ。
■ ビエラリンクで映像を参照
実際に映像を見る方法は実に簡単だ。リモコンの「ビエラリンク」ボタンを押すと、登録したネットワークカメラがメニューに表示されるので、これを選択するとカメラの画像が表示される。
「ビエラリンク」ボタンを押してネットワークカメラを選べば、カメラの映像をすぐに確認できる
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冒頭で触れたように、玄関先に人の気配がするとか、ガレージで物音が聞こえたなどといった場合に、さっとリモコンを手にとって操作することで、カメラの映像をチェックできるというわけだ。
今回のカメラはパンやズームなどの機能を搭載していないため単純に映像が表示されるだけだが、VIERAからカメラの設定が可能となっており、たとえば解像度の切り替え(2段階)や逆光補正などの画質設定、さらに細かな設定を変更することができる。
カメラの解像度は2段階に切り替え可能。テレビで見るなら高解像度のままでOK
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設置場所によっては逆光補正を利用することで見やすくできる(左オフ、右オン)
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特にセンサーは設定次第でかなり便利に使うことが可能だ。VL-CM160KTには、動作検知センサーと人感センサーが搭載されており、センサーによる検知結果とVIERAの動作を連係させることが可能となっている。これにより、たとえばカメラの撮影範囲内に人が入ると、そのことが画面上に通知されたり、設定によっては自動的に画面をカメラ映像に切り替えることができる。
センサーは動体検知と人感(熱)の2種類。設定画面でカメラの前で手のひらを動かしてみると、画面のようにセンサーの動作状況が表示される
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センサーの範囲や感度なども調節できるようになっており、画面上の特定の範囲の動作する物体を検知したり、人感センサーのみを使うといった設定が可能となっている。たとえば、防犯目的でベランダにカメラを設置するような場合、風でうごく洗濯物などを検知してしまうのは好ましくない。このような場合、人感センサーのみを動作させるといった対応が可能だ。
センサーの検知範囲を指定することもできる。設定や画面確認はVIERAからだけでなくPCからも実行できるようになっている
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■ 手軽さと高画質を兼ね備えたカメラ監視
このように、ネットワークカメラと、カメラ映像の表示に対応した新型VIERAを試してみたが、ネットワークカメラを使ったことがないという人でも手軽にセットアップできるうえ、映像の確認も手軽にできる点に感心した。
これまでカメラの映像を見る方法は、手軽だが映像が小さい携帯電話、高画質だが起動や表示に時間や手間がかかるPCという2つの選択肢しかなかったが、今回のVIERAは手軽さと高画質という両方の特徴を兼ね備えた方法と言える。
なお、VL-CM140KTはパナソニックネットワークサービシズの携帯電話向けサービス「みえますねっとLite」にも対応しているため、VIERAからだけでなく、携帯電話から撮影画像を確認することも可能だ。
VL-CM140KTの価格が若干高いと思えるかもしれないが、ネットワークケーブルのみで給電まででき、センサーなどの機能も充実していることを考えれば納得だろう。家庭の簡単なセキュリティ対策として利用したり、リビングにいながらにして玄関などの外の様子を確認したいといった用途に検討する価値がある製品と言えそうだ。
■ URL
製品情報
http://ctlg.panasonic.jp/product/info.do?pg=04&hb=TH-20LX80
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